20171029 Sun
私が紹介するのは、赤野工作『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』、です


10/27から11/9は読書週間です。言われなくとも僕は年中読書週間なんですが。
今日は松阪のビブリオバトルに出場する予定だったのですが、見事に台風で中止になりました。
参加予定のイベントが台風で流れたのは今年3回目です。どんだけ雨男だよ俺!
そろそろ嵐を呼ぶ男にランクアップしてもいいんじゃないでしょうか。
というわけで、不発に終わった今日、紹介する予定だった本をここに載せておきます。

赤野工作『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』(KADOKAWA)です。

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
赤野 工作
KADOKAWA (2017-06-30)
売り上げランキング: 54,797

クソゲー(※注:評価は低いけど、どこか憎みきれない愛嬌のあるゲームのこと)のレビューサイトをまとめた1冊。
それだけなら今までにも同じような内容の本はたくさんありますが、今作はなんと、
2115年から見た過去のクソゲーのレビュー。
2017年現在の我々からすると、近未来に発売されるゲームが超未来の視点で語られているというもの。
そうつまり、架空のゲームレビューという形をとった、SF作品なのです!
SFは、フィクションの手法で現実世界への批評をしているものが多いですが、
それを架空のゲームへの批評と重ね合わせているっていう仕掛け。
よくこんなこと思いついたなと唸ってしまいます。
何かの枠(今作の場合はゲームレビューという形式)を借りて書いたものは、
枠があるゆえに枠を破らんばかりの力を持つのだなぁと感心するばかり。
しかも前提としてどの文章もまずゲームレビューとして面白く書けてる。スゴイ。
どのゲームも実際に遊んでみたいんだけど、無い。架空だから。悔しい。
個人的には第4回の「老人ホームのお年寄りたちのために易しくしたソシャゲを開発した話」なんて最高でした。
ご老体にはキツイだろうと、かなりユーザーライクなソシャゲを作って老人ホームに配布したら、
「昔のソシャゲはこんな簡単にガチャでレアが出なかった!」「文字ももっと読みづらかった!」
「エフェクトも派手で目に悪かった!」「開発は何も分かっていない!」
「っていうか年寄りだと思って馬鹿にしてるだろ!」
と、クレームの大嵐が巻き起こるんですね。
開発側はあくまで親切心でやってるんだけど、
ご老人側としては、「自分が老人扱いされている」「自分の青春が改変されてる」という、
2重の怒りがあって、それにことごとくクレームをつけるようになってしまうんです。
つまりこれは、現在にでもある、
「介護者としては親切心でやったことが、被介護者を傷つけてしまうことがある」
っていう問題を批評しているんですよ。すごくないですか!?
この回を電車で読み終わったとき、天を仰いでガッツポーズしたくらい面白かった。あの日の僕は完全に不審者だった。
架空の“本”のレビューってことなら、J・L・ボルヘスやスタニスワム・レムなど大御所たちに有名な作品がありますが、
そこに今の日本SF界から、架空の“ゲーム”レビューっていうまさにジャパンカルチャー的なカウンターパンチ!
熱い!熱すぎる!!
あと、レビューとは別に、ブログを書いている主人公のコラムも載っているのですが、
この主人公が、ある変化を乗り越えていく様がそこには書かれていて、そちらも超熱い。
分かる人には分かってしまうでしょうが、『攻殻機動隊』の世界への入り口はこんな感じなんだろうなぁ、と。
なにせあの円城塔も「傑作。到達点。なにかの」と賞賛した1冊。
この本の後に続ける類書があるのだろうかと心配になるくらいの突っ走りっぷり。
ご興味のある方はぜひ手に取ってみてください!
余談ですが、2段組み480ページで税込1296円。……コストパフォーマンスも最高です!!

という紹介をするつもりでした。
直接のお知り合いの方はお貸ししますので、良かったら読んでみてください。
たぶんこれ、Twitter文学賞で良いところ行くんじゃないかなぁ。行ってほしいなぁ。




20171022 Sun
だからお前はダメなんだ


PCからご覧の皆様、右上の音楽を変えました。
山瀬まみ「ゴォ!」。今年のどくんごのエンディングの曲です。
劇中、時折さんの「I'm proud」熱唱もめちゃ良かったよね。


安田弘之『ちひろさん 7』を読んだ。
今回はターニングポイント的な出来事が起こり、
大人チームの関係性が動いて、ハラハラする展開になっている。

内容もさることながら、作者あとがきも良かった。
禅のエピソードが紹介されている。
「いろいろ工夫や努力を重ね一生懸命鍛錬して一刻も早く師匠のようになります!」
という優等生的な弟子に対して、師匠は、
「だからお前はダメなんだ」
と一言。というもの。

最近、ヨガを教えて頂いているのだけれど、
「自分でも練習したいので、何かやっておくことはありますか?」と聞いたところ、先生に、
「一生懸命頑張ってしまうと、「俺はこれだけやったぞ」っていう、
 プライドや自我みたいなものも一緒に育ってしまうので良くない。
 続けてたらいつの間にか出来てた、っていうのが良い。」
と言われた。

努力なんていうのは手段っていうだけであって、
そこに心を囚われてはいけないということ、だろうか。




20171018 Wed
ソントンには詩情が分からぬ


名古屋のシマウマ書房で行われた、
Pippoさんのポエトリーカフェ、へ行ってきました。
前々から言ってるように詩のことがほんとに分からないので、
(かと言ってよく考えると、たとえば小説のこともよく分かってないですけど)
ちょっとでもその端緒を捕まえれられれば良いなと思いまして。

Pippoさんのご著書に関して前にブログも書きましたが、
近代詩の伝道師として、詩に関する色々な活動をされている方です。
はるか昔に、東京でのポエトリーカフェにお誘い頂いたこともあったのですが、
予定が合わずに参加できませんでした。
(職場(三省堂)とポエカフェ会場(神田伯刺西爾)が、目と鼻の先であったにも関わらず……)
今になってようやく、名古屋で(全然、目と鼻の先、ではない)、予定も合い、参加することが出来ました。

会場では、近頃開店された、星屑珈琲さんの挽きたてハンドドリップ珈琲も振舞われました。
よく見てなかったんだけど、ドリッパーはどちらかが1つ穴のやつで、
(かなざわ式っぽい淹れ方(濃い目に出してのお湯割り)だったし、コーノ?)
もう一方はワイヤーのものを使われていました。こだわりがすごい…。
浅煎りと深煎りが選べ、僕は浅煎りを頂きました。おそらくブレンドだと思うのですが、
しっかりとした酸味を感じられ、それが後をひくことなくきれいに消えていく、
新鮮で美味しいコーヒーでした。ごちそうさまでした。また今度お店へも伺います。

ポエカフェ本編は参加者の自己紹介から始まりました。
遠くは埼玉から、老若男女いろんな方がいて面白かったです。
詩人さん歌人さんや、ポエトリースラムジャパンに参加している方もいらっしゃいました。
今回の特集が「本と本屋にまつわる詩」なので、それぞれが思い入れのある本屋を言っていきました。
名古屋ということで、もっとも多く名前の挙がったのが、ちくさ正文館。
やはりこういう界隈・場(ニュアンス伝わります?)では圧倒的な人気。言わずもがな僕も大好きです。
ほかにも、ますく堂や、遠くはイギリス・ヘイオンワイの名前を挙げる方もいらっしゃいました。
僕はもちろん、へそまがりに住んでいたことを言いましたよ。

その後は1人1編ずつ詩を朗読し、その感想を言っていきました。
僕は、大木実さんの「前へ」という詩を読みました。
僕は大木実さんのことも、作中で引用される「家なき子」のことも知らなかったのですが、
それでもこの詩で言われてることは何となくわかりました。

それこそ、へそまがりで、のちに僕の師匠となる、店長のへそさんに、
本をオススメする会、というイベントがあったとき、
http://ken55555.blog94.fc2.com/blog-entry-484.html
僕はまだ2回しかお店へ行ってなかったにも関わらずお誘い頂き、
現、日暮里で<パン屋の本屋>の店長をされている花田さん、
現、横浜白楽でTweedbooksをされているツイードさん、
当時へそまがりゲストハウスの管理人をされていたシンジさん、
あと僕の4人で、へそさんに本をビブリオバトル形式でオススメしました。

そのときにひとり2冊ずつ計8冊が紹介されたのですが、
僕がオススメしたのは、笹井宏之『えーえんとくちから』と、
最相葉月『なんといふ空』でした。
『なんといふ空』はツイードさんとシンジさんも読んでくれて、とても良かったと言ってくれました。

1回しか読んでないし、もう手放してしまったので、
(たしか、その日のうちにツイードさんかシンジさんが「古本ミラーボール回ラズ」から買ってくれた)
詳しい内容は紹介できないんですが、
この本を読んだとき、僕はいつもどおり、本駒込ボロアパートの万年床でダラダラとしていて、
結局一日何を為すわけでもなく、無駄に酸素を消費している生き物ならば、
このまま死んでしまったほうがいいのではないかよし死のう、
といつものようなことを考えていたところ、布団を取り囲むように積まれていた本に手が当たり、
どうせ死ぬなら最後に1冊だけ読んでいこうと未練たらたら読み始めたのが『なんといふ空』でした。
この1冊がカンフル剤のように効き、読み終わった僕はすっくと立ちあがり、
常連だった秋葉原のライブハウスへ出かけ友人のライブを聴き、
「さっきまで死にたかったんですが、本を読んだら動きたくなって来ました」と言ってドン引かれました。
そういう思い出深い1冊です。

この前のラジオで菊地成孔さんが、本には「自殺性と他殺性がある」とおっしゃていて、
それもそうだわな、と頷けなくもないんですが、
死を見せることによって生へと向かせる、メメントモリ的な本もあるんじゃないかと思います。
現に僕は何度だって本の一冊に一節に一文に生かされてきたわけで、
(もちろんDCPRGの音楽を聴いて一人で踊ることで生きてきてもいるわけですが)
そういった意味で大木実さんの詩にはとても共感できました。

イベントの紹介をするつもりが、途中から完全に思い出語りになってしまいました。
自分語りのついでに、今回の会では短歌も紹介されていたのですが、
僕の大好きな笹井宏之さんの歌が無かったので、最後に載せておきます。

 四ページくらいで飽きる本とかを背骨よりだいじにしています

 この森で軍手を売って暮らしたい 間違えて図書館を建てたい

わかるわー。



 
OFZK

山瀬まみ「ゴォ!」


booklog (→all)


 日記 (661)
 つくり話 (25)
 右上の音楽ログ (1)

 2017/10 (14)
 2017/09 (6)
 2017/08 (23)
 2016/12 (9)
 2016/11 (18)
 2016/10 (1)
 2016/09 (7)
 2016/08 (4)
 2016/07 (9)
 2016/05 (3)
 2016/03 (12)
 2016/02 (19)
 2016/01 (16)
 2015/09 (1)
 2015/08 (9)
 2015/07 (1)
 2015/06 (14)
 2015/05 (11)
 2015/04 (9)
 2015/03 (14)
 2015/02 (14)
 2015/01 (12)
 2014/12 (10)
 2014/11 (8)
 2014/10 (10)
 2014/09 (30)
 2014/08 (15)
 2014/07 (13)
 2014/06 (22)
 2014/05 (23)
 2014/04 (25)
 2014/03 (23)
 2014/02 (17)
 2014/01 (17)
 2013/12 (18)
 2013/11 (15)
 2013/10 (21)
 2013/09 (8)
 2013/08 (19)
 2013/07 (18)
 2013/06 (19)
 2013/05 (25)
 2013/04 (28)
 2013/03 (24)
 2013/02 (6)
 2013/01 (4)
 2012/12 (6)
 2012/11 (5)
 2012/10 (7)
 2012/09 (2)
 2012/08 (11)
 2012/07 (12)

OFZKed by sonton



adimin