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20130519Sun
 >『鉄西区』

続きまして、本日2つめ。
ドキュメンタリー映画を観る会(会員俺1人)。18本目。
これで1本分っていうのは、コストパフォーマンスが悪いぜっていう映画。

『鉄西区』
http://www.yidff.jp/2003/cat015/03c030.html
tetsunishi.jpg

渋谷シアターイメージフォーラム
王兵監督の新作『三姉妹』を控えての、企画上映です。
10人前後の埋まりぐあい。1人で観に来てる人しか居ませんでした。
そりゃそうです。これをカップルで見る人がいたら、僕はその2人の幸せを全力で祈りますよ。
一緒に観れる友達は、絶対に一生の親友になれると思います。

今回、まず何よりも自分を誉めてあげたいですね。
1部「工場」240分(途中休憩あり)
2部「街」175分
3部「鉄路」130分

計545分。9時間強。ちゃんと観ました。よくやった俺。えらいぞ俺。

今まで観た映画で一番長かったのはおそらく『ヘヴンズストーリー』の278分。
(正直、廃墟カッコ良かったなぁ、っていうことしか覚えてないけどね……)
なので今回、大幅に記録更新です。ちょっと嬉しい。
途中で投げ出さずに、よく全部観た、俺。
1日目に1部2部を観て、相当疲れるって分かってたから、
イメージフォーラムの年間会員になることで退路を防いだ1日目の俺。
お前、自分のことよく分かってるわー。

っていうか、1部だけでも普通の2本分くらいの体力使いましたよ。
前半傾いた椅子に2時間座ってしまって、腰が爆発しそうになりましたし。
正直、無かったことにして、2部がはじまる前に逃げ出すことも出来ましたけどね、
いつか、この映画を観たことがあるというのを自慢できる日が来るだろうと、
っていうかブログで自慢しちまおうと、全部観ることにしました。

今回の記録を更新するために直近では、間もなくオーディトリウムで控えている
『ベルリン・アレクサンダー広場』14話・14時間57分一挙上映っていうオールナイトイベントがあるんですが、
(出張マッサージあり、ロビーのモニターでも上映し続けるっていう、
 親切なのか鬼なのかよく分からない仕様)
なんか目的を見失ってしまいそうな気がするので、今回は辞退させて頂きます。

あと2日目、第3部だけを夜に観に行ったときに、
1部との入れ替えだったんですけど、
一仕事終えたぞ、っていう顔をした人たちがゾロゾロとロビーに上がってきて、
昨日の俺もあんな顔してたんだろうな、と思いました。


さてさて、自慢話はここらにして、本編の感想に入りましょう。
中国東北部瀋陽にある鉄西区。大型の工場が立ち並ぶ地域。
その一帯の大体1999年から2003年を撮り続け、
時代の流れで衰退していく様子を捉えたドキュメンタリー映画です。

ドキュメンタリー映画の傑作、金字塔とも言われてるようなんですが、
その理由もさもありなん。時代が移り変わっていく様子が、見事に捉えられているんですよ。
中国における第2次産業の終焉とでも言いましょうか。
変化していく空気感が上手く刻み込まれています。
日本で例えるならば、バブルが崩壊していく様を追ったドキュメンタリー、だと思ってください。
はっきりとした終わりの日っていうのはないんですが、
終末感だけは異様に漂っている、人々もそれに気付いてはいる、
だけれども、もはやどうしようもない、というのが画面から伝わってきます。

全編に共通する感想。
撮影を全て監督自身でやっていて、カメラもおそらくあまり良い物を使ってないので、
とにかく画面がブレまくります。
『ダンサーインザダーク』の歌以外のシーンを思い浮かべてください。あれです。
僕は昔、女友達と『ダンサーインザダーク』を見に行ったのですが、
見終わったあとに、その子の顔が真っ青になってたのをいまだに覚えています。
あの子に『鉄西区』見せたら、もしかしたら死ぬかもしれません。
いや、ほんと、一人で見なければいけない映画っていうのは確実にあるので、
デートに誘う前には良く考えた方が良いですよ。

あと、照明機材もクソも無いので、真っ暗な場面は、ビックリするくらい真っ暗です。
ビックリするくらい、眠くなります。
かと思うと、次に雪明りの白い画面が来たりするので、瞳孔が忙しく動きます。

鉄西区周辺に住む人は、おそらく生活レベルが下層の人たちでしょう。
見ていて、日本の“古きよき”なんて言われる時代は、
もしかしたらこんな感じだったのかもしれない、と思いました。

画面に映る人、ほとんどタバコをすってます。ひっきりなしです。
それでタンがからまっては、床に直接吐きます。汚ねえ。
工場の作業場ならまだ分からんでもないですが、お店や人の家でも、
所かまわず、ペッペッと吐きまくりです。もう一度言う、汚ねえ。

喋って、食べて、タバコ吸って、脱いで、喋って、バクチして、タバコ吸って、歌って、喋って、タバコ吸う。
っていう感じのローテーションが延々続きます。いや、ほんとに。
見終わったあとに、他になにかしてたっけ? っていう、
あれ? 仕事場も映ってたはずなのに? っていう印象が残るくらい、生活感全開の映画です。
中国人の喋りの音量がデカイのは分かってはいたけど、ほんとウルセエ!レベルの音量。
あと、何人かで集まると、必ず歌いだす人がいるのは何なんだろね。


1部。
衰退していき、やがて破産してしまう(債務額は6億!)国営工場で働く人々。
のっけから、博打をやるやらないっていうどうでもいいことがきっかけで、
とにかくお互いしつこくイチャモンをつけあって、
殴り合いのケンカになるというシーンから始まります。
それを見て、「あ、もうこの工場ダメだわ」と正直思いました。

あと、僕はあんなに広い工場で働いたことないんで、分からないし、
日本では絶対にそんなことないだろうなぁと思うんですが、
誰が居ても平気で全裸になって、廊下を歩いて(!)、風呂場まで行く労働員達。
百歩譲って、周りがメシを食ってるときに全裸でくつろぐのはいいけど、
弁当に陰毛を千切って入れるのは止めてあげてください。

次々と工場が業務を停止してしていき、労働員は自宅待機へ。
自宅待機って言ってるのに、わざわざ仕事場へ来て、博打をする労働員たち。
けど、忙しいときは多分、すげぇ忙しかったんだろうなぁ。

工場が廃業してしまう前に、最後に労働員一同で療養所へ向かいます。
銅や鉛を精製する過程で、身体にそれらが溜まってしまうため、
年に何回か薬を注射して毒素を体外に出さなければいけないらしいのです。
(ちなみに工場では、基準値の何倍もの鉛やらが漂っているらしい。
 みんなもちろん知っているけど、それでも働かなければいけないという状況)
僕は病院が大嫌いなので、このシーンで貧血おこしそうになったのですが、何とか耐えましたよ。
だって、針を刺すところは看護士さんがやってくれるのですが、
注射器のピストンを動かすのがその人自身なんですもん。
いや、おそらく僕もいつか糖尿になるので、今から苦手意識は克服した方が良いな。
サックスを持って来ている男性が麻雀に加わらないと言う理由で、
楽譜に火をつけられる場面があります。あのシーンは異様だったなぁと思います。
僕は結構楽譜とかを大切にするので、もしもあんなことされたらブチ切れるでしょうが、
その男性は笑ってやり過ごすのですね。同調圧力の中ではああするしか無いのかもしれないけれど。

この療養所ではさらなる事件が。
あまりに娯楽施設がないので、みんな魚を捕まえにいったりするのですが、
そのうちの1人が溺死してしまうんですね。
遺族は抗議をしている気配があるんですが、他の労働者達は全然気にしていない。
どころか笑顔で溺死体を運んだりしてるんですよ。
遺族の抗議も、どうもお金を求めてのところがあるし。
お国柄なのかどうか分かりませんが、なんか凄いなぁ、と。


2部。
鉄西地区の労働者階級が住む住居区域。
住居区域、って言っても日本の社宅みたいなのを想像しないで下さいね。
ゲットーを想像してください。あれです。あのプレハブがレンガに変わっただけです。
すごい住宅密集具合で、家って言うよりは小屋という感じ。

あと始めに出てくるオッサンがアンタッチャブルのザキヤマさんに似てるなーって思ってたら、
いきなり字幕で(17歳)って出るもんだから、
もうそればかりが気になって序盤の内容が一向に頭に入ってこないですよ。
あと、すげぇウザイカップルが出てきて、
(なんというか、小学校低学年的なキャッキャ感)
「これが<リア充爆発しろ>という感情か」と今さら実感しました。

地域の人たちが集まってくる店があるんですが、
娯楽が無いのか本当にみんながそこに集まっては喋ってタバコ吸ってタンを吐いて帰っていくんですね。
あと、街中がとにかくゴミだらけ。道らしい道がわずかしか無い。雨が降ると、排水溝がすぐ詰まる。

政府の再開発計画の為に立ち退きを迫られるんですが、
何が凄いって、業者に頼まず、自分達で解体するんですよ。
たぶん解体業者とか呼ぶためのお金もないんでしょうけど。
そして、解体してきて出てきたものを、家の前に並べては売る、
くず鉄屋を呼んでは売ると、たくましく少しでもお金を作ろうとします。

立ち退きの期日までに街を離れる人がほとんどですが、
中には、電気を止められ(ロウソクやガスランプを使いはじめる)
壁を壊され(全然平気で住み続けるから凄いんだけど)ても、
条件が飲み込めないと居残る人たちもいます。
けれどもそんな生活も限界が来ますので、やがて渋々と皆移って生きます。
街だった場所はやがて荒地のような景色へと変わっていきます。

個人的には、
「俺を動かそうったって、そうはいかないぜ。
 壁や屋根が壊されたって、俺はここを動かない。
 なんせ<東洋の虎>と呼ばれた男だからな」
と吹聴していた男性がどうなったのかが知りたくてたまりません。


3部。
個人的には3部が一番好きでした。
まぁ、比較的上映時間が短いっていうのもありますけどね……。
1部の工場を繋ぐ鉄道で働く職員と、線路沿いに住む親子の話。
親子は普通に鉄道に乗って行き来したり、工場の倉庫から石炭をちょろまかしたりしてますが、
全く鉄道会社とは関係なく、ただのホームレスなんです。たくましいな!

全編通して、暮らしは悲惨だけど、人々は怒ってるか笑っているかという
非常にエネルギッシュな表情をしています。
しかし3部では、父が窃盗の罪で拘留され、
息子が泣いてその帰りを待ち続けるシーンが出てきます。
普段はほとんど喋らない息子が、しまってあった家族の写真を出してきて、
カメラに向かって、父の心配をボソボソと喋ります。
暮らしはどうあれ、この人たちは人と人とが繋がっているということを、
もしかすると大切に思ってるのかもしれない、と思いました。

父親が釈放され、それを祝って、父・息子・叔母の3人で店で夕食を食べるのです。
息子は父に向かってどれだけ心配していたかを切々と語ります。とても心温まる光景です。
父は嬉しそうにそれを聞いています。
息子は感情が昂り、やがて号泣を始めます。
それを、しょうがないなぁ、という感じであやす父。
いきなり「父さんは全然分かってくれない!」と怒り始める息子。
いい加減にしろ!と怒り始める父。
「父さんなんて大嫌いだ!」と父を突き飛ばす息子。
父に向かってその態度はなんだと激怒する父。
床に寝転がって泣き喚き続ける息子。
いい大人(息子は17歳です)が恥ずかしくないのか!と無理矢理立たそうとする父。

……あれ? どこからこうなった?

結局ストレスから開放され呑みすぎてしまった息子はツブれてしまったのですね。
それを引きずり、おんぶして家まで連れて行く老齢の父。
やはりこの2人は互いの繋がりを大切にしているんだなぁというシーンです。

帰宅後、息子は完全に酔いつぶれ、「ぐひひぐひひ」とずっと笑っています。
そんな息子に「息子よ、いつか父の人生を語ってやるからな」と、優しいまなざしを向ける父。
息子「どぅひひどぅひひ」
父「いいか息子よ、父の人生は人並みの人生ではなかった」
(あれ? 話はじまった?)
息子「ぐへへぐへへ」
父「私はこれまでの人生で人が経験する不幸という不幸を全て経験してきた」
息子「ぶひひぶひひ」
父「私は元は○○の生まれでうんたらかんたら……」
息子「ずへへずへへ」

……だめだ、父も酔ってやがる

ここ、絶対笑いどころだったと思うんですけど、
僕以外の人は皆真面目に観てたので、必死で笑いをこらえました。

工場は衰退していきますが、この親子2人はなんとか次の仕事を見つけて、
無事にこれからも生活していくことが出来るであろうという、
全編通して一番明るいラストでした。
新しいお母さんも出来そうだったし!


今現在とか、都市部とか、中国がどうなってるのかは分かりませんが、
一時期、一地域の空気が確実に封じ込められた作品だと思いました。
中国人を理解する一助になるかもしれません。
もう一度全部観ようとは、おそらく思いませんけれども!
ちなみに、1~3部で、常に誰かは寝落ちしてましたとも。


ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴きください。

万能青年旅店 杀死那个石家庄人


前にTwitterで呟いたことがありますが、中国のバンド。
すごくシンプルな曲ですが、好きです。



  

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