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20140815Fri
 >夜ふかし


↓桐村さんのあいかわらず素晴らしいイラスト


↓私のあいかわらず安っぽい話

夏は熱帯夜。
外はまだうだってんのだろうか。
うだるような暑さってんのだろうか。
出たくない、一歩たりとも。
なんてうだうだってるうちに終電は行ってしまったよジョバンニ。

比して此岸は涼しやびばのん。
クーラーを発明した者を呼べ。褒美をやろう。
もしくは世界か雪見だいふくの半分をやろう。
代わりといってはなんですが、アイスの実をひとつ下さいチョコ味以外で。

トールグラスについた水滴を指でつつついと集めた。
人差し指にぷくり乗った水滴を見るじっと見る凝視する。寄り目で。
この僅かな水量にもきっと微生物やら何やらいて、生きてて。
食べて、祈って、恋をして、いるのかもしれない。
ちいさなちいさなせかいです。イッツスモールワールドです。
せかいーじゅーうーどこだーあってぇーわらいーあー
ぷちり。
親指でつぶした。
幾千億の命がいま、天に、のぼる。ぷしゅしゅしゅしゅしゅー。
我が名は無慈悲。残酷な神。崇め奉れよ、さもなくば、死を!!

「ねえ、あんた、また変な妄想ショウ繰り広げてるでしょ」
「ひゃい? うむ、いえ、あの。……『メン・イン・ブラック』って映画、知ってます?」
「知ってる知ってる。私のオールタイムベスト1だよ」
「あのラストで、JとKのいる世界(つまり我々の地球)もちっぽけな球にすぎない、
 ってシーンが出てくるじゃないですか」
「あ、そういえば、『メン・イン・ブラック』のゴキブリと、
 キューブリック『フルメタルジャケット』のほほえみデブって、同じ役者さんなんだよ、凄いよね」
「すみません、キューブリック観たことないんで」
「響けよー、打てばー」

やっぱ映画は結構詳しいんだ、キューブリック観なきゃな、と脳内メモする。
けどオールタイムベスト1が『メン・イン・ブラック』なんだよな。
……詳しいのか? 一週回って逆に、的なあれなのか?

「で、あんたどうやって帰んの」
「タクリマスヨ」
「ぎゃっ! なにそれ富豪!?」
「貧民なんで、いさせてくださいよー、始発まで」
「セコム相手に言い訳しきれるならいいよ寝てって。床でな」

カウンターの向こう、彼岸にいる相手に向かってふくれっ面してみせるが、
敵はそれを軽くいなし片付けを終えた。
あとは私を追い出せば閉店は完了ということか。退かぬ、退かぬぞっ!
ビールサーバーをしめる前に入れていた1杯が、私の隣にやってきた。
敵は仕事を終えた笑顔で、こちらは頬をふくらませたままで、乾杯。
席ごとに吊るされた電球の灯り。影が、付いて、離れる。

「お盆にわざわざ来てくれるのは大変ありがたいんだけどねぇ」
「じゃもっと感謝してくださいよ、それを態度で表してくださいよ」
「終電無くすようなめんどくさい客への感謝はゼロだよ」
「まだだ! まだ残高はあるはずだ!」
「ないです、むしろ赤字です」
「ドロー! 徳政令カード!」

財布から適当にドローしたどこかの店のポイントカードを、
人差し指と中指ではさんでJOJO並にビシッときめる私を無視し敵は、
生ビールを半分ほど一気に飲んで、気持ち良さそうに息を吐いた。
その仕草が色っぽかったので、ちょっと恥ずかしくなって、
こそこそとポイントカードを財布に戻した。

だって、あれでしょー? 自転車で来てるんでしょー? 近いんでしょー?
じゃ、いいじゃないですか、お部屋に連れてってくれても。
呑みなおしましょうよー、途中のコンビニ寄ってさ、
ビール2本とワイン1本、あとツマミなんかも買っちゃって、
あ、それか、「わたし何か作るよ」でも可。可っていうかそれ最高。
結局ビールは途中で飲み始めちゃって部屋着いて、
ワイン開けて改めて乾杯して、テレビつけるんだけどもう何にもやってないから、
なんかDVDでも観ようって、夜だし静かなのにしようと、
かけたシリアスな映画観はじめものの10分で私寝落ち(ワザと)。
ちょっと、寝るんだったらちゃんと寝なよ、
だいじょーぶれす、私、床で良いれすおやすみなひゃいって言うんだけど、
ダメだよほらベッドに、どっこいしょ、ってなった瞬間、
ふらついたふりして押し倒します。
なんて言えるかーい!

「どこまで妄想行った?」
「……地球は4回滅びました」

ビールはすっかり空になっていた。
代わりにタバコに火が点く。
かたや私のグラスはまだ半分くらい残っている。粘ってやんよ。

「世間様はお盆かー、あんたは何連休なの?」
「5連休です」
「いいねー、それだけ休みあったら、私なら波照間島とか行ってさ」
「わざわざそんな遠くまで行ってなにするんですか」
「なんにも。ただ浮き輪なんか浮かべて。気付いたら寝ちゃってて、
 次に目を開けたら、目の前には、星だけが、なんてね」

グラスを持ち上げて隣を見る。
チャイナブルーの向こうは青。
レモンの浮き輪に乗って。風は静かですね。
窓ガラスに映った電球、星みたい、キラキラキラ。

「海の中でタバコ吸うってのも素敵ですね」
「は? 何言ってんの? バカなの?」
「バカです」
「うん、知ってた、ふふ」

だめですよ、くわえタバコで、そんな顔で、笑ったりなんかしちゃ。
ああ、もう。


If I Were A Fish - Mum



  

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このブログのタイトルは OFZK です
ソントン という人間が書いています
だいたい本を読んでいます





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