20181212 Wed
フレキシブル


三重へ越してきて早3年。いまだに車を持っていない。
必然、会社へは電車をつかって通勤している。
駅から会社までは片道20分ほど歩く。
春夏秋の3シーズンは耳にイヤホンを突き刺して、
騒音性難聴になるくらいの音量でアイアンメイデンを聴いているので、外の音が分からないのだけれど、
冬の間はさすがに寒く、四国を歩いて回った際に現地調達した耳当てをつけて歩いている。
安物(たしか300円)なのでどうしても道すがら、僕と歩を並べる人たちの声が聞こえることになる。

ほぼ毎日一緒になる、おそらくは会社の同期であろうオジサマ(60歳くらいの)2人組がいて、
今冬一番の冷え込みだった昨日、久しぶりにイヤホンから耳当てに変えたおかげで、その2人が話している声が聞こえてきた。

「今朝は寒かったですなー」
「ええ、ほんとですなー」
「これだけ寒いともう下にはタイツはきますわな」
「いや僕はタイツは好かんのですわ」
「そうなんですか」
「タイツはモゾモゾして気持ち悪いんでね」
「ほれやったら下は何もはかんのですか」
「僕はね、ハイソックスをはくんですわ」
「ハイソックスですか」
「ハイソックスも腿くらいまである長いのはいたら、もうタイツと変わりませんから」
「そうですな」
「暖かいところではハイソックスをくるぶしまで下ろせばいいもんで」
「ほう、なるほど」
「ハイソックスは、フレキシブルなんですわ」
「それはフレキシブルですな」

僕の中だけでは、フレキシブルという言葉とハイソックスという物は一生出会うことがなかったでしょう。
ありがとうおじさんたち。
明日からは久しぶりにネタ帳を持ち歩こうかと思います。


----- 以下、宣伝 -----

本の会、やります。
12/17(月) 19:00〜22:00
@久居・ひびうた(https://www.hibiuta.org/
会費500円

みんなで本についてわいわいと話す会です。
本についてなら何でも話せます。本以外のことも結構話します。
遅刻・早退可。見学だけでも参加できます。
当日参加可。ですが、もし事前に参加のご連絡を頂けると嬉しいです。
本も何でも大丈夫です。雑誌、マンガ、写真集、参考書、……。
喋ることも何でも大丈夫です。読んでみた、面白かった、難しかった、つまらなかった、……。
手ぶらでも大丈夫ですが、話題にする本を持ってきて頂くと話しやすいかと思います。
飲食も持ち込み自由。むしろ歓迎です。じゃんじゃん持ってきてください。
買うお菓子のレパートリーがカントリーマアムしかない僕は、おそらくそれを持って行きます。

楽しくやりましょう。
ぼくはなぐられても、なぐりかえしはしない。

moonriders Who's gonna die first?





20181208 Sat
誰も名前を教えてくれない



『詩ぃちゃん』という、詩についてのフリーペーパーがある。
書いているのは、大阿久佳乃さん。
(詳しいことは→ご本人のインタビュー、を参照してください)
「詩ぃちゃん」のいちばん新しい号が、つい先日に発行された。
セブンイレブンのコピー機で印刷できるので、速攻で行って頂きたい。

ネタバレになるけれども、今号で取り上げられているのは、
山村暮鳥、という詩人である。
僕は、山村暮鳥の作品は知らないけれども、国語便覧などで見たのか名前だけは知っている。
ただ、知っていると言っても、字面で、である。
この、山村暮鳥、という名前を前にすると僕はいつだって、
……どう読めばいいのだ? と恐れおののく。
ヤマムラ?サンソン?ボチョウ?クレテフ?
おののくあまり、プリントアウトしたA4紙はバサバサ震える。
大阿久さんならではの詩の読み方が、ありのままに綴られている素晴らしい文章を前に、
僕は山村暮鳥の詩の読み方どころか、山村暮鳥の名前の読み方すら分からない。
焦りのため吹き出す手汗によって、だんだんと湿っていくA4紙。
一旦、考えることを放棄する。
空を見上げる。寒風が吹く。
しばらく前から痛み始めた親知らずを舌で探る。
今年のうちに歯科医の予約を入れようと心に決める。
こう思ったのももう何度目だろう。
今日の昼、母に「優先順位を考えて行動しなさい」と怒られたことを思い出す。
当方、34歳である。
はたして世間の34歳男性は、行動の優先順位の件で母に怒られることなどあるのだろうか。
はっきり言おう、否である。
このザマではマザコンの誹りを受けたとて否定はできぬ。
言われるがままになすすべなく、頭をポリポリとかき、気色の悪い笑みを浮かべるしかあるまい。
しわも増えた。白髪もあらわれた。
いまだ何者にもなれぬまま、年齢ばかりが増えていく。
今日も諦める。息をひとつ吐き、手元の紙に目をおとす。
汗でじっとりと湿りきったA4紙の後半には、
大阿久さんがまだ10代であることが分かるエッセイが書いてある。
嗚呼ッ!彼此の差よ!!

僕は今まで何度だって同じような経験をしてきた。
個人的にはこれを、丸谷才一問題、と呼んでいる。

僕は、丸谷さんの名前を思い出すごとにネットで検索し、その読み方を確認する。
僕の最も好きな本、清水義範『国語入試問題必勝法』の冒頭の一編が、
丸谷さんの「忠臣蔵とは何か」のパスティーシュということもあり、
今までの人生で100を越える回数、御大の名前の読み方を確認したはずだ。
しかし未だに、たとえば古本屋で名前を見かけるたびに、
マルタニ?マルヤ?サイイチ?サイイツ? と脳が迷う。馬鹿か。いや馬鹿だ。
迷ったところで答えは出ない。混乱し焦る。
均一棚から抱え込んだ文庫本は手汗でじっとり湿り、
もう棚に戻すこともできず、買うことを余儀なくされる。
こうして積ん読の塔は私の年齢と同じく、ただただ数を重ねていく。
母が憮然と言う。「年末、片づけなさい」と。
今年ももう師走になったのか。僕が作り出せるのは埃ばかりか。

実は大阿久さんにお会いしたのだけれど、「詩ぃちゃん」の感想は伝えることができなかった。
丸谷才一の読みが思い出せない。今日も人と上手く話せない。




20181118 Sun
やりたいことだけでいい


ポッと時間が出来たらやりたいなぁ、と思っていることはいくつかある。

たとえば、右翼の街宣車をつけて行ってみたい。
あわよくばその人たちの話を聞いてみたい。
松阪大映(ピンク映画館)に通って、館主さんの話を聞いてみたい。
(ちなみに、三重には他にロッポニカ四日市もあるのだけれど、
どちらもエクセスフィルム系なので、旧作しか上映していない)
志摩のジャズ喫茶SWINGに通って、マスターの話を聞いてみたい。
エスカルゴ牧場の高瀬社長の偉業は誰かがちゃんと記録するべきだと思う。
(山崎三四造さんに関しても、都築響一さんがインタビューを残してくれてなければ、
三重県はとんでもない損失をするところだったと思う)
入ってみたいあんな店やこんな店も色々とある。

列挙してみて気付く。
足りないのは時間ではなく、私の度胸と覚悟ではないだろうか、と。

三重県のメディアの人たちは、あまりサブカルやアングラに熱心ではない印象があるので、
もしもここらへんを取材できれば独壇場である。
いや、そもそも需要が無いだけかもしれないけれど。



 
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