20131122 Fri
又吉直樹 『第2図書係補佐』


いらっしゃいませ。
今夜は開店、妄想書店ミラーボール回ラズ。
Twitterでもさんざ書きましたけど、本日紹介する本はコチラッ、ババンッ!

又吉直樹 『第2図書係補佐』  (幻冬舎よしもと文庫)
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

又吉さんに関しては、無テレビ生活10年間の私よりも、皆様の方が詳しいのではないでしょうか。
だって僕は『ピカルの定理』って言われても全然分からないですし、
(男同士で良い感じになる、みたいなコントがあるのを知ってるくらい。
 そんなん言われたかて、『笑う犬』の「てるとたいぞう」しか思い浮かばんけど)
ってか、ピースのコントを見たことが無いかも……。
ということで、今あわてて、YouTubeでキングオブコントのネタ(ヤマンバのやつ)を見ました。
又吉さんの、暗い雰囲気の人がボケるっていうギャップで既に笑った。

余談。
ピースがテレビに出始めた頃に突然、マイブラザーから
「兄ちゃん! 太宰好きの芸人が出てきたで! 神保町芸人やで!」
という電話がかかってきて、その後アメトーク「読書芸人」の回を録画したDVDが送られてくるという、
手厚いサポートがありました。
相変わらず俺と世界で一番近い趣味の弟。棲み分けはあるんですけどね。
そういえば、トカゲを飼いはじめたときに、一番食いついてきたのは弟でした。
「トカゲ買ったでー(写メ添付)」
「うわ、レオパやん! 目ぇクリクリしてて可愛いよなー」
……なんでお前、そんなに知ってんねん。
もうお前と一緒にレオパの養殖で暮らしていきたいわ、
と思ったという、一方的な兄弟愛。


余談終了。
さてさて、本の話をしましょうね。
読んで面白いと思った本をブログに書くようにしてるんですが、
この本がどれだけ面白かったかって言うと、
まず図書館で借りて読み終わったあと、
面白いぞこれは買わなあかんぞ、と古本屋を探し回り見事ゲット、もう一度読む。
そしてその後、又吉さんが今年の初めまでやっていたラジオ「活字の世界」を、
片っ端からYouTubeで聴いているという状況ですよ、ええ。
いつものことやけど、一気に好きになりすぎやろ、俺。

又吉さんによる、本の紹介本です。書評本とはまた違うので、なんともジャンル分けしにくい。
紹介されているのは47冊。1冊につき2~3ページという短さで、
見事にその本が読みたくなる文章が綴られています。
元々よしもとのライブハウスで配布されていたフリーペーパーに連載されていたものらしく、
“学生に読んでもらいたい本を中心に紹介していたんです”
と巻末収録の中村文則さんとの対談でおっしゃられています。

たとえば、好きな作家だと公言されてる太宰治からは『親友交歓』『人間失格』という感じ。
全部の本の写真が載っているんですが、おそらくは又吉さんご本人の蔵書なんでしょうねぇ。
『人間失格』は、なんと、筑摩書房版の函入り(ひょっとして……初版?)。気合が違う。


『人間失格』の紹介ももちろん良いのですが、
(4行目からは、もう、うわぁぁぁぁ、って言うしかない!)
僕が気に入った紹介文はまず、『江戸川乱歩傑作選』。
のっけから、こう来ます。

“江戸川乱歩という小説家の名前を初めて知った時、「なんて格好良い名前なんだ」と興奮した。”

そういえばそうやったー! と。
言われてみれば、乱歩の本を手に取ったのって、その理由やったー! と。
この「乱歩って名前が格好良いよね」ってことに触れた文章って、
そうそう無いと思うんですが、どうでしょうか。おかげで俺はガッツリ掴まれました。

でねでねでね、47冊のうち、これはもう書評っていうよりは、
エッセイだろ、いやさショートショートだろ、いやさもはや小説だろ、
っていう文章が何本かあるんですけど、そのうちの1冊、
村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、
この紹介文が、めっちゃ良いのです。

僕も『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は数年前に読んでます。
(深夜、六本木の青山ブックセンターで買った。意外と覚えてるものだね)
1度しか読んだことがないので、もう内容はほとんど覚えてないですし、
他の村上春樹作品もあまり読んだことが無いので、
もしも誰かに「『世界の終わり~』って面白い?」って聞かれたら、

「あ、うん、面白いよ。たとえば……、たーとーえーばー、
 うー、えーっと、中村文則って読んだことある?
 あっ無い。無いのかぁ、そう。じゃ、小川洋子は?
 えっ『博士の愛した数式』だけ? だけかぁ……
 うーんえーっとぉ、さすればいかに説明すれば良いものか……」

というクソみたいなことしか言えなかったと思うのですが、
これからは楽勝です。

「あ、『世界の終わり~』、知らないの? じゃ、これ読んでみそ」

と、又吉さんの文章を見せれば良いのです。
十中八九、『世界の終わり~』、読みたくなりますから。
しかも文中で、本の内容に全く触れてないにも関わらず!
ほんとに凄い。なんか、シンプルな手品を目の前で見せられたような感じ。
これ以上の『世界の終わり~』紹介文ってあるかぁ? ないだろぉ?


まずは、古井由吉『杳子』紹介文を読んでみておくれ。くひょっ、てなる。
又吉さんのことを昔から知ってる人は、大槻ケンヂ『リンダリンダラバーソール』紹介文をぜひ。泣くから。

読み終えたときには、次に読みたい本が増えて増えて増えているのではないかと。
では、ご一緒に、幸せな破産を。



ってなところで、今の店内BGMはこちらです。

Debbie Harry & Kermit The Frog - Rainbow Connection




さらに余談、かつ個人的な話を。
巻末の対談で又吉さんが、本を読み始めたきっかけとして、
“中学校の時に芥川龍之介の『トロッコ』を読んで……すごいなと思ったんですよ”
と書かれてまして、驕って聞こえるかもですが、俺も、昔同じことを思いました。
小学校のときに公文式に通ってたんですが、そのときから国語が大好きで、
プリントに載ってた『トロッコ』を読んで、面白い! と思って、
それが抜粋だったので、どうしても全文読みたくて、
……あ! そのとき、はじめて、古本屋に行ったんだ……。今思い出した……!
すんんんげえちっちゃい、田舎の古本屋だったんですが、
なんと、芥川、あったんですよ! 嬉しかったなぁ。

他にも山川方夫『夏の葬列』や、開高健『夏の闇』もプリントで読んですごく気に入ったんだけど、
残念ながら、三重のド田舎では、それらの本を手に入れることは出来ず、
上京してから読むことになるのですが、
なぜ昔の俺はこんな純文学のしかも暗いのが好きやったんやろう、と情けなくも思ってしまいました。
昔のキラキラとした感受性は無くなっており、
微エロ・サブカル系の本ばかりを読む、今の自分でした。
いや、微エロ・サブカルが悪いとは言わんけど、
ちょっと……淋しかったですね、さすがに。

なので、30歳を目前にして、感受性を取り戻そう、と。
具体的には、もっと本読もう、と。
又吉さんの本を読んで、そんなことを思いました。



コメント

by えこたん (URL)
この文を読んで私が1番興味を持ったのは、やはり弟くんです!(笑)
おとうと。私もそのおとうと欲しい!

ピースは綾部が苦手なんですよねぇ、残念ながら。又吉さんは好きですけどね。
ピカルは笑う犬の足元にも及ばないので・・・(辛口)
ま、私の世代なら「夢で逢えたら」ですけどねー。
芥川はトロッコよりも先に蜘蛛の糸から入りました。小学生の時に劇をやった記憶あり。
私も公文やってたけど算数だけだったな。冊子の前の方に載るくらい頑張ったけど(笑)

その本、手元にあるので読んでみます!

2013.11.23 11:51 (編集)

by ()
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013.11.23 13:28 (編集)

by クララ◎ (URL)
なんだったかなぁ『東京百景』ってタイトルのやつが面白そうだったんですよ。
見つけた日、雑貨・文具貧乏になってたんで、買いませんでした。。

知っているかわかりませんが又吉もくるり好きなんですってー。
2013.11.23 22:23 (編集)

by ソントン (URL)
>えこさん
算数、冊子の前の方に載るって、それ凄いじゃないですか!
なんだ、えこさん、ただのオッサンじゃなかったんですねー。
綾部、同じく、苦手です(笑)。


>クララ
『東京百景』、気になってた!
俺は慢性的に貧乏なので、単行本だと、ひるむ(笑)。
また買って読んでみるッスー。
くるり好きやなんて、そんな、益々気になってしまうじゃないかっ!
2013.12.05 01:24 (編集)


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