20140817 Sun
珍物食 軍国酒場 @鹿児島天文館


先日ブログに書いた、先輩のバレエ発表会。
古本屋が軒並み閉店だったこともあり、開演までにずいぶん時間があった。
本でも読んで時間をつぶそうと入ったカフェーでは、
女子大生7人によるガールズトークが爆裂開催されており、
己のいたたまれなさにカレーを一気にかきこんでいそいそ退散。

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桜島を拝んだり、

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鳥居が超デカイ神社にお参りしたり、
そして天文館を中心にテクテクと、散策なぞしてみた。

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すると、ものすごく趣のあるビルを発見。
あとから知ったのだが、「祇園会館ビル」という名前らしい。
1階にはほぼ屋台といってもいいような、カウンターだけの飲み屋が2軒連なっていて、
ダメな大人たちが甲子園をツマミに昼間っから酒を飲んでいました。
飲み屋の屋根の上に雑草が生えているのとか本当に最高。

s_IMG_2782.jpg
反対側に回るとこんな感じ。
すごいレトロなカラオケ&まんが喫茶だなー、と思い、
どうせ時間あるから覗いて行こうかなと、
ビルの入り口に足を踏み入れると、

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天文館で50年
 国道10号線 隼人で30年
 今だ現役人の力なり

 天文館軍国酒場 4階

な、なんか見つけてしまったー!!

慌ててiphoneで“軍国酒場”と検索。
営業は19:00~24:00ということが分かった。
ああ、俺、こういう星の下に生まれることが出来て幸せだ。

よし、行こう、と。

バレエの発表会がメインのイベントならば、
軍国酒場はボーナストラックか。

ちなみに、他に軍国酒場を紹介しているサイトは
ロケットニュース24
新日本DEEP案内
TundieBlog
などがありますゆえ。
店の内装やママさんのお顔などは、
上記リンク先を参照して頂くとして、
以下、俺の体験記を。

バレエの会場を出て、再び天文館へ。
夜になると一層廃墟にしか見えない祇園ビル。
お盆ということもあり、周りの店がほとんど閉まっているなか、
軍国酒場、絶賛営業中のようです。
なにせ、周囲に響きわたる爆音の軍歌。
まるで洞穴の奥から聞こえる怨霊の声のようだ。
軍国酒場まで上がる階段にはまったく電気が点いておらず、
特に2・3階は本当に暗い。
軍歌さえ流れてなければ、誰もこんな真っ暗な廃墟になんて入ってこないはずだ。
s_IMG_2787.jpg
(↑写真は3~4階の踊り場)
壁には
「ぜいたくは敵だ」
「欲しがりません勝つまでは」
など、墨で書かれたソリッドな言葉が貼りつけられている。
階上から漏れてくる青い光に照らされ、
まるでおばけ屋敷か見せ物小屋のような雰囲気だ。
だいたいのいちげん客はここで引き返すだろう、そんな階段を、
「ワタシ旅先では大胆になっちゃうの」
っていうシロートモノの安いAVみたいな性格をしている僕はガシガシ上っていきました。

のちほど知ったのだけれど、
僕の大好きな屋上写真で、“天文館のビル”とだけ分かっていた場所が、
どうもこの祇園ビルの屋上だったらしい。
次回行くときは、ぜひ屋上まで上ってみたい。


4階に着くと、目の前広がるはこんな光景。
s_IMG_2789.jpg

怖いよ。知ってる人しか絶対に入らないよ。
バリケード、っていう雰囲気が出まくっている。
はやる気持ちを抑えるため、一旦店の前を通り過ぎ、
少しだけ祇園ビルの奥の方へ歩を進める。
どうやら、軍国酒場以外は事務所の入るマンション?のようで。
廊下天井の蛍光灯は切れていて、軍国酒場周りの青い蛍光灯の光が、
廊下の途中までをほのかに照らしている程度。
奥からいきなりゾンビ犬とかが出てきても全然おかしくない雰囲気。
それぞれのドアには「○○事務所」「○○会」なんていうプレートが貼ってあった。
もしも鹿児島で探偵事務所を開くことになったら、絶対に祇園ビルでやろうと心に決める。


さて、いよいよ軍国酒場へ突入だ。
引き戸に手をかけると、突如
ジリリリリリリ!!
という非常ベルが鳴り響く。

 も う 逃 げ ら れ な い 。

いやいや、こちとら旅先では大胆になっちゃうシロートAV嬢である。
引き返すつもりなど毛頭ないのだ。
色々と内装がせり出していて、まさに洞窟を思わせるほど狭い入り口をくぐる。

入り口を抜けるとそこは昭和アンダーグラウンドでした。

あのとき目の前に広がった光景を、文字で表すことができるだろうか、いやできまい。
思わず息をのむような光景だった。
店内の隙間を埋め尽くすようにぎっしりと物物物。
向かって左がカウンター。
右には小さなテーブル席が3つ?だったろうか。
元はそんなに狭くはない空間なのだろうけれど、
壁に天井に、とにかく物が吊され飾られ貼りつけられ。
ふだん、ミニマルな内装のオシャレなカッフェーに慣れた人間は、
思わず奇声を挙げながら逃げ出してしまうに違いない。

しかもその大量の物々が、ほぼすべて戦時中の貴重な資料なのである。
テーブル席横の壁には当時の新聞記事雑誌記事ビラなどがズラリ貼りつけられ、
暗くてよく見えないのだが、店内奥には軍服やら何やらが飾ってある。
天井には二つに割られた竹と藤の枝がぶわーっと貼りつけられて垂れ下がって。
上空に渡された紐からは、カラオケ用のマイクが2本垂れ下がって。

耳に飛び込んでくるのはノイズが乗りまくった爆音のレコードサウンド。曲は当然軍歌だ。
おそらくは相当古いレコードなのだろう、針が飛びまくるために、
奇しくもサンプラー音源のようなざく切りカットで曲が進み、えも言われぬ効果を生みだしている。

「異空間」とは、まさにあのような部屋のことを言うのだろう。
そんじょそこらのアトラクション居酒屋じゃ絶対にかなわない。
建物は尋常じゃなくボロく、展示物は戦時中のマジ物、のはずなのに、
なぜだかサイバーパンクな雰囲気がありました。
(「ロケットニュース24」の画像1枚目、
 ママさんが敬礼してるやつを見て頂ければお分かり頂けると思います。
 こんなん大友克洋のマンガでしか見たことないわ!)

「1名入隊ー!」

やけに通りの良いママさんの声で我に返った。
おぼろげな記憶だけれど、たしかカランカラン!と鐘のような音も鳴った気がする。
お邪魔しまーす、と言いながら席を探す。
カウンターには20代前半と思われる女性と、40代後半のおじさんが、
あいだに席を一つ空けた距離で座っている。
どういう間柄なのだろうか。
僕もカウンターに座りたかったのだが、少し前まで他のお客さんがいたのだろう、
灰皿やコップなどが片づけられておらず、
「お好きな席へどうぞ」とママさんに促されるまま、
真ん中のテーブル席へと腰を下ろした。
すぐにカウンターに座った男性に声をかけられた。

「お兄さん、どうして来たん?」

当然の疑問である。

「あ、下で看板見て、面白そうだなと思いまして」
「あれ、軍歌の人?」
「いえ全然知りません」
「じゃあ自衛隊さん?」
「いえ一般人です」
「どうして来たん!?」

至極当然の疑問である。

「いや、なんか面白そうな店だと思って」
「変わった人だねー。ママ、このお兄さん、たまたま見つけて来たんだって!」
「お飲物は何になさいますか?」

ママさんは基本的にマイペースだった。
メニューなんて無粋なものは当然置いてないので、
とりあえず間違いのないビールをお願いすることにした。

「あ、じゃあ、ビールお願いします」
「はい! 魚雷発射ー!」

……なんですと? いま、なんですと?

どうやら軍国酒場の飲み物は2種類だけで、
ビール=魚雷
焼酎=爆弾
という呼び方らしい。
少しまえに行った、志な野のヤッホー茶漬けを思い出したりした。

飲み屋あるあるだと思うのだけれど、
客が自然と店の手伝いをする店は、とてもいいと思う。
僕も新宿の朝起では2階までオーダーを運んだりした。

というわけで、お父さんにビールをお酌して頂き、乾杯。

「いやあ、たまたま入ってくるなんてホントに珍しいね。
 この店は、常連か、軍歌マニアか、ほら、そこのお姉さんみたいな、」

気になっていた男女関係を、図らずもお父さんご自身の口から直接聞けるとあり、
思わず身を乗り出した。

「自衛隊の人しか来ないよ」

なんですとー!?

話によると、お姉さん(つっても僕より全然若いんだけど)は、
防衛大学の学生さんで、夏休みの帰省中とのこと。
ネットで軍国酒場のことを知り、わざわざ足を運んだらしい。
めちゃめちゃ笑顔でエンジョイしてらっしゃっいました。

「配給ー!」

ここでママさんの鶴の一声があり、僕に配給(お通し)が渡ってきた。
・落花生
・カンパンとコンペイトウ
・ゆでたまご
それぞれが昔懐かしい感じの皿に乗ってやってきた。

「ゆでたまごおいしいから! はやく食べて!」

お父さんに言われ、
ゆでたまごにそこまで美味い不味いってあったっけ?
という素朴な疑問を胸に秘めつつ、いそいそと殻をむく。
塩を振り、一口。ビールで流し込む。
お腹が減ってることもあり美味。
すると、ママさんが、

「カラオケ何にしますか?」
「じゃあね、○○○で」

当方、音楽はよく聴くほうだと思うが、
軍歌は完全にフィールド外のジャンル。
あわあわしているうちに、
カウンター端に置かれた妙に大きい液晶テレビにカラオケが映し出された。
緊張のあまり、1曲目にかかったタイトルもよく覚えておりません。
まずはお父さんが歌い、
次の曲は、お姉さんが自らリクエスト。
さすがは防衛大学生やー! と唸ってしまうほど、
完璧なメロディ節回しで歌いきってらっしゃいました。
ちなみにこの2曲の間、私は負けじと必死に手拍子で喰らい付く。
曲も終わったところで、置いておいたゆでたまごに喰らい付こうとしたところ。

「お兄さん、ゆでたまごなんて食ってる場合じゃないよ!
 ほ・ら! (と言ってマイクをビャッと差し出す)」

お父さんさっきと言ってることちょっと違ってはる!

しかしこんなところで負けてはいられません。
楽譜の初見演奏には定評のあったナカイデ(元・吹奏楽部チューバ担当)、
いくしかねえ! とビールを一気。マイクを握り締めました。
お父さんのガイドメロディーとアイコンタクトもあり、なんとか完唱。

「お兄さん、ほんとに知らないの?」
「はい!すんません!ぜんっぜん知らないです!」
「そのわりには上手いねー! ママ、何点?」
「90点!」

俺、思わぬ高得点叩き出したー!!

「いーや、まだまだだね、75点だね」
「それでも、そこそこ高いですよね」

その後もそれぞれ1曲ずつくらい歌い、
最後には3人で『父よあなたは強かった』をマイクリレー
いやー、めっちゃ楽しかったです。

終電なので、というお姉さんが、
記念にお願いします! と言って、ママさんと一緒に記念撮影。
(お二人の敬礼がめっちゃカッコ良かった)
先に店を出て行かれました。

「いやぁ……、ね」
「はい」

(このやりとりで、お父さんの手から僕のグラスに、
 焼酎が並々と注がれている絵をご想像ください)

で、詳細は割愛するけど、

その後、お父さんと1時間くらいサシで話しました。

「お兄さん上手いねー、仕事、営業?」

なんて言われちゃったよ。やったね。
心に残るすげえ良いフレーズを頂いたりで。
っていうか、お父さんがほんとにめっちゃいい人で、
飲み屋に行くたびトラブルに巻き込まれる星の下に生まれた僕としては、
久しぶりに楽しく心安らかに呑めました。
ママさんからもお店の歴史や隊長(=店長)である旦那さんの話を聞いたり。
とても充実した時間だった。

そして、あっという間に、気付けば閉店の0時。

「おっと、ママ、ごめんね長居して。
 じゃあ、お兄さんのぶんもお勘定」

ま さ か の ー !!

それこそ契約が取れた営業マン並に頭を下げてお父さんをお見送りしました。
お父さん、最後の最後まで良い飲み方をする人だった。
僕に気を使わせないようチャッと帰っちゃうところとかホントにカッコよかったー。

僕もママさんにお礼を述べて、フラフラと退散。
引き戸に手をかけたところで、元気な声でお見送りされました。

「1名満期除隊! ご健闘祈ります!」

軍国酒場、最高に良い店でした。
ごちそうさまでしたー!



銀杏BOYZ 人間  Part 1

手拍子いらねえよって思ってたら



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