20140517 Sat
村上春樹『羊をめぐる冒険』


読んだ本
満ちても欠けても(2)<完> (KCデラックス)満ちても欠けても(2)<完> (KCデラックス)
(2014/05/13)
水谷 フーカ

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個人的な思い出のある作品で。
Twitterで1巻のことを呟いたら、それを見てくださった方が、
なんとラジオで紹介して下さったのです。
ラジオに関する作品が、ラジオで紹介されるって、乙よね。


羊をめぐる冒険 文庫 上・下巻 完結セット (講談社文庫)
村上春樹『羊をめぐる冒険』

『ミラーボール回ラズ』で、僕の名前で「もう羊は数えないことにする」っていう文章を書きまして、
たぶん言われるだろうなぁ、と思ってたんですけど、
案の定、「村上春樹、好きなんですか?」って聞かれました。
そのときは波風立てるのもあれだなと思って(←俺の悪い癖)、
「ええ、好きですよー」って答えましたが、
実際には、好きでも嫌いでもない、っていうのが正直なところ。
けど、読んでないわけじゃないので、確実に影響は受けています。

村上春樹のどこが良いって、まず名前ね。
村上春樹。ムラカミハルキ。かっこ良いし、7音で俳句とか短歌にちょうど使えるし。
なぜか誰も「村上」とは言わない。「ハルキ」か「ムラカミハルキ」と言う。
で、それで分かる。っていうのが凄い。
例えば「ハルキ」って言ったときに、
「え?角川?」って返す人は、まぁおそらくいないだろうし。
さらに、村上龍のことを言おうとするときのことを考えて欲しい。

「へー本読むんだー、好きな作家って誰なの?」
「リュウが好きです」
「いやいや、ゲームのこと聞いてないし」
「違うんです、ストリートファイターじゃなくって」
「ああ、小津映画はこの人が居ないとしまらないよねー」
「いえいえ、笠智衆さんじゃなく、って知識偏ってますね」
「で、リュウってだれなの?」
「W村上の、芥川賞をとったほうです」
「W村上?ショージさんってコンビ組んでたっけ?」
「組んでないです。「ドゥーン!」の人は関係ないです。
 デビューが同時期の村上春樹と村上龍を、当時はW村上って言ったんですよ」
「でも芥川賞っていったら、ハルキじゃん」
「違うんです。ハルキは芥川賞をとってないんですよ」
「あれ?ノーベル賞だっけ、とったの」
「いや、まだとってないッス」
「へー、ハルキって凄そうなのに、何にも賞とってないんだね」
「いや、群像新人賞とか野間文芸賞とか色々とってますよ」
「どっちなんだよてめえふざけんなよ!」
「なんで僕が怒られなきゃいけないんですか!」
「そのアンタの好きな、えーっと、ドラゴンだっけ?」
「リュウです」
「じゃあ、その人はどんな本を書いてるのよ」
「『限りなく透明に近いブルー』とか」
「え?なにそれ、結局何色なの?」
「よく言われる!」

こうなる。間違いなくこうなる。
それに比べてムラカミハルキの知名度よ。
たぶん、そこら辺を歩いてる猫に聞いても、

「おい猫よ」
「にゃー」
「チミはムラカミハルキを知っておるかね?」
「やれやれ」

ってなると思う。
それほどムラカミハルキの影響は良くも悪くも強いということだ。

なんか話が脱線しまくってしまったけど、『羊をめぐる冒険』でした。
『風の歌を聴け』を読んだのは中学生の頃だし、
『1973年のピンボール』は未読だし、
3部作としての感想は言えません。すみません。

ほとんどの登場人物が、匿名性(?)高いですね。
主人公は“僕”ですし。
受ける印象としては、人物より、
来る運命?みたいなものの方が主人公なんじゃないかと思いました。
読めば分かりますけど、“僕”は全然能動的じゃないですよね。
なんつーか、女の子のことをダラダラ思い出して、
飯を作って食って、タバコ吸って酒呑んで、性交して、
そしたらいつのまにか運命が向こうからやってくる、みたいな感じだった。

いつか、チラッと書いたけど、
最近、「最後の20ページでどんでん返しが!」とか、
「最後の1行を読んだあと、あなたはもう一度最初からこの本を読み返す!」とか、
そういう煽り文に食傷気味で。
『羊~』にもそういうシーンがないわけじゃないんですよ。
けど、なんつーか、この本は読んでて慌ててページを戻ったりしない、気がする。
だってやって来てるのは運命だもの。気付いたところで戻せないし。

あと、気負ってないユーモアが漂ってる気がした。
僕が文章を書くときは、(特に会話部分で)、完全にウケを狙いにいってるんやけど、
『羊~』はまぁウケても、口の端を歪める、くらいでしょう。
全体を意識してる、というか。部分じゃなくて、全体から漂う何かがあった。
けど、フックとなる部分は各所にたんまり仕込んであって、それが推進力となってる。
“不吉な曲がり道”とかさ、それなんやねん!っていう。

全部知ってるはずの言葉で、知ってる物について書かれてるはずなんやけど、
それが全体になると、全然知らないことが書かれてしまってる、というか。
小説家ってすげぇのなーと思いました。
特に村上春樹はそれが凄い気がしますね。
全部の言葉が大体分かるから、スラスラスラーッって読めるんやけど、
けど、どっかで、ん?って引っかかる部分があって。
脳にコリッとした違和感が残る、というか。
おかしいけど、なにがおかしかったのか分からへん、みたいな気分。
居合い切りの達人に気づかぬ間にぶった切られてた、みたいな気分。
俳句いきなり入門』という本に書いてあった二物衝撃、
シュールレアリズムでいう“手術台の上のこうもり傘とミシンの出会い”、
みたいな現象が、全体で起こってる気がした。
具体的に場所を指すことは出来ないんだけど、仕掛けられたそれらが違和感の原因で。
その違和感を解くために、人は村上春樹について語るし、
またその違和感を味わうために、村上春樹の小説を読みたくなるんじゃないかと、思いました。

(ここから追記)
そうそう! これ書いとかな。
やっぱり、独特な比喩の連続なんやけど、
多分、これ作品全体で、世界とか、
そういった何か大きなもののの比喩になってるんじゃないかな、って感じました。
その印象があったから僕は、運命みたいなものが主人公だ、っ思ったし。
(追記ここまで)

ちなみに僕が一番好きなハルキ本はもちろん、
東京するめクラブ 地球のはぐれ方です。
この本で、「マウンテン」の名は全国に轟いたと思います。


ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴き下さい。

sheeprint + itoken - キリンの運び方



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