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20130605Wed
 >「極限芸術~死刑囚の表現~」広島前半

やっと書きます、広島旅行の記録。
前半として、今回の目的でもあった展覧会のことについて。
真面目なうえに、長くなってしまいましたが、読んで頂けますと幸い。


まずは東京発の新幹線で福山市まで。
朝の7:00に東京を出て、福山には10:30着。所要時間3時間半。
早っ。さすが新幹線さんやで!
s_IMG_1588.jpg
「コンカイハ テリーモ イッショダヨ」
(蛇足ですが、相棒紹介。
 10年前くらいに僕の日記を見て頂いていた方には説明不要ですが、
 テリーは私の旅の相棒です。屋久島生まれのカエル。
 若手カエル界では少々名の通った小説家であります。
 屋久島から三重へ渡る船上で出会い意気投合しました。
 彼は日英独仏を使えますが、普段は日本語で、しかもなぜかカタカナ。
 好きな物は、チリワインとカース・マルツゥ。あとヌーヴェルヴァーグ。
 時にキイロショウジョウバエも食べますが、人前では食べない主義)
 

福山駅からバスに揺られること30分。
っていうか、運転手さんの粋なドラテクのために、本当に揺られる。
ほとんど寝てない三半規管が一時期イエローシグナルを出し始めるが、
なんとか鞆の浦に到着。
一見して僕が観光客だと分かったのでしょう、
荒ぶる運転からは想像も出来ないほど親切に、
お札の両替やお釣りの対応をしてくれた運転手さんに感謝。

平日午前とあってか、僕以外にあまり人がいません。
観光用に建物が保存されているのか、昔ながらの海沿いの町並み。
細い路地が入り組んで走っていて、ところどころは石畳になっています。
どっち側へ行っても海に出てしまい、遠くを眺めても山と島しかない、
迷い込んでしまった、という感じのする、のんびりとしたところです。

今回の旅の目的地はたったひとつ。
鞆の津ミュージアム”という美術館。
「極限芸術~死刑囚の表現~」 を観に行ってきました。
s_IMG_1589.jpg
「フンイキノアル ビジュツカンダゼヨ」
(鞆の浦は坂本龍馬に縁のある土地らしく、
 テリーの語尾がインチキ土佐弁になっているのはそのせいです)

静かな町の真ん中に美術館はありました。
蔵を改装して作られていて、靴を脱いであがります。
床が粗く削られていて、デコボコが痛気持ちいい。

鞆の津ミュージアムはまだ開館して1年なのですが、
アウトサイダーアートを専門に扱う美術館です。
ご存知の方もおられるかもしれませんが、アウトサイダーアートとは、
正規の芸術の教育を受けていない人々が、
独自のやり方で、お金や名誉を目的とせず、制作した作品、
とでも言いましょうか。
有名な作家では、
50年以上にわたり『非現実の王国で』という小説を部屋で1人書き続けたヘンリー・ダーガーや、
たった1人で石造りの宮殿を作り上げたフランスの郵便配達員シュヴァルなどが居ます。
日本で有名なのは、山下清さんが居ますね。
近年のアート市場では最も注目されているジャンルです。

拘置所にいる死刑囚達が、支援団体の行なう公募展のために書いた絵が、
一挙に集められたのが今回の展覧会。
都築響一さんの影響で、以前からアウトサイダーアートに興味ありますし、
『死刑弁護人』『約束 名張毒ぶどう酒事件』などのドキュメンタリー映画を観たことで、
死刑制度などなどにも関心があったので、
この展示は遠いけども是非とも行ってみたいと、駆けつけた次第です。

驚いたのが、展示されている中で僕と同い年の人が2人も居たこと。
30年弱生きていれば、それは色々な人生があるでしょう。
けれどさすがに、死刑を待つ身になるというのは、想像の範疇外だったので、驚きました。
そういう境遇にある同い年の人間が居るということに関しても、
想像の範疇外としてしまっていた自分にも。

作品をしばらく観ているとキュレーターさんによるギャラリートークの時間に。
せっかくなので、聞いていくことにしました。
結果この解説がすごく良くて、1人でただ作品を観てるだけじゃ絶対解らなかっただろうなぁ、
ということまで知ることが出来ました。ありがたや。

現在日本には130名以上の死刑囚が居るそうなのですが、
(この4月にも2名に刑の執行があったらしい)
ほとんどの人が絵や俳句などの創作活動を行なっているらしいです。
作品が公募展で入選するとわずかながら賞金が出るため、
生活費や、再審請求の費用に使うのです。
絵画制作の経験があったのは、展示されている中でたった2人。
それ以外の人は、拘置所に入って初めて絵を描き始めたとのこと。

作品を作る際に表現手段が広がってしまい“生きる希望が湧かないように”と、
使える画材は限られたものになっています。
鉛筆・色鉛筆・ボールペン・蛍光ペン・筆。
絵の具は上記の理由と、飲んで自殺を図る危険があるので使用できない。
そんな中で、点描であったり、ボールペンのインクを水に溶かしたりして、
なんとか絵の具の質感を出している作品もありました。
刑務官達は死に向かって心を平静とする作品、
(例えば精巧な模写作品)を良しとする向きがあるそうです。

おそらく展示されていた中で一番有名なのは林真須美さんなんだろうけど、
色紙に書かれた作品のうち、いくつかに折り目がついていて、不思議に思っていました。
解説によると大阪拘置所で酷い処置をされていて、
この作品を送るときにも色紙が入る大きさの封筒ではなく、
通常の形の封筒しか支給されなかったため、仕方なく作品を折ったとのことでした。
林さんの作品の中には、独房近くに置かれて異臭を放つゴミ箱を描かれたものがありました。
これも再三別の場所に動かして欲しいと請求しても、聞いてもらえないらしいです。

「作品に絵を描いた上からジグソーパズル状に溝が刻まれたものがあります」
とおっしゃられていたので、ギャラリートーク後、早速その作品を探して見てみました。
http://abtm.jp/blog/210.html
↑リンク先『無題』2007年という作品がそうです。

この絵を描いた松田康敏さんは、既に刑が執行されたため、もうこの世には居ません。
担当の弁護人が付いており、再審請求がなされていると本人が思っていた中、
突然の死刑執行だったらしいです。

以前は刑の執行決定を知らせるのが、その2日前だったらしいのですが、
当日までの発狂・自殺が相次いでしまったため、
現在では、刑の執行当日の朝食と昼食の間に、本人に知らされるそうです。
つまり、受刑者達は、昼ご飯の配膳が来てはじめて、
自分の命が翌日の朝まで延びたことを知るわけです。

展示されていたほとんどの作品が、執拗といえるほど精密に描かれています。
一つの作品が出来るまでは自分は死なないと、
自らに思い込ませることで何とか平静を保っているようにも見えます。
願掛けの一種ですね。

昼ごはんから次の日の昼ご飯までの命という短いサイクルと、
逆にいつ終わるかもしれない果ての無い拘置所の生活。
そんなねじれた時間の中で作られた作品には、
どこか抜けている部分がありながらも、鬼気迫るものがありました。


松田さんの絵に刻まれた溝にそっと指を這わせたときに、
確かに一瞬、作っているときの松田さんの姿と、
松田さんが入っていた拘置所の空気を感じました。



好評を受けて、会期が7/21までと延長になったようですので、
お時間がありましたら、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
ちょっと遠いですが、行く価値は十分にある展覧会ですよ。



ってなところで広島前半は終了、インターミッションの曲をお聴きください。

倉橋ヨエコ - 楯


夜に向かって手を重ねることしかできないの



  

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