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20140702Wed
 >映画『収容病棟』を観ました

上映中に携帯を操作する奴専用の地獄があっても良いと思うナカイデソントンがお送りする、
ドキュメンタリー映画を見る会(会員俺1人)、略して

ド1人 36本目
『収容病棟』
http://moviola.jp/shuuyou/
s_byoutou.jpg
(↑お金無いって言ってんのに、パンフレット買っちゃったテヘペロの図)

ド1人18本目で観に行った『鉄西区』のワン・ビン監督作品。
『鉄西区』は、それを観たせいで腹いっぱいになりしばらく映画館から足が遠のいたといっても過言ではないほど、
超ド級(3部作545分)の映画でした。腰が壊れました。

さて今回の『収容病棟』も前後編で237分と、
普通の感覚からしたらずいぶんと長い映画ですが、
『鉄西区』の9時間強、
ワン・ビン監督と似た手法を使う、想田和弘監督の『演劇1・2』(342分)を経てきた俺です。
237分なんてあっという間ですよははは、という強がり。
いや、でも案外サラッと観れましたよ。
起承転結が付いてるわけじゃないから終りが唐突で、
えっ?もうちょい無いの? って思ってしまうからかもしれん。

中国西南部にある雲南省の精神病院が舞台。
監督自身が構えるカメラは鉄格子で囲まれた病棟へと入り、
そこで生活をおくる人々をとらえていく。

こんなこと言うと元も子もないんですが、
なんというか、観てもらうしかない映画、というか……。
公開が6月末からだったので、Twitterでは早速上半期の映画ベストに入れてる方を散見するのですが、
なんというか、それは、ボリュームがだいぶ効いてる気がするんですよね。
短かった!って言ってる人には、ちょっと待ってください、もう一回観れるますか? と聞きたい。
アクト・オブ・キリング』よりは観やすいと思う。
けど、『アクト・オブ・キリング』は体力に甚大なダメージを負う感じでしたが、
『収容病棟』はモノの考え方に甚大なダメージを負うので、もしかするとより深刻かもしれない。

ワン・ビン監督の映画は、先に挙げた想田和弘監督の“観察映画”の手法と似ている、
っていうかほぼ同じって言っていいと思うんですが、
手を加えているのは、編集だけ、です。
パンフレットによると300時間以上の素材があったみたいなんですけど、
撮影の時点ではなく、編集している間に必要不必要のカットが分かってくる、みたいです。
ちなみにパンフには想田監督の映画評も載っています。
ワン・ビン監督は何も語ってませんが、『収容病棟』を作る際に、
想田監督の『精神』の影響があってもおかしくはない時系列。
(『精神』公開は2008年、『収容病棟』の撮影は2013年)
私事ですが、
意識して観に行った初めてのドキュメンタリーはたしか『フツーの仕事がしたい』で、
ドキュメンタリーっておもしれー!て思ったのは『精神』がきっかけです。

前半観初めてすぐに、
ベッドの布団をめくると、オッサン二人がほぼ抱き合うようにして寝てるので衝撃。
なんか観ちゃいけないもん見てもうたーって、こちらとしては思うんだけど、
観ていくうちに、それが全然普通のことだって分かってきて、すげえ混乱する。
冒頭からしばらくしたシーンでは、寝てたおじちゃんがモソモソ起き上がったと思ったら、
下半身丸裸で、寝惚けたような足取りでそのまま廊下をトコトコと歩いていき、
廊下のど真ん中で放尿ね。で、部屋に戻ってきて、そのままベッドイン。

潔癖症の人はまず間違いなく観るに耐えない映画だと思った。
3年間掃除をしない男こと俺でも、ちょっとこれはゾワワー、って思ったくらいですからね。
それでも観ていくうちに慣れる部分もあり。
皆平気で全裸で寝てるし、
痰とか部屋の床に吐き捨てるし、
っていうか基本的に、部屋の中に置いてある桶に放尿スタイルだし。
トイレもちゃんとあるんですけどねぇ。
皆めんどくさいのかな、くらいにしか思わなくなってくる。
ベッドの上に立ったまま放尿する豪の者も居るくらい。
しかも桶に前回までの尿がたまってんだよな。
そのジョボジョボジョボーって音がまた無駄にリアルで、
(『鉄西区』もそうだったんですが、ワン・ビン監督は生活音・効果音を録るの上手すぎ)、
しないはずのホカホカとした臭いが鼻先に。ぎゃーす。

あ、そうそう、舞台は精神病院っていっても、なんと、全員が精神病ってわけじゃないんですよ。
公式ホームページにも書かれてるんですが、たとえば、

“政治的な陳情行為をした者や「一人っ子政策」に違反した者までもが、
 “異常なふるまい”を理由に収容されている。”

っていうような場所なんです。
で、予備知識無しで観に行くと、この注釈が映画の最後に出てくるので、
「えっ!?」って思う。
精神病院のドキュメンタリーって先入観があるせいもあって、
正直、全員が精神病患者にしか見えなかったんですわ……。

全体に200人以上の患者いるうち、まぁ映ってるのは男性患者のごく一部なんですけど、
それでも皆どっかおかしいように見えてしまう。
たしかに中にはマトモっぽく見える人もいるにはいるんですけど、
『精神』でも「カットー! ガハハハ!」って言うオジサン(名前、失念)とか一見普通だったし、
まともに見えても、どこか悪いんだろうなぁって思ってたんですけど、ね。
実際監督もインタビューで、

どうやらこの人には精神疾患はなさそうだと感じた人は数多くいましたが、
どの人がどうだとはっきり断定することはできませんでした。

って言ってるくらい。
なんていうか、マトモなのか病気なのか、その境界が溶けてしまう映画。

以上のような感想は、『精神』を観た時も同じように思ったんですけど
今回はさらに、生きるって何やろ、生きてるって何やろ、ってことまで思った。
だってさ、たしかに「ここから出たい」とか「家の方がマシ」って言ってる人もいるけど、
大半の人は病院の規則に文句なく従って生活してるし、
その中で楽しさや幸せや、愛、を見つけてるし。
たった数十メートル四方の、鉄格子に囲まれた回廊の中で、ですよ。
クソ広いはずの世界で生きてる人々(俺ね)がなんとなく掴み損ねてしまってるものを、
ほとんど何もないはずの彼らが、少しにしろ見出している。
彼らには無い自由を僕は手にしているはずなんですけど。
つまり、自由=幸福、ということではないわけで。なんなんだ、幸福追求権って。

だって、劇中一度だけ、カメラが退院患者を追って病院の外に出るんですけど、
(一番は空間的な意味で)自由を手にしたはずの退院患者は、
どうしたって病院の中のほうが幸福そうだった、気がするんです。
家じゃ全然歓迎されてないんですもん。
あそこは、中国スゲェな、と思いましたよ。
幸せを確かに掴むことは出来ないかもしれないけど、日本に生まれて良かった、と。

収容期間5ヶ月という青年が、のんびりとした口調なんだけど、
機関銃のように話しまくるシーンがあって、
もしかすると歌か何かの歌詞かもしれないんだけど、
そのフレーズがいちいち詩みたいに聞こえて、
(「東へ行くバスは1本だけさ、西へ行くバスはたくさんあるのに。スカーフが必要なんだ」って感じ)
詩人と狂人は紙一重、というのはマジだなと思いました。
あのシーンのセリフを曲にのせるだけで、かなりいい感じの歌が出来ると思う。

そして一番思ったのは、あの中に3ヶ月も居て、監督よく正気で居られたな、ということですね。
患者の1人が、「この中に居たら誰でも初めはまともでも誰でも精神病になってしまう」みたいなことを言うんですけど、
本当にその通りだと思う。キツイよー、あの環境は。ゆっくり寝るのも難しそうだもん。
で、そんな中で収容年数10年越えの人たちがバンバン出てくるんだから、
もう、わけがわからん。

……とにかく、……えーっとですね、
たとえば、遊園地の乗り物って言葉で説明されても分からないじゃないですか?
あんな感じなんで、興味のある方は、実際観てみて下さい。
言葉を尽くすよりは、観てもらって、でそのあと一緒に考えましょう、ってな感じの映画でした。


参考として、ネットに挙がってる記事は、
今週末見るべき映画「収容病棟」(exite)
ワン・ビンが雲南省の精神病院を撮影「患者たちに普段の日常を送ってもらうため2メートル以上近づかないと決めた」(webDICE)
さまよえる人間たちの“生”を記録した映画とは?(ぴあ映画生活)
ワン・ビン監督と信頼を築く日本人プロデューサーが語る『収容病棟』(ぴあ映画生活)
【Review】ワン・ビン定食/停滞の作家の現在地――『収容病棟』(webneo)
など。予習するもよし、復習するもよし。
僕はこれから読みます。

あと関連図書、ちょっと前の写真集でこんなのがあります。

忘れられた人々―中国精神病人的生存状況忘れられた人々―中国精神病人的生存状況
(2006/09)
張 大克、馬 小虎 他

商品詳細を見る

都築響一さんの本を読んで知ったんですが、良い写真集。衝撃的です。


映画『収容病棟』予告篇



  

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