20140921 Sun
ソウルキャッチャーズはフィクションです


中学高校大学と、ずっと吹奏楽部だった。
高校では2年までで引退するっていう伝統で、
大学は中退してるので、実際は7年間、吹奏楽をやってた。

日本は、世界でも異例なくらい吹奏楽部が盛んな国らしくて、
他の文化部に比べると圧倒的に人数が多いし、
その上で、スラムダンクが流行った頃のバスケ部みたいに、
メディアの影響で、吹奏楽における団塊の世代的な時代がたまにやってくる。

たとえば、僕の1つ下の年は、当時人気絶頂だったSPEEDが主演のドラマ『L×I×V×E』の影響で、
ちょっと前では『笑ってコラえて』内の「吹奏楽の旅」の影響で、
新入部員がドッと増えて、先輩の指導の手が回らなくなり、嬉しい悲鳴が上がる。

ただ、全部の新入部員が長く続くかといえば、そうではないわけで。
中学では特にそうだと思うんだけど、希望の楽器を吹けるなんてそうそうなくって。
俺なんて“男子”っていう理由だけでチューバ持たされた。結局6年間吹いたけど。

で、まず楽器を持って何をやるかって、ひたすら基礎練、っていう、
メトロノームを120に合わせて、
(ピアノ教室とかに置いてある、びっくりするくらいアナログな装置のこと)
音が全音符(メトロノームの音が8回分)でブレずに吹けるようになるまで、ロングトーンっていう練習をして、
それから運指を覚えるための、スケール練習っていう、
ドレミファソラシドを、
吹奏楽の基本の調・Bbdurから半音ずつ12個、それが出来たらmolでさらに12個、
指が覚えて勝手に動くまで練習して、
あとタンギングの練習といって、4分音符8分音符16分音符を、
テヌート・マルカート・スタッカートをそれぞれ、これも適当なスケールで練習して……。

曲は、ようやく、秋くらいに1つ渡される。
僕が初めて吹いた曲はP.スーザの『士官候補生』だった。
夏の頃から練習して、10月の定期演奏会で演奏した。


それに加えて、なぜか走る。吹奏楽部ってのは走る。
野球部よりも声を張り上げながら運動場を走る。
なぜって、肺活量を増やすため、に決まってるじゃないか。
トラックを何周か走ったら、腹筋と背筋。各2セットずつ。
僕の学校がド田舎にあるから、こんな筋トレメニューが存在したのだ、と、
黒歴史のように思ってたんだけど、
最近読んだノベルス、古野 まほろ『天帝のはしたなき果実』に、
「楽器を腕だけで支えきれてねーから音が揺れるんだよ! 腕立て増やしとけ!」
みたいなやり取りが出てきて、
あ、吹奏楽=筋トレって全国区だったんだ、と感慨深かった。

基本的に土日や長期休みも毎日練習だし、
夏のコンクールの時期は、過酷な環境下で朝から晩まで吹き続ける。
はっきり言って、ドMじゃないとやっていけない。

僕は男子だから平和だったけど、
基本的に吹奏楽部ってのは女子部員が多い。
それでまぁ、……ご想像にお任せする。特に中学は怖かった。


あと、楽器って、絶望的なほど上手くならない。
いくらやってもホントに上手くならない。
息は全然続かないし、音域は広がらないし、指は回らないし、音程は当たらない。

代わりに周りはバンバン上手くなっていく。
フォルテの全音符がもつようになる。
粒の揃った16分音符が吹けるようになる。
複雑な運指もこなせるようになる。
三音のピッチ調整が瞬時に出来るようになる。
ソロでもビビらなくなる。
スコアや参考音源から曲想を掴める様になる。

いくら焦っても、いくら練習しても、自分はそのようになれない。
「出来ないことを出来るようになるのが練習だ。
 合奏には出来るようになってから参加しろ!」
そんなことを言われても、出来ないものは出来ない。

僕がどれくらいの腕だったかというと、
例えばチューバが3人いて、楽譜はしばらくp(ピアノ=小さい音量で)の指示が出ている。
3人で吹くとうるさい。そんな場面。
合奏練習の途中でその部分を、指揮者の指示で1人ずつ順番で吹かされる。
頑張って練習してきたものの、部員全員の前で吹くとなると緊張して、普段どおりには吹けない。
指揮者が「じゃ、ナカイデくん、ここは休んで」。僕は楽譜にバツ印をつける。
まあ、そんな程度の腕だった。

結局、初心者でも上級者でもない、下手でも上手くもない、
そんなところで、諦めて、辞めた。


あれからもう10年がたち、途中でまた1つ、バンドを辞めたことを含めて、
今思うに、いや、ただの負け惜しみだから、こんなこと考えたくないんだけど、
きっと、諦めずに、信じて、続けた奴が、上手くなる、のだろう。

僕は、大学も部活もバンドも舞台も辞めて、今に至るけど、
いつかどうしようもなく、続けたいことが出来たら、
今さら、とか、この齢で、なんて思わずに、
次は評価とか気にせず、のんびり気長に、やってみたいと思う。
そのときは上手くなれるだろうか。



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山瀬まみ「ゴォ!」


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