20131124 Sun
ご結婚おめでとうございます


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ブログで献辞って大げさだけどさ。

羅麺悪之介(らあめん あくのすけ)さんと
大口白米子(おおぐち はくまいこ)さんへ
ご結婚おめでとうございます。

以下、蛇足。



我輩は猫である。名前はもうある。カラメ、という。
お察し頂けると思うが、よく間違えられる名前である。だいたい、
「わー、かわいい黒猫だねー。なんて名前なの?」
「カラメだよ」
「ん?え? “カメラ”?」
「カラメだってば」
「辛め? えっ何が?」
こんな感じで。ちょっと待てと。
某ジャンクラーメンを全店制覇するほどのご夫婦が付ける名前だぞと。
カメラなわけがないじゃないか。カラメに決まっとろうが。
と憤ってみたところで、人間に猫の気持ちは中々通じない。
ともかく、大好きなお2人に付けてもらった名前だ。私は気に入っている。

「カラメ、おいでー」
玄関から白米子さんの呼ぶ声が聞こえる。今日はお出かけの日らしい。
置いていかれぬよう、トトトッと急いで向かう。
時は正午過ぎ。晴れてはいるが風が冷たい。
猫は、と言わずとも人間でも、コタツで丸くなっていたいような日だ。
家の鍵を閉めた白米子さんは「さむさむ」と言いながらマフラーに顔を埋めた。
悪之介さんは既に愛車FIAT500に乗り込んでいた。やはり寒そうに震えている。
白米子さんが私のために開けてくれた助手席のドアから飛び込み、
後部座席、いや、正確には後部のごく狭いスペースに置かれた私専用の毛布へと潜った。
私の横には、悪之介さんのギターが立てかけられている。
それだけでもう後部スペースはいっぱいいっぱいだ。
我が家のFIATは、ルパン3世がアニメで乗っていたのと同じ年代のものである。
1975年製。古すぎて、たまにエンジンがかからない。今日のような寒い日となるとなおのこと。
エコカーやら電気自動車やらが普及した21世紀に、
海外のボロ車をわざわざ大事に大事に乗り潰しているのは、
おそらくうちの悪之介さんくらいだけだろうと思いきや、どうやら世界中にマニアがいるらしい。

「では、お願いします」と、悪之介さんが白米子さんにFIATのキーを恭しく渡す。
白米子さんも「かしこまりました」と同じ調子で答えて、
「カラメ様、どうぞお力をお貸しくださいませ」と私の前にキーを差し出した。
人間はどうしてこうも儀式めいたものが好きなのだろうか。
いつからか、私がキーに触れると調子よくエンジンがかかるというジンクスが出来て、
お2人の役に立てているようで嬉しい、というのもあるが、
正直めんどくさいというのが気持ちの大部分を占めていて、
さっさと済まそうと犬のお手の要領で従順に、FIATのキーに触れた。
「さすがカラメは賢いねぇ」
「いや、多分めんどくさいだけじゃないかな」
バレてた。悪之介さんがキーをひねると、一発でFIATのエンジンは動いた。

「うおっ、さむっ!」
「さむいねー!」

「ぐぁー、さむいわー」
「さむいよー」

「っくぁっ! さむすぎる!」
「ひゃーさむいー!!」

以上が1つ目の目的地までに運転席と助手席で交わされた会話である。
世話になっておいて大変申し訳ないのだけれど、
もしかするとお2人は、バカ、なんじゃないかと思う。
古いFIATでは、ろくに暖房が効くわけもなく、
むしろ隙間風がじゃんじゃん入ってくるぶん、普通に外に立っているよりも寒い。
なので、外出するときよりも厚着をして、わざわざお2人はこの車に乗っている。
運転する悪之介さんはそのままスキー場に居てもおかしくない格好だし、
助手席で震える白米子さんに至っては、派手めのミイラにしか見えない。たぶん2キロくらいは増えてる。
しかし、冬ならまだ厚着すれば済むが、夏は地獄である。
このまま蒸されて、中華料理の卓に並べられるのではないかと、毎年思う。

極寒を我慢しながら着いた場所は、やはりというか当然というか、ラーメン屋だった。
まぁ昼時だし来るだろうなとは思ってはいたけれど。
悪之介さんは待ちきれない様子で店へと駆け込んでいった。
一方、白米子さんはおしとやかにゆっくりと歩いて、いくわけもなく、
悪之介さんを押しのける勢いで店へ入っていった。
お2人のラーメン好きは常軌を逸している。
特に悪之介さんは、健康診断で表示される“高脂血症”の文字を、ラーメン好きの勲章と思っている節がある。
そんな勲章捨てちまえと私は思うが、白米子さんも笑っているだけなのでどうしようもない。
人間同士だって気持ちなんて通じないそうだから、猫の気持ちが人間に通じるわけがない。
通じずとも、汲み合うだけ。

ポツンと残された私。停まっているFIATの中は案外居心地が良い。
陽の暖かな今日のような日は特に。エンジンの余熱もあるし、すぐに眠くなってくる。
あと30分もすれば満足そうな顔をしたお2人が戻ってきて、
車内はニンニクの匂いに包まれ、その匂いが毛に付くのを避けるためにいよいよ私は毛布の深くまで潜り込み、
こういうときに限って撫でてこようとする悪之介さんの手を本気で払いのけ、
それを見た白米子さんが楽しそうに笑うのを見て、私は幸せを思うのだ。
猫だって楽ではない。けれど、たまには良いことばかりがある日も良いだろう?
私は毛布の中で丸くなって目を閉じた。

健やかなるときも、病めるときも、
喜びのときも、悲しみのときも、
富めるときも、貧しいときも、
世界が終わるときだって、きっと私たちは一緒だ。
心配することなど、何もない。



あらかじめ決められた恋人たちへ 「翌日」



コメント

by えこたん (URL)
ネコとビートルが出てくる好きな絵本があるのですが、それをちょっぴり思い出しました。
あとカルメ焼きが食べたくなった。
素敵なおはなし。
2013.11.26 21:09 (編集)

by ソントン (URL)
ビートル、良いですねー。
僕は初対面で「黄色いビートルに乗ってそう」と言われた経験があります。なんでやねん。

カルメ焼き、良いですねー。食い意地、張ってますねー(笑)。
ちょうどこの前読んだ本に作るシーンが載ってました。
僕は作ったことがないので、一度やってみたいなぁ。
2013.12.05 01:15 (編集)


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山瀬まみ「ゴォ!」


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