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20141111Tue
 >ハローもグッバイもサンキューも言わなくなって

5日間ほど、弟が遊びに来ていた。

ことの発端は、僕が職場の納会でホテルのペア宿泊券を当てたことによる。以前もブログに書いたことがあるけど、僕は高級ホテルが苦手である。まったくくつろげない。いやさ、あそこはくつろぎに行くところじゃないんだよ、ハイソな気分を味わいに行くところなんだよ、という御仁もいらっしゃるかもしれないが、寝るときくらいはくつろがせてくれ、と答えてこの話題は切り上げよう。
よかったら父と母で使ってくれ、という体で実家に宿泊券を投げっぱなしジャーマンにしたところ、父はあれで案外忙しい人なので休みが取れなかったらしく、母と弟が来ることになった。本当に仲の良い二人だなぁと思う。ちなみに、僕は父に似ていて、弟は母に似ている。
母と弟はまず東京初日に銀座・歌舞伎座へ『勧進帳』を観に行ったようだ。4時間半はさすがに長かったらしい。あまり余裕が無く、全体を歩き回ることは出来なかったが、新しくなった歌舞伎座を堪能することができたらしい。イヤフォンガイドが素晴らしかったと言っていた。ちなみに僕は東京10年、観劇歴10年になるが、歌舞伎座には近寄ったことすらない。家族間文化度の差が歴然とした。

母と弟の東京2日目。母はこの日で帰る。かたや弟は僕の部屋に家政婦しにきてくれる、という手はずだ。この日は僕もちょうどバイトが休みだったので、二人に会いに行った。東京駅のKITTEで、回る寿司をゴチになる。30歳にもなったら親にご馳走してやれよ、って罵声が聞こえてきそうなものだが、僕は一生こどもでいる旨を交差点の悪魔と契約したので平気なのである。親不孝者のトップランナー。
その後、雑貨店などを冷やかし歩き、大丸で母がお土産を買うのに付き合い(こういうときの常で、弟が店の場所や買うものは全部覚えてて、母は財布のひもを握ってて、僕と父はそれぞれ別々に迷子になって母に怒られる、というのがナカイデ家のお約束)、母の新幹線の時間まで喫茶店で過ごした。

母「お兄ちゃんはまだ彼女できへんの?」
兄「近頃できましたよ」
母「そうなん、おめでとうなあ。(にやにや)」
兄「どしたん、にやにやして」
母「(弟と目配せして)あんな兄ちゃん、うち、最近何が欲しいか聞いてみて」
兄「……なにが欲しいん」

母「まごー! まごまごー!

OH、これが噂に聞くやつかHAHAHA、と、母(あえて年齢は伏せる)のこの突如とした可愛い感じに30年の付き合いで慣れているとは言え、さすがにたじろいだ僕は、弟に目で助けを求めた。弟はアイスティーのストローから口を離すとおもむろに、

弟「兄ちゃん、俺、姪が欲しい

貴様もかー! 他力本願かー! ほんと俺と似とるなー!!
その後、僕の目の前で僕を差し置いて進行していく、孫・姪育成計画。弟は、二歳で楳図かずお、三歳で日野日出志を読ませるって言っていた。やめろ、その英才教育。
新幹線口に向かう母を見送ったのち、あわてて弟を問いただす。なんせ僕は実家を出てすでに12年、間に2年ほど音信普通期間を挟み、親不孝街道を突き進むままにここまで来た。挙句、お互いの両親に挨拶したような彼女とも結局別れたので、そういうのはとっくに諦められているものだとばかり思っていたのだ。

兄「おい、弟よ、母上はなぜに急にあんなこと言い始めたんや」
弟「コロ(飼い犬)死んでから、トイプードル飼おかってなってたやんか」
兄「おう」
弟「んで、最近、トイプーよりやっぱ孫がええってなったみたいなんやわ」
兄「犬にしとけよー、ってかおまえの方が近いとこおるやんかー、なんで俺やねん」
弟「俺は絶対無理やで兄ちゃんに頼め、って言ったらああなった」
兄「俺も無理やって。もし俺にこどもが出来たところで、母のあれは俺が三重に帰る前提の話やし」
弟「いや、あれは東京くる勢いやで、頻繁に」

僕と同い年のイトコ(女)には既に三人こどもが居るので、もうそっちで満足しといてくれよと期待していたのだが、そうは問屋がおろさなかったらしい。かつてこうまでハッキリと「Please孫」宣言をされたことがなかったので、かなりのショックを受け、他にどんな話をしたか忘れてしまうほどだった。まあしばらくは弟と押し付けあっていきたいと思う。

部屋に戻って、荷を解き、ちょっと片付けた後、近くの中華料理店へ晩御飯を食べに行った。
父は最近より一層本を読むようになったらしい。ちょっと前から時代小説ばっか読みまくっていたのだが、佐伯泰英をほぼ全作読破したのち、今は池波正太郎へいっているらしい。僕は完全に父の血を継いだなぁと思う。僕はこの10年くらい、大体3日に1冊、1年で100冊強の本を読んでいるペースだが、父はもっと早い。1日に1冊以上読んでいる。年に350冊くらい読んでる。僕が実家に居たころはそうでもなかったのだけれど、最近は本屋に行くたびにマジで棚買いしているらしい。大雑把に買うのでよくワンペアとかスリーカードとか出来るとのこと。それで速読じゃないので凄い。いつ読んでるのか、と言えば、当然、仕事中である。父は病院に出入りする仕事なのだけど、先生・看護士の目を盗んで読みふけっている。いい大人だろうに、止めなさいよ。ちなみに僕は前のバイト先で、毎度毎度本を読みながら車を運転しており、ついにある日縁石に乗り上げてホイルカバーをボッコボコにしたことがある。間違いなく僕らは親子である。
そんな話を、ワンタンメン(弟)とナス味噌炒め定食(兄)を食べながら交わした。

兄弟2人で六本木ヒルズで開催中のティムバートンの展覧会に行って揃って人酔いしたり、
僕の知人が出演している舞台を一緒に観に行ったり、
僕が居ない間も、本多劇場に行き、上野の科博へ行きと、弟はいつも以上に東京を満喫していった。

部屋が今までで一番片付いていると言われた。そりゃそうだよ同居人出てったんだから、と2人で苦笑する。
弟はいまは地元のバンドでベースを弾いてるけど、そもそもはギタリストである。しかも上手い。実家に帰ったとき、凛として時雨『Telecastic fake show』のリフをアコギで弾いてるのを見たときはさすがに笑った。
オモチャみたいなギターが僕の部屋には置いてあって、さっそくそれを手に取ると、ぺろぺろーんと適当なフレーズを弾いていた。「そういやさ、この前、松阪にくるりが来たときにさ」と、くるりのツアーの話をしてくれた。グッズを買った人全員にメンバーがサインをしてくれたという超羨ましい話だった。
弟は“ヒロト”という名前なのだけど、バンドやってて“ヒロト”といえば、もちろんあの人しかいない。
まず岸田さんが、
「ヒロト、いうんか……。甲本、って書きたくなるな」
と言い始め、佐藤さんも
「甲本って書いてええ?」
と言い、最後にファンファンは
「書かんから安心してな」
と言っていたらしい。良いバンドだ。

「『ワンダーフォーゲル』で盛り上がってさー」と、ヒロトがイントロを弾き始める。
バンドをやめて以来、手にとっていなかったベースを持ち、僕もそのあとを追った。相変わらず下手くそである。
ジャジャ・ジャジャ・ジャジャ・ジャジャ
「やっぱこのイントロええなー」
「あ、俺、そのベースのグリッサンドめっさ好きや」
「ドゥーンな、ドゥーン」
「いやでも俺は『ワールズエンドスーパーノヴァ』聴きたかってん」
「無理やったかー。俺は『GO BACK TO CHINA』かなぁ。いや、『HOW TO GO』でええな」
「兄ちゃん、いまクリストファーて何やってんの」
「なんで俺がクリストファーの友達風の聞きかたやねん。あいつはアメリカにおるで」
「なんで友達風の答えかたやねん」

ほぼ28年ずっとこの調子のバカ兄弟である。甥だったらドラム叩かせてスリーピースバンドをやろうと思った。




  

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このブログのタイトルは OFZK です
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だいたい本を読んでいます





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