20130512 Sun
本の話。『ピダハン』『取締役宝くじ部長』。


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ここ最近読んだノンフィクション2冊が面白かったので、パパッとご紹介。
おそらく小説を読んでることが一番多いんですが、こんな本も読んで楽しんでおります。
ってか本なら大体好きですなんですけどね。


ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観
『ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観』
ダニエル・L・エヴェレット (著), 屋代 通子 (翻訳)
(みすず書房)

昨年話題になった1冊。
僕が今の職場に入った頃、はじめは理工書のフロアにいたんですが、
先輩にフロアを案内してもらってるときに、
その先輩が「おっ、この本面白そう」と言っていたのを覚えています。

言葉が全く分からないアマゾンの原住民“ピダハン族”の中で、
キリスト教の布教の(聖書を現地の言葉に訳す)ために家族と共に、
なんと30年間を過ごしている、アメリカ人男性が書いた本。

後半になると言語学的な記述が多くなり、専門的になってきますが、
前半は単純に冒険譚として楽しむことが出来ます。
妻と長女がマラリアにかかってしまい、
2人を必死で街の病院へと運ぶシーンは本当にハラハラします。

単純に言ってしまうと、ピダハンの人々は自分が直接体験したことしか信じません。
信じません、というよりかは、そういう風にしか話さないという文化があります。
ピダハンたちは直接“精霊”を見ることが出来ます。
誰の話か分からないような、神話や宗教といったものは存在しません。
著者の長年の努力の甲斐あって、聖書のピダハン語訳に成功します。
(これは本当に凄いことだと思う!!)
しかし、上記のような背景のため、ピダハンにキリスト教が広まるはずもありません。
また著者自身も、そんなピダハンたちの考え方に触発され、
やがてキリスト教の信仰を捨てることになるのです!

異文化コミュニケーションの面白さが、見事に描かれた1冊。
ハリウッ映画とかでアメリカ人が原住民の村に迷い込んで、
いきなりコミュニケーション出来てしまったりするシーンがあるけど、
あんなの絶対嘘!ってのがよく分かります。

翻訳を担当されている屋代通子さんは、他にも
『マリア・シビラ・メーリアン──17世紀、昆虫を求めて新大陸へ渡ったナチュラリスト』
『シャーマンの弟子になった民族植物学者の話』
『怠惰を手に入れる方法』
『哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか』
などなど、タイトルだけ聞いてもすげぇ面白そうな本を訳されてます。
これを機会に読んでみます!



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『取締役宝くじ部長―異端のバンカー・片岡一久の生涯』
大山真人
(文藝春秋)

最近、宝くじに興味が出てきて、読んでみた1冊。
興味が出てきて、とは言うものの、宝くじを買いたいわけではない。
胴元がめちゃめちゃ儲かるように出来ているあのシステムを考えた人は誰なのか、
ということに興味があったし、今は亡き私の祖母が宝くじ大好きな人だったので。

戦前~戦後にかけて宝くじの普及のために一生を尽くした銀行員、片岡一久の評伝。

特に期待せずに読み始めたのですが、めちゃめちゃ面白かったです。
やはり戦前生まれは強いのか。
いや、戦前生まれの変態は強いというべきか。
戦後すぐ、物資なんてほとんど無いはずの時期、
片岡の下で働く銀行員達が、正月の挨拶で片岡宅へ行ったとき、
「食べ物はないが、ビールならあるぞ」、スターン!と開けられた、
押し入れ一杯に詰まった瓶ビールに仰天するシーンなんてもう。

この片岡さん、実は三重県出身。私と同郷。
また戦中は一旦台湾の支社に渡ったりしてます。僕、台湾大好きでして。
そういった興味からもスイスイ読み進めてしまいました。

銀行という巨大組織の中にいながら、一貫して一匹狼・頑固・変人な片山氏。
よく読まずとも失敗しているエピソードも膨大にあるのも面白い。
(研究に研究を重ねた宝くじの自動販売機なんて、未だに一度も日の目を見てなかったり)
けれど、その失敗をねじ伏せてしまうかのような、力ずくの成功譚。
他銀行が既に取り仕切っている地域に行ったときに、
なんとか自分の銀行に顧客を引き込まんとして、
結果、読んでて思わず苦笑っちゃうようなえげつないシーンもあります。
家族を初め、周りに居る人たちはさぞかし苦労されただろうなぁというエピソード満載。

僕が興味のあった、宝くじ自体についても色々と知ることができました。
発祥は江戸から続く“富くじ”であったこと、
戦中、もはや債権だけではまかないきれなくなった国家予算を回すために、
宝くじ(当時は“勝札”という名前だった)が利用されたこと。
細かいところでは、“スピードくじ”や“チャンスセンター”の名前の由来も分かったり。

この本の著者・大山真人さんも他に面白そうな本を書いてらっしゃいますね。
特に瞽女3部作なんかは、最近木下晋さんの絵を知ったばかりということもあり、
まー良いタイミングだこと。ぜひ読んでみたいと思います。



ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴きください。

でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」


作曲はなんと、Wiennersの玉屋2060%。
作詞は、もはやこの人抜きには電波曲は語れない、畑亜貴氏。
金髪ショートカットの女の子に弱い私は当然、もがたん推し。
同郷ってことでねむきゅんも応援中。



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