普段はあまり観ないアニメってやーつを、2本も観ました。
簡単に感想とあらすじを書いてみますので、ちょっと長いですが、とりあわず読んでみて下さい。
『坂道のアポロン』
少し前にフジテレビのノイタミナ枠で放映してたアニメですね。
同枠で放送された「あの花」「つり球」「東京M8.0」などのラインナップからも分かるように、
アニメというよりはむしろドラマに近い、
抑えた表現やリアルな描写が魅力となるような内容でした。
主人公は、ある私鉄のターミナル駅「坂上駅」で駅員として働く竹内。
基本的には竹内の平凡な日常を追う形で話は進んでいきます。
比較対照として思い浮かぶのは『孤独のグルメ』。
あちらは骨董業界に居る男性が食事のことを語りますが、
こちらは鉄道業界に居る男性が鉄道のことを語ります。そのまんま。
Bパートを丸々、高尾山のスイッチバックの描写に使い切ったアニメはおそらく史上初。
あの回は、鉄道ファンからは無論絶賛されましたが、
一般のアニメファンからは結構批判も多かった記憶が有ります。

しかしこのアニメは鉄道だけではなく、音楽アニメとしての一面も持っています。
普段は温厚な竹内だが、ひとたびギターを握ると全く人格が変わります。
実は彼はアポロンズというロックバンドのギターボーカル。
爆発するようなハイテンションのライブに、熱狂的なファンは引きも切らないが、
女性のファンは大体イケメンベーシストの方へ行ってしまう、ってのが笑いどころ。
平凡な人物がライブではハジける設定、というとどうしたって『D.M.C.』を想像してしまうけれど、
こちらは流石にノイタミナ枠なのでギャグ要素は抑えめ。
個人的には『BECK』なんかが近い感じかなー、と思いました。
もちろん、サンボマスターの山口さんも連想されますね。
地のシーン(主に鉄道)が地味なので、見事に名シーンが引き立ちます。
話題になったシーンも数多いのですが、その中でも僕が好きだったのは、
飛び降り自殺をしようとしているアポロンズファンの少年を止めるために、
雨が降りしきる中でギターを掻き鳴らし歌い続けた回ですね。
(上の画像では違ってますが、竹内は普段青いリッケンバッカーを使っています)
「俺が今までに作った曲を全部全力で歌い切るまで、ギターの弦が残ってたら、生きろ」
と言って始めた弾き語りですが、普段のステージでもしょっちゅう弦を切りまくっている竹内。
もちろん弦が残るはずもありません。ついに全部の弦が切れてしまいます。
「ホラ見ろっ! あんたもやっぱ嘘っぱちだったんだな。
イヤだイヤだ! こんな世界! 全部嘘っぱちだよ!」
「……じゃあ最後の曲、聴いてください」
「うるせーよ!! テキトーなこと言ってんじゃ……」
『ギャアアァーーンッ!!!!!』
「……えっ」
何も無いはずの空間を竹内がストロークすると、
なんと、その場に居る全員の耳に、歪んだリッケンの音が飛び込むのです。
そして竹内が歌い始めたのは、ライブのラストナンバーでお馴染みの「青いギター」。
いつも弦を切ってしまう自嘲も込めたサビ、
「青いギターは 鳴らない鳴らない鳴らないよ
もう青いギターは 鳴らない鳴らない鳴らないよ」
ざわめきが広がります。
「えっ、鳴ってる……よな?」
「聞こえて、る、けど、なんで?」
依然として続く、歪んだギターに乗った「青いギター」のメロディ。
「みんながあんたを忘れてる けどあんたは歌の中にいる
嘘じゃないことはないんだ という言葉も全部嘘になれ」
「いつもの歌を歌おうよ 明日が始まってしまう前に
いつもの歌を歌おうよ 世界が終わる5分前に」
恥ずかしながら、もうここらへんで僕の涙腺は完全に決壊してましたね。
竹内が歌い終わるといつの間にか雨は止んでいて、少年も飛び降りを止めます。
なかなか文章では表現するのが難しいシーンですが、
実際に見て頂ければ、その凄さが分かって頂けるんじゃないかと思います。
YouTubeなんかでこの演奏シーンだけもアップされてるんで、
是非見てみてください。音楽アニメの歴史に残る屈指の名シーンだと思います。
『琴浦さん』
基本的には、90年代ノリのアニメ。俺、嫌いじゃないよ、この感じ。
ストーリーは勧善懲悪。
ツンデレ美少女主人公・巫女美(←もちろん戦う巫女である)。
彼女がいつも素直になれない相手は、年上のイケメン神父様。
そして毎度毎度お約束の、お色気シーンの連発!
OVA全盛期の悪ノリムードを髣髴とさせて、往年のアニメオタクには実に懐かしいッス。
かといって、完全におバカアニメなのかというとそうではなく、
巫女としての自分の能力=千里眼(他人の心が読める能力)や、
普段は隔離されているので同年代の友人が全く居ないことなど、
巫女美が思い悩むシリアスなシーンも挿入されて、全体として良いバランスを保っている。

こちらが、不老不死の力を持ち、悪魔たちを統率する、
<永遠の魔王>こと、ジルフィッシュ。
(上の写真は燃え盛る街を城から眺めている場面。
このあと、今期一番の語り草となった残虐シーンが……)
巫女美はなぜか彼の心だけは読むことが出来ないのだが、その理由は、
と、これは重大なネタバレになってしまうので、伏せておきます。
ジルフィッシュと巫女の関係が明かされる中盤以降は、まさに怒涛の展開。
そして昨日、満を持して最終回を迎えました。
伏線もちゃんと回収されて、腑に落ちるラスト。なかなか良かったんじゃないでしょうか。
絵柄やノリから漂うコメディっぽさを良い意味で裏切り続け、
最初から最後までハイクオリティで引っ張りきったアニメだったと思います。
今期一番の呼び声が高いのも納得。
はい、以上長々とお読み頂きありがとうございました。
お分かりの通り、9割がた、嘘です。適当です。まぁ許してやってよ、ねっ。
だって“とりあわず”って言ったじゃん。2行目で。