20140419Sat
君は趣味のために死ねるか


僕の友達は星を集めている。
星盗(ほし-ぬす)をやっているのだ。
生業ではなく、彼のはあくまで趣味。
このご時世、星盗だけで生活するのはなかなか難しい。
ただ、出来るだけ星を盗るチャンスが多いようにと、
彼は本業でメッセンジャーをやっている。

もし「私は星を集めています」と言われたら、
一体何のことだと思うだろうか。
ヒトデとかコンペイトウとか星一家とか?
残念ながらどれも間違い。

彼はベンツのボンネットの前についている、あの星を集めている。

やり方は簡単だ。
駐車中のベンツから星を盗るなんて赤子の手をプニプニするくらい簡単。
走行中のベンツへはロードバイクから手を伸ばせばいい。

彼の家に遊びに行くと、たくさんの星を間近で見ることができる。
引き出しからは星が溢れかえり、床にも星が散らばる。
特にお気に入りの星は額装して飾ってある。
僕のような素人目には違いが分からないけど、
彼や他の星盗、特にプロの星盗ともなると、
その星がどれだけ価値のあるものなのか、一発で見抜くという。

ベンツと言えば、ヤの付く職業の方が多く乗っていらっしゃる。
彼は恐れることなく、そんな黒・白塗りスモークガラスのベンツからも星を盗る。
ほぼプロ並の腕前で、風のようにベンツから星を盗っていく彼だが、
ときには失敗をやらかして、シバかれるときもある。
危ない場面を何度も切り抜けてきた彼の体は傷だらけである。
小指が両方無事なのが不思議なぐらいだ。

部屋のソファにゆったりと座って、
新しく盗った星を見せてくれる彼は、とても楽しそうに笑っている。
伸ばした腕には新しい傷跡が出来ている。

彼はこれからも星を集めるのを止めないだろう。
外を歩いているとき、ゴツいドイツ車から「パキッ」と聞こえたら、
きっとそれは星が盗まれた音だ。
一瞬後、君の前を青地に黄色の模様のFREITAGの残像が走り抜けるだろう。
それはまるでつむじ風。星を盗ったつむじ風。



ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴き下さい。

君は人のために死ねるか - 杉良太郎





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Gaby Comte「Ven vení」

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