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20130521Tue
 >『ビル・カニンガム&ニューヨーク』

見るだけ見てて感想を書いてなかった映画、これにて終わり。
まだまだ続けますので、これからも読んでいただけると幸い。

ドキュメンタリー映画を観る会(会員俺1人)。略して、ド1人。
20本目。目標まであと80本。……えっ、80本?


『ビル・カニンガム&ニューヨーク』
http://www.bcny.jp/
o045106401_large.jpg

新宿バルト9
公開3日目に行ったので、席は結構埋まってました。
どれだけスポットが打たれてるかは知りませんが、
話題先行で観に来た人が多いような印象。カップル率高し。
最近、特に大きい劇場だと、上映中に携帯を見る人が多くて残念です……。
今回はマナーモードにもなってない人が居たし。
皆様はどうかお気をつけ下さい。

映画の感想、まずはこれだけ。
今まで観てきた20本の中で、一番のオススメです。
正直、『アントン・コービン』みたいなオシャレ映画なんだろ、とか思ってましたけど、
全然違いました。むしろ僕が大好きな、ジジババ映画でした。

主人公は84歳のおじいちゃん、ビル・カニンガム。
笑顔がとてもカワイイ彼は、ニューヨークを歩く人のファッションを撮影し続け、
それでなんと50年も活動しているカメラマン。
彼の写真はニュヨークタイムズにコラムとして連載され、人気を博している。

まず何に感動したかって、なんとこの人、デジカメじゃなくフィルム使ってるんだよ!
その上、見て驚け、いまどきポジフィルム(※注1)!!
生きる化石とはこの人のことだったかと。
DTP(※注2)の隆盛で、カメラマンとして仕事するにはデジタルじゃないといけないって、
よく聞きますけど、それは言い訳なのかもしれないと思いました。
いい仕事さえし続ければ、条件なんてこちら次第になるんじゃないか、と。
そりゃあ初手は相手に合わせなければいけない場面もあるでしょうけどね。

※注1 ポジフィルム
普通よく使われてるのは35mmの“ネガ”フィルム。
現像したあとのフィルム見ると、なんか妙な色になってるでしょ?
ネガフィルムは印画紙に現像するために使われるものです。特徴、安くて使いやすい。
一方ビルが使ってるのは“ポジフィルム”。特徴、高くて使いにくい。
ただ、撮った色がそのままフィルムに現れるので、
うまく使うとすごく綺麗な写真が撮れる。
一昔前までは原稿に使うフィルムといえばポジでした。
今はDTPでデジカメのデータを直接読み込んでしまうので、
ほとんどポジは使われていません。衰退の一途、というやつです。


※注2 DTP
デスク・トップ・パブリッシングの略。
つまり、パソコンで印刷用原稿データを作ってしまうこと。
そのデータを印刷所にすら回さず、
自分のプリンタで印刷しちゃうこともあり。家内制手工業。
DTPシステムの登場で、少人数でも印刷物を作ることが出来るようになった。
昔は活版とか写植とか、印刷物にはすげぇ手間がかかってたのです。
パソコンで何でもかんでもやるので、
フィルムをわざわざスキャナで取り込んでデジタルデータに変換するより、
初めからデジタルカメラで撮影してしまった方が、当然スムーズ。


いつの時代のカメラマンだよ、
ってくらいポジでバッシャンバッシャン、スナップを撮りまくるんですね。
おいおい、金は大丈夫なのかよって思ってたら、
めっちゃ倹しい暮らしをしてるんですよ。
トイレ・シャワーは共同、キッチン無し。
食べるのは外と決めているらしいのですが、
いかにも安そうなカフェでハンバーガーとか食べてる。
部屋もフィルムの収納に占拠されていて、ほとんどスペースがありません。
個人的には、オシャレな部屋より、
こういう部屋の方がよっぽどカッコ良いと思いますけど。

さらに、ファッションシーンを追い続けてるわりに、ビルは自分の服装にはこだわっていません。
トレードマークの青い上着は、街の清掃員が着ている作業着。
カメラでこすれてどうせ破れるからと、安い上着を長年愛用しているそうです。
雨の日もゴミ袋みたいなレインポンチョを着て、自転車を漕ぎ撮影しています。
このポンチョは破れてもテープで補強して、出来るだけ長く使っています。
そんなビルの格好はもはや機能美。ただの作業服でさえオシャレに見えます。

ビルが創刊から携わり、その展開に大きく貢献した雑誌があるのですが、
編集長からもらう小切手を、全て断っていたというのです。
本人曰く、
「金をもらわなければ口出しされない。自由より価値があるものなんてないんだから」
一見すると頑固に見えるこの態度には、
過去に他の雑誌との仕事で起きたトラブルが関係しています。
ビルはファッションを平等に扱うために、
ファッションショーでランウェイを歩くモデルの写真と、
それと同じ服を着ていた街の女性のスナップを並べて掲載したのですが、
なんと編集部に勝手に見出しを変えられて、
街の女性を笑いものにするような記事にされてしまうのです。
当然ビルはその雑誌との仕事を即打ち切り、
今のように、自分の自由に紙面を構成するという条件を大切にするようになります。

パリのファッションショーへ撮影に行くんですが、はじめ受付で、
「プレス関係者はあちらの入り口です」とか疑わしげに言われ、
そのプレス入り口から入ろうとしても「お待ちください」と止められてしまう。
全然気に留めることもなく、順番を待つビル。
すると彼に気付いた責任者らしき人が慌ててきて、受付の人に、
「この人はいいんだ。お通しして。世界一重要な方だから
と言って、ビルを優先的に入場させるシーンが印象に残っています。
入り口を通りながらも全然偉ぶることなく、いつもどおり飄々としているビル。
いやぁ、カッコ良すぎや。

最後に、
“美を追い求める者は、必ずや美を見出す”
ビルがフランスで芸術文化勲章を受章したときのスピーチより。
ちょっと忘れてしまったけど、たしか誰かの言葉の引用だったと思う。
50年以上ニューヨークの路上を毎日自転車で走り回って、
写真を撮り続けてきたビルが言うからこそ、
そして本人が、まだまだ満足していないからこそ、
響く言葉でありました。

ひとつのことを突き詰め続ける男性のドキュメンタリーというと、
この会(っても俺一人だけど)を始める前に観た『二郎は鮨の夢を見る』が連想されます。
残念ながら僕は『二郎~』の方は好きになれなかったのですが、
おなじオシャレ目な感じにしてある『ビル・カニンガム~』は大好きに。
違いは何かって言うと、おそらく、素材にあった映像になっているかどうかでしょうね。
『ビル・カニンガム』、本当に良い映画でした。



  

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このブログのタイトルは OFZK です
ソントン という人間が書いています
だいたい本を読んでいます





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