20140714 Mon
宮崎夏次系『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』を読みました


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宮崎夏次系『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない(講談社)
を読みました。
マンガスキーの一部で話題沸騰中の宮崎夏次系さん。
僕は問題ありません』、『変身のニュース』に続く、
これが三作目。今まで出されてるのは全て短編集です。

絶賛の声が多いなか、いままで放置に放置を重ねて、
あ、もしかするとこのまま俺読まないかもしれないな、と思ってたんですが、
ありがたいことに読む機会が巡ってきました。

なぜに敬遠してたかと言うと、THEサブカルっぽい、からです。
ほらー、ビレバンとかにさー、平積みされてそうじゃんかー。
いや、言われるまでもなく僕自身がサブカルクソ野郎なのは自覚しているつもりでありますが、
ゆえに! だからこそ! サブカルっぽいものを手に取らないという、
ねじくれ返りすぎてもはや修復不可能な自意識過剰!!
それでこそサブカルクソ野郎!! ってうるせえよ俺。

そんなこんなでようやく手に取ったのですが、
やっぱりサブカルっぽかったです。
サブカルの中でもオシャレサブカルの方でした。
サブカル色眼鏡付けないで内容読めよ、って話なんですけどね。無理ですごめんなさい。
下北沢ビレバンの手前の方に置いてある感じの奴。
奥に行くと丸尾末広とかそっちの方のサブカルゾーンになるから気をつけな。


さて感想。
9個の短篇が収録。1つ20~40ページ。
先に言うと、1個百合レーダーが反応するの入ってました。良かったです。

まず何が良いって、間違いなくタイトルでしょ。
「夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない」て。
カッコ良すぎやん。
タイトルフォントも超ナイス。これどうやって作ってんのやろ。
装丁も良い。“セキネシンイチ制作室”が担当。
知らん名前やなー、って思ったけど、
有名作品の装丁をたくさん担当されてた。俺無知あちゃー。

絵は、ヘタウマって言っていいのかな?
パラッパラッパーみたいな、キャラクタライズされたペラペラな感じの絵柄で。
少年少女~青年は可愛い絵柄で描かれてるんやけど、
大人の大部分は変にデフォルメされた、微グロとでも言ってしまえるような感じで描かれてる。

擬音・効果音のフォントとその言葉選び自体が上手い。
ちなみに、のっけに入るのが電車の音で「ヴァ~ ポコチンポコチンポコチン」。良いやん。
同じ1話目で言うなら、傘が開くところの擬音には胸を掴まれる。
主人公が悩んでいるのは、(他人からすれば)そこにこだわらなくてもいいことで、
それがこの傘の開くマヌケな音に集約されている。
同時に(文字通りの意味で)福音だという感じも出ていて、ほんと上手い。

あと起承転結の“転”がアクションで表されるときが特にそうなんやけど、
シュバッってした動きの描きかたが面白いし、唐突感がすごく出てる。
1話のブリッジや傘、3話のテーブルダイブ、4話の盆踊り……。
さらに言うと、陰影の付け方がものすごく上手い。
(↑これは『タマフル』で星野源さんも言ってた
ベタ、線、トーンがうまく使い分けられてて、
けど絵柄がノッペリしているために、平面的な夢のような印象を受ける。
僕はエドワードホッパーの絵画を思い出した。
陰影をさらに活かすためか、季節が夏に設定されている話が多かったです。

オビには、
“「さみしさ」には、種類がある”
っていう惹句が書かれてるんですが、さびしさ、っていうよりは、
やるかたない、って気持ちの方がハマる気がした。
自分でも掴めてない感情なので言語化できず誰にも伝えられず、
積もり積もったそれが表出する、ってのがどの話にもクライマックスにあって。
言ってしまえば、コミュニケーションが上手くない人たちのお話だった。

1話目ですでに掴まれはしたんやけど、僕が特に好きだったのは、
6話目の「毎日」という話で。
しょっぱなの葉っぱの書き込みに、おっ! って思ってあとはグイグイと。
上手く言えないんですけど、
すげえよく分かるわ! って話でした。
男って。特に草食系って。 これ! あるよね! ね!? っていう。
上手くすれ違うことすらできない、っていうか。コミュニケーションブレイク!
これと「なほちゃんの白いたまごやき」は若干被ってる気がして。
個人的には「毎日」の方が良かったです。
「なほちゃん~」はジェンダーが出すぎてる印象。

ここがこう面白い! って具体的には言いにくいマンガやから、好き嫌いは分かれそうです。
シュッと流し読みしてしまいそうなんやけど、
釣り針が、しかも、かえし(バーブ)付きのやつが仕掛けてあって、
読み終わったあとにしっかり残るものがありました。


ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴き下さい。

「世界征服やめた」 by 不可思議/wonderboy

1:50から良くも悪くもキターってなる。
舞台でも叫び芝居が結構好きだったりしますオイラは。エモいやつ。



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