20130517 Fri
『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』


映画が溜まってきてるので、消化しようか。うわ、くだらないこと言っちゃった。
まずはゴールデンウィーク1日目に観て、下書きだけしてあったものを。忘れる前に慌てて。

ドキュメンタリー映画を観る会(会員俺1人)。16本目。


『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』
http://www.100neko.jp/index.html
tirashi100mankaib.jpeg
渋谷アップリンク
客席は20人ほど。アップリンクは小さいので、これで7割は埋まってる印象。
チラシの写真とか、すごくポップじゃないですか。
予告編もコーネリアスの曲が流れたりで、すごく見やすい感じなんですよ。
そりゃあ開演直前に女子5人とかが固まってキャッキャ言いながら入ってきますよ。
ゴールデンウィークも始まりますよ。渋谷はワイワイッキャッキャゲロゲロゲーですよ。
ところが、映画開始しばらくして、ある30代女性へのインタビューで

「やっぱり、手首を切ると落ち着いたっていうのは、ありましたよね。
 傷一つ一つが今でも愛しいんですよ」

暗いのキターーー!! 吹っ飛べゴールデンウィーク!!!

さて、ご存知の方も多いでしょう、絵本『100万回生きたねこ』。
その本を軸に、作者である佐野洋子さんの生前のインタビューや、彼女の葬儀の様子、
他の女性達へのインタビューを交えて進んでいきます。

佐野さんは“顔を出さない”という条件で撮影を許可したらしく、
インタビューは佐野さんの部屋など風景が映ってる中で、音声だけが流れるというふうになってます。
佐野さんの口調が、誰かに似てるなーと思ったら、長嶺ヤス子さんでした。
「~なのね」っていう語尾が特に。
一匹狼な老齢女性は、蓮っ葉な喋り方になるのだろうか。
話されている内容は、エッセイからも想像出来るような感じでした。

佐野さん以外にも色々な女性にインタビューをしていきます。
男性は意図的に外されてます。登場人物は女性ばかり。
まずは娘さんを持つ母親達から。
普通の内容を話してるのに、いきなり泣き始めた人が印象的でした。
「私が、ちゃんとした、育て方を、してもらえなかったので、
 そのぶん、この子を、ちゃんと育ててあげようって、思って
 そうやってね、頑張ってきた、10年だったなーって」

……重いなぁ。
私が男性ですので、母-息子の関係性は分かるし(大体マザコン)、
学習参考書売場で働いていることもあり父-娘の関係(大抵親バカ)もなんとなく分かります。
しかし、母-娘という組み合わせは、実感として分からないんですよね。
普段職場で見てても色々なタイプがあるようにしか見えない。
大体がサッパリした感じの関係が多いかなぁという程度の認識。
劇中では、専業主婦っぽい人たちが出てきてて、
頑張って子どもを育てることに専念します! みたいな感じを受けます。

そして各年代1人ずつ、女性へのインタビューになります。
冒頭のリストカット発言は30代の女性。
40代女性は体外受精で出来た子どもを、悩みながら育てている母親。
50代女性、過去に病気で子宮を摘出し母に「かたわ」と言われたことを引きずり続けている。
60代、大正生まれの年老いた母を、その娘として懸命に介護する女性。
70代、夫に先立たれ田舎で茶摘をしながらつましく暮らす老婆。

……ますます重いなぁ。
けど、人それぞれの事情がその人自身の口から語られる瞬間ってのはやっぱり興味深い。
ここまで映画は進み、佐野さんの脳にガンが転移したことが、彼女自身の口から語られます。
そのまま佐野さんの葬儀のシーンへ。
遺影を映すことで、やっと劇中に初めて佐野さんの顔が登場します。
文章や劇中のインタビューでは、
どこか諦念しているようなことを心底から言うような印象を受けるのですが、
お顔だけ見ると、なんだか気風の良さそうな方とお見受けしました。

佐野さんの葬儀も終わり映画後半、女優の渡辺真起子さんが出てきて、
なんか、旅行記? みたいなのが始まるんですよ。
「ドキュメンタリーだから演出するのは違うだろ!」なんて言う気はサラサラ無いんですが、
それにしても、佐野さんの生家の住所まで行って、
ガレキになっている風景を見て足を止めるシーンは、何だか妙な印象。
その後、急に笑顔全開で縄跳びを回し始めるのもよく分からないし。
佐野さんのインタビュー素材が少ないっていう事情はよく分かるんですが、
じゃあもうすこし尺を短くするか、女性達のインタビューを入れても良かったんじゃないかなぁと思いました。

しかし、よくぞ撮ったな、という作品であるのは間違いない。
なにせ佐野さんの生前最後の姿を残した映像だし。

あと、ほんとに余計なことを言ってしまうと、
死体愛好家の皆さんや、幼女好きの皆さんも、十分満足できるシーンが出てくるっていう、
ほんとに全然ポップじゃない映画でした。
エンディングで流れたコーネリアスはポップだったよ。
チラシにだまされた人が多そうな気がします。

・読みたいと思った本
田房 永子『母がしんどい』(新人物往来社)
斎藤 環『母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか』(NHKブックス)
母がしんどい
ここらへんが母-娘関係を書いた本では読みやすそうだなぁと。
父殺しのことも詳しくないので、また勉強します。

・もう一度観たいと思った映画
『おおかみこどもの雨と雪』
おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)
はじめて観たときはピンと来なかったですけど、
父殺し・母殺し、そして最近よく目にする“社会の中での自分の立場”というキーワードで
考えながら観ると、よく分かるんじゃないかなぁと思います。
ってか、細田監督、やっぱすげぇ人なんだな。



コメント

by えこたん (URL)
絵本大好きなんでこれは興味深いですねー。
私はあんまりキャッキャするタイプじゃないのでちょうど良いかと。。

母と娘のこじれた関係の話を聞くと言葉が出ないですね。
とても難しい。
私にとっての母は尊敬に値する人なんですよ。
だってエレカシライブ行って朝までドルアーガやるのに、現職が保育園の園長なんですよ(笑)ちなみに30代で子宮全摘されています。
あれだけ強く生きられると自分も大らかでありたいと思います。
まだ程遠いですけどね。。
2013.05.18 17:59 (編集)

by 柚 (URL)
ヤマシタトモコの『HER』ってコミックの中で「娘に訪れるすべての幸福も災厄も母親に由来する」っていう台詞があって、ギクっときた覚えがあります。
最近だと村上かつら『Hatch』鳥飼茜『おんなのいえ』なんかが、母-娘の関係を描いたのでは面白かったです。

まんがばっかりですみませんヾ(;´▽`A``
コミ担なもので・・・
2013.05.19 16:31 (編集)

by ソントン (URL)
エレカシのライブ行って朝までドルアーガをやる保育園の園長って、
もうラスボス並のステータスじゃないですか(笑)。
お母様、キャラ立ちすぎです!

僕もどこかで、父のような人間になりたいなぁとずっと思っています。
母には感謝してもしきれないほど世話になってます。
孝行します!しますっ!!

この監督さんの映画はとても静かな印象を受けます。
案の定と言うかやはりと言うか、三重では上映されてないのですね……。
2013.05.20 23:58 (編集)

by ソントン (URL)
コミ担さんなんですかー!
どうりで本もマンガも深く沢山読まれてるわけですね。

ヤマシタトモコさんは、僕が前に付き合ってた人がよく読んでたので、貸してもらってました。
僕は百合マンガが好きってのもあって、ビアンの人の話が好きだった記憶が……。
残念ながらハッキリと内容を覚えてないッス(笑)。

村上かつらさん鳥飼茜さんはまだ読んだことありません。
これを機に早速手に取ってみようと思います!
若い頃に少女漫画を読んでたら、もっと女の人のこと色々分かったんじゃないかと、よく思います。

2013.05.21 00:08 (編集)


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