20140321 Fri
緑茶すずしい太郎の冒険


(劇)ヤリナゲ『緑茶すずしい太郎の冒険』という舞台を観てきた。
私のブログではお馴染み、哲学する小道具師・辻本直樹さんが携わっていらっしゃる舞台だ。
あと、アムリタの藤原さんも出ていらっしゃる。

とは言いつつ実は、僕は藤原さんと面識が無い。
たしかTwitterで、辻本さんが藤原さんのつぶやきをリツイートされてて知ったのがキッカケだった。
何かのマンガ(『宝石の国』だっけかな)のPOPを書かれていて、
その出来栄えに感動。他の本屋勤務の方の情報が欲しい盛りの頃だったので、即フォロー。
その後、昨年のマンガ1位に『ぷらせぼくらぶ』を推すツイートをされていて、
あ、この人絶対面白い人だ、と確信に至り、
ぜひ実際にお会いしてみたいと思っていた。
ここまで書くと僕が完全にストーカー気質のようだが、当たらずとも遠からずなのでなんとも言えない。

しばらく前に、アムリタ『糸、巡礼、失うこと』を拝見して、
ああこの方が“アムリタの野生”こと藤原さんか、と認識したのだけれど、
どうも御顔に見覚えがあるぞ、と思い返してみると、
いままでにも何度か舞台を拝見しているらしく、
さすが俺、人の名前を覚えられんボーイだと、脳のしわをクシャクシャと掻いた。


さて、本日の感想である。
面白かった。ドーナツ。
以上。

いくら俺が阿呆として有名とは言え、これではあまりにお粗末か。
真面目を気取ってみよう。


ってなわけで、
<以下、ネタバレ無法地帯>


当日パンフレットの挨拶によると“出生前診断”がテーマ、とのことだった。
現実には主にダウン症の判断に使われるらしいが、
劇中では胎児の“ドーナツ化”の有無が判定される。
妊娠8週目あたりで判定されるそれは、
エコー検診で胎児の頭の上にドーナツの陰が出来るというものだ。
判明した場合、そこで中絶を選択することも出来る。
主人公は若い女性のため、まだこれから妊娠することも出来るんだから、
中絶を選んでも良いのではないか、と医者が薦めるような感じ。

ドーナツ化で成人した人物も登場するのだけれど、
それぞれ、頭の上にハニーディップのようなドーナツを乗せている。辻本謹製ドーナツ。
ドーナツ化の症状はどういう設定になっているのかはよく分からなかった。
けど、家族など周囲の人間のケアが必要なものではあるようだった。

物語はある3兄弟の住む部屋から始まる。
長姉はドーナツ化しており階上の部屋で暮らしている。
物語の主人公は次女だ。のっけからのドタバタ劇の末、病院に搬送された次女は妊娠が判明する。
判明するといっても、ウルトラC級の技で観客にはそれが知らされるのだ。
なんと突然、胎児役が登場し、朴訥と状況を解説してくれるのである。喋る胎児。新鮮。
やがて胎児にはドーナツ化の様子が見られるようになり、相手の男性もつれなくて……、という展開。

口語演劇で作られているらしいのだけれど、
(セリフが実際の喋り言葉に近い、というやり方)
(例えば「この舞台は口語演劇で作られています」という書き言葉っぽいセリフは、
 「あの、演劇って言っても色々あるじゃないですか、あ、いや、私もそんなに詳しくないんですけど、じゃあ説明すんなよって話かもしれないんですけど、それはまぁ、あの、で、この今やってる舞台、私立ってて、あなた見てるやつ、ね、は、そのなかでも、えっと、口語演劇、ってやつで作られてたりするんですけど」
 みたいになります。あくまで例ね、過剰な)
セリフの中身が口語っぽいだけで、各人がセリフを喋る順番はカッチリ決まってて分かりやすかったです。

あと、これは辻本さんにも言ったんだけど、
笑いがある芝居ってのは良いよね、やっぱ、笑い、良いッスよ。
テーマが重そうで、口語演劇ともなると、これは厳しいぞ、と思いきや、
結構笑いどころがあって、しかも爆笑を取ってた。
僕の座った場所からだとややギミックが見えづらかったのが残念。
まぁ満席だったし、しょうがない。
個人的には、別れた奥さんが参列してくれる結婚式ってめちゃくちゃ幸せよね、と笑ってしまった。
笑える芝居が出来る役者さんっていうのは凄いと思う。
一生懸命にやるだけじゃダメだし、かと言って一生懸命にやらないと絶対に笑いとれないし。
難しいですよね、笑いって。

そしてラストは突然やってくる。
詳しくは書かないけど、なんで私だけがこうなの? という恨みだったのだろう、と思う。
幸せになる、というのは人の恨みを買う、ということなのかもしれない。

辻本さん曰く、演出ノートに書いてある意図などは、ほとんど表立って出てきていない。
らしいので、ウェブで公開されている演出ノートをまた読んでみようと思う。


観終わって辻本さんにご挨拶させて頂く。
「いやぁ辻本さん、さすがです。劇中に出てきた魚、本物と見紛う程の出来栄えでしたよ」
「うん、だってあれ本物だもん」
出鼻で失敗した。コミュ障が無理した結果がこれだよ。
「台本上では鰯となっているんだけど、今日は鰆(サワラ)を仕入れたよ」
辻本さんは一体、小道具なのか魚屋なのか、ふいに分からなくなるときがある。

演出さんが影響を受けている団体のことや、
どういうような演出方法だったか、演出ノートと実際の演出の違い、
藤原さんと演出さんがどういう繋がりだったのか、なんてことを辻本さんに解説して頂く。
観たばかりということもあるが、非常に興味の湧く解説。
俺は是非、辻本さんに「今年の舞台を振り返る会」を年末に開催してほしい。
神保町のブラジルの奥を貸し切ってやりましょう。

その後、辻本さんにお願いして、なんと藤原さんにもご挨拶をさせて頂けた。
不審者(僕)を怖がり大木(辻本さん)の陰に隠れる野性(藤原さん)。
「ガルルルル……!」
「ほら、怖くない」
(と言いつつソントン、藤原さんがお好きだと呟いておられたアーティストのCDを差し出す)
「わぁいありがとうございます!」

物で釣るとはこういうことを言うのだな、と思いました。
実際にお話させて頂くと、藤原さんは想像を超えて面白い方だった。
辻本さんが次に小道具を担当される舞台にも行く約束を交わして辞する。


帰り道、案の定と言うか、ささま書店にホイホイ飛び込んでしまい、また本を買ってしまう。
昨日積み本を減らそうと誓ったばかりなのに、もうアウトである。まぁ俺らしい。
しかし、ささま書店へ来ると、己がどれだけ好奇心を開けているかが分かるので面白い。
本に対しても、世界に対しても、自分に対しても。
前回来たときよりも、興味をひかれる本が確実に増えていた。
多分、死ぬまでに全部は読めない。抗する方法はたったひとつ。
その名は長生き。


ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴き下さい。

tio「sign」



コメント

by えこたん (URL)
とても興味深い。
とりあえずあれだ。私が妊娠した時にその覚悟があるか夫に聞いたやつ。実感ないから「ふ、腹筋しなよ!」ってな感じで答えちゃうあれだ。きっと(笑)

ドーナツは・・ドーナツ屋ぐらいしか開いてないからだ。きっと。

いやぁ、楽しそう。全てにおいて楽しそう!死ぬまで長生きしてちょうだい♪

2014.03.22 13:21 (編集)

by ソントン (URL)
腹筋、何回聞いても笑ってしまうわ(笑)!
あとカップラーメンなー。すべらへんわー。

嫌なことから逃げまくったおかげで、もう楽しいことしかないですわ。
分かった! 死ぬまで生きる!!
2014.03.23 00:37 (編集)


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