20141223 Tue
今年読んだ本で唯一覚えている1冊


 未知の生物・年末がとうとう我々の生活の中に侵攻してきた。これが世に言う年末侵攻である。嘘です。
 クリスマス、ファック!とか叫んでいる御仁もいらっしゃるけれど、今年はまさかのディアンジェロのニューアルバムが出たってことだけでもう「良い1年だったね!」とか「ナイスクリスマス!」とか言っちゃっても良いと思うんだ。終わりよければ全てヨッシーってやつ。マリオが乗ってる緑色の恐竜で舌が伸びます。

 いままで年に100冊くらい本を読んでいた。今年はあまり本を読まなかった時期もあったけど、それでもたぶん50冊くらいは読んだんじゃないかと思う。8月あたりに読書記録を頑張ったような覚えもあるけれど、寒くなるにつれて面倒になってしまい尻すぼみ、とどのつまり例年の如し。そういえば『狼と香辛料』も『刀語』も、読み終わったの今年だったわと気付いてぞっとする。あんなにホロと結婚したいと思っていたのに、あんなにとがめ萌えって思っていたのに。前者全17巻、後者全12巻。ってか、これだけで30冊近く読んどるやないかい。今年も50冊は軽く越えているようです。

 そんな健忘症絶賛進行中の僕が、今年読んだ中で覚えている本が1冊だけある。つまりその本を、今年読んで1番面白かった本、と言ってしまっても良いのではないでしょうか、というわけでこちら。

フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)
(1995/07/17)
カルロス フエンテス

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 8月に、鹿児島までshima姐のバレエ発表会を観に行った際、余った時間で鹿児島~指宿を往復したあいだに読んだ1冊である。読んだ状況が特殊すぎて忘れようもない。
 鹿児島で泊まったのは安いゲストハウス。2段ベッドが何台もギュウ詰めになった部屋。たどり着いたのは、日付が変わる少し前。なんとか自分のベッドを確保する。暗がりのなかで周りを見渡すと、日本人より海外のバックパッカーが多く泊まっていた。僕がハリウッド映画を観るなどして構築していたフレンドリーさを強要する海外人像、といったものを彼らは一切持ち合わせておらず、どちらかというと暗い人たちに見えた。僕の下のベッドから出る際にガタリと梯子を動かしてしまい「Sorry」と呟いた男性、向かいのベッドで深夜までノートPCをいじっていた男性。自分の内的世界に深く潜っていくようなタイプの人たちだった。
 翌日は結構早く起きたつもりだったのに、その時間にはもう旅立っている人も多く、さらにその人たちが、こそこそ、といってもいいような静けさでゲストハウスを出て行く様子に僕は好感を持った。1Fのロビーには中国か韓国の女性が二人、友人らしいのにソファとカウンターという距離で座り、それぞれがスマホをいじって何らかの情報を検索していた。ロビーの奥には館内貸し出し用の本棚が置いてあり、持ってきた本をおよそ24時間の旅で読み終えていた僕は、そこから1冊を抜き取ってこっそり持ち出すことにした。それがフエンテスの短編集だった。福岡で買った谷川俊太郎の詩集は、同じ岩波文庫ということで寄贈してきた。指宿枕崎線に揺られながら、文章を追うのに疲れ目を上げると、車窓の向こうには青い海。旅先の非現実感とフエンテスの幻想小説は、とても相性が良かった。
 なお、読み終わった本はちゃんとゲストハウスに返却し、いま僕の本棚にささっているものは、改めて東京で購入したものである。買っちゃった、ってやつである。
 その後、ラテンアメリカの作家が面白そうだと、G・マルケス『予告された殺人の記録』やコルタサル『悪魔の涎・追い求める男』なども読んでみた。どれも面白かったが、フエンテスの衝撃が今のところ一番である。

 そういえば去年のベストに選んだ本も旅の途中で読んだ本だった。僕の感動は、どうやら本の内容はあまり重要ではないらしい。
 そしてそれは、今年読んだマンガで一番面白かったものにも言えるかも。

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)
(2013/11/29)
石塚 真一

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前にも書いたけれど、喫茶へそまがりで一気に読んで号泣したマンガ。こちらもその後、家の本棚にささることになった。なんと年内に新刊が出る。やはり今年は良い1年だったと言っても構わないと思う。なにがあったとしても。



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