20140922 Mon
ヘタウマってのもありますし


昨日のブログで「僕は次こそ上手くなれるだろうか」みたいなことを書いたけど、
上手けりゃ良いなんてことは露ほども思っていない。

たとえば、知り合いのライブなんかに行くとき。
知り合いの他にも対バンで色々なアーティストを見る。
最近のアーティストは、みんな本当に上手い。
インディーズで出てきたバンドなんかを聴いてもらうと分かるだろうけど、
上手くて当たり前、くらいになってきている。

けど僕は、特にライブでは、上手いバンドにはあまり興味をひかれない。
見終わってから覚えているのは、どちらかというと下手なバンドの方である。
たしかに、下手くそだから他と比べてインパクトがある、という理由もあると思うけど。
下手なりに一生懸命、自分達で楽しんで、お客さんを楽しませて、っていうふうにやってるバンドの方が、
聴いてて胸にグッときたりする。

ただただテクニック的に上手ければ良いっていうのなら、
全人類が、ジャズなんかはマルサリス兄弟を聞いてるはずだけど、実際はそうはなってない。
スピーカーから本田雅人の音しか聞こえてこなかったら、多分僕はノイローゼになると思う。
上手下手、っていうのはただの指標でしかないと思う。
ただ、以下のことは間違いなく言える。

上手い=技術がある、っていうことで、
技術がある=表現できることが多い、ということだ。

表現できることが多いと、何が起こるのか。
受け手に意志が伝わる可能性が高まる。

そのために、上手くなる必要はあるのだ。
独りよがりの時期はそう長くは続かない。
やがて聴き手に演奏を届けたくなるときがくる。
聴き手が表れた瞬間に気付くのだ。
自分のやりたいことが、100万分の1も伝わっていないことに。
あるいはこう悩む人も出てくるだろう、
はたして自分は何のためにやっていたのだろうか、と。

つまり一番大事なのは、何がやりたいのか、という気持ちや意志だと思う。



吹奏楽部には、通称・夏のコンクール、という一大イベントがある。
初対面でお互いに元吹奏楽部員だと分かると、はじめに、
「楽器は何をやってましたか?」という質問にはじまり、
年齢が近いとなると、次の質問は間違いなく、
「課題曲は何をやりましたか? 自由曲は?」となる。
それくらい吹奏楽部業界では大きなイベントなのだ。

ちなみに僕は、パッと答えられるのは高校のときのだけなのだけれど、
1年で「道祖神の詩」と「中国の不思議な役人
2年で「平和への行列」と「プラハのための音楽1986
を演奏した。
自由曲の選曲で、東海地方の吹奏楽関係者には分かって頂けると思うが、
指揮者の先生がもう完全に、愛工大名電のフォロワーだったのだ。
(高校生なんてヒヨっ子なので、選曲は指揮者の希望が通ることがままある)

毎年4~5曲提示される課題曲の中から1曲と、
もう1曲各校が自由に選べる曲を、
規定の時間内に続けて演奏し、その優劣を競う、というコンクールだ。
学校の部活で吹奏楽をやっているなら、
ほぼ全員、避けては通れない一大イベントである。

おかげで春以降の土日は練習、夏休みも練習、合宿に行って練習、
結果、コンクールの楽譜は大体こんな感じになる。

(ちなみに画像の楽譜は、夏のコンクールではなく、冬のアンサンブルコンテストの楽譜なのだが、
 まぁ、似たり寄ったりの状況になる)

夏のコンクールの結果次第で部の運命が決まってしまう、といっても過言ではない。
勝ち進めば学校からの予算も出やすい、環境も良くなり練習もはかどる、
あそこの学校は上手いと評判になる、評判を聞いて新入生もたくさん入ってくる、
という好循環が生まれる。

なので、部員当人たちは当然のことながら、周りの大人も本気になる。
特に演奏の責任者である、指揮者はもうピリッピリだ。
合奏中、指揮者に与えられた指示を忘れていると、
指揮者が激怒して部屋から出て行ってしまい、
合奏が中断、役職つきの上級生がマッハで謝りに行くが、指揮者の機嫌は直らず、
「役職は集合してください。他は一旦パー練に戻ってください」
となって、原因になったパートリーダーは空元気かましながらも青色吐息、
というのが、吹奏楽部の夏の光景だと思う。

そんな恒例の悲劇を防ぐためにも、楽譜には上の画像のような書き込みをするのだ。
夏のコンクール練習の期間は長いし、指揮者も人間であるので、指示はコロコロ変わる。
そして楽器を持ってできることは、せいぜい文字を書くことだけ。
消しゴムなんていう文明の利器を使っている暇はないのである。
やがて楽譜は、モノクロで描かれた現代アートの様相をていし、
本番少し前の決定稿的な部分からカラーマーカーが投入され、
それでも指示は本番まで出続けるし、初めの頃に言われた基本事項も書かなきゃいけないので、
楽譜は赤黒その他の地獄絵図になっていき、
結局最後に見分けがつくのは、一番でっかく書かれた、
一音入魂♪
という今年のスローガンだけだったりする。
そもそも何千回と同じ曲を演奏するので、楽譜なんて覚えてしまうのだ。
音符の一個や二個、塗りつぶしてしまったところで影響はない。
なので楽譜がキャンバスになってしまうのだけど。



コンクールというのは、普段ははっきりと優劣の付きにくい、
吹奏楽の活動にメリハリを持たせるために必要なのだけれど、
絶対必要かというと、そうではない、と思う。

はじめに、下手くそなバンドが心に残る、っていう話をしたように、
下手くそなら下手くそで、別に構わないと思う。
ただ、自堕落にやっていない限り、だ。

一生懸命にやっていたら、たいていは下手くそなままじゃいられない。
色々と知識はついてくるし、感覚も研ぎ澄まされてくる。
たとえばチューバがBbを鳴らし、トロンボーンがFを鳴らし、
次にホルンがDで入るとき、
しょっぱなからピッチ下げ気味で当てた方が、絶対に気持ちいいに決まってる。
実際に「一音入魂♪」するためには、ロングトーンが揺れてちゃお話にならない、ということに気付くのだ。

気持ちが無きゃ技術の向上はありえないし、
技術が無ければ肝心の気持ちは伝わらない。



コンクールを勝ち進む、という目標・気持ち・意思はまったく悪いものではない。
先にいったように、コンクールに勝たなければ、部の存続だって危うくなる場合があるのだ。
けど、コンクールだけが目標、というのは、随分と淋しいし、先が無い。
そこで止まっていてはいけない、と個人的には思う。
抽象的なものを目標にしても、案外長続きすることもあるんじゃないかと考えている。
それこそ、「一音入魂」なんて叶いっこないので、永遠に持っていられる気持ちだ。

僕は中学高校と部長をやっていてたくせに、
昨日も書いたように最後まで楽器が下手くそだった。
吹奏楽ヒエラルキーでは単純に、楽器の上手い奴が偉い、という要素が強い。
つまり僕はお飾りみたいな部長だった。昔からそういうのは得意である。自慢になっちゃいないが。

下手なりに一生懸命やったつもりで、
特に高校のときは、演奏した曲をほとんど覚えているくらい部活に打ち込んだ。
下級生含めて周りは本当に上手いメンバーばかりだし、
僕の楽譜は削られてばかりだし(昨日のブログ参照)、
演奏だけならまだしも、人間的性格的にも破綻してるので、もう本当に迷惑のかけ通しだった。
それでも、人の顔色を伺うのだけは得意なので、
皆が面白いと思ってくれてればそれでいいや、と思っていた。のかもしれない。
当たり前ながら、当時は日々を過ごすので精一杯だったので、
そんなところまで考えは及びもしなかった。

その後、高校のときの同級生が、ほとんど全員、
進学した先や地域のバンドで吹奏楽を続けていると聞いたとき、
部長をやってて良かったな、と一番強く思った。
高校の部活を引退してから1年以上たってのことだった。

いまだに僕は、僕の好きな人たちが、
僕のいないところで勝手に楽しくやっててくれるのが、本当に嬉しかったりする。
それが僕の目標なのかもしれない。
だから、みんな、元気でやっててくれな。



ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴き下さい。

K.フサ プラハのための音楽1968 (名電高校初演)

カットも編曲も、ほぼこの通りで演奏しました。名電フォロワーですから。
こんなわけのわからん曲が、僕の思い出の1曲です。
これで6/8拍子っていうのも本当に病気。



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