20150103 Sat
『メビウス』はクリスマスイブに彼女とデートで観る映画ではない


moebius.jpg

昨年の話になりますが、『メビウス』という韓国映画を観ました。
http://moebius-movie.jp/

ことの発端はこうです。
年末のとある休日、いつもどおり場末の飲み屋で、
タバコをふかしながら、梅酒とビールを呑んでいる二人がいました。

「クリスマスは何かしましょうか?」
「そういえば私、クリスマスってデートとかしたことない」
「そうなんですか。なんか面白い映画とかやってないですかね?」
「キム・ギドクの『メビウス』っていう映画が始まったみたいだよ」
「あ、僕、キム・ギドク作品観たことないですわ」
「全編セリフ無しで、息子のチ○コが切り取られるんだって」
「じゃあクリスマスは、チ○コ切り取られる映画を観たあと、焼肉食べに行きましょうか」
「まったく、バカなクリスマスだね」

というわけで、お互い『息もできない』をはじめとする韓国映画好きということもあり、
クリスマスイブには、『メビウス』を観に行くことになりました。

結論:
『メビウス』はクリスマスイブに彼女とデートで観る映画ではない。
けど、面白かったです。



あらすじを公式サイトから引用します↓

父・母・息子の3人が暮らす上流家庭。家族としての関係は冷え切っていた。ある日、近くに住む女との不貞に気づき、嫉妬に狂った妻は、夫の性器を切り取ろうとする。しかしあえなく失敗し、矛先を息子に向ける。妻はそのまま家を出ていき、夫と息子は取り残される。性器を切り取られてしまった息子は絶頂に達することを知らずに生きていくのか。なくしたことで虐められ、生きて行く自信をもなくした息子。罪悪感に苛まれる父はそれでも絶頂に達することができる“ある方法”を発見する。それを息子に教えることで、再び関係を築いていく。だが、そこに家を出ていた妻が戻り、家族はさらなる破滅への道をたどり始める―。


開始10分くらいで、上に引用したあらすじの半分以上まで行きます。驚愕のスピード。
日本版ポスターのメインビジュアルの、ホラー映画っぽい女優さんの顔なんて、開始5分くらいで出てきます。
しかしご安心ください。以降はさらに衝撃的カットがダンダンダーンと連続です。
事前知識とかほとんど関係なく観れます。ネタバレ見ちゃったよー、とか嘆かずに観に行ってください。
見終わったあと、かなりキます。精神的にも体力的にも、ほかにも色々と。

では、僕の感想など。
一言で言うと、チ○コが寒くなる映画です。
上映時間の半分くらいは股間がヒュッヒュしてるので、そういう楽しみ方もあるかもしれません。
90分間、マジでセリフ無し。聞こえてくるのはほとんどが呻き声。
音声情報が無いので、絵から情報を読み取らざるをえず、集中力を持っていかれる感じです。
情報が欠けているので、観ている方の想像で補わなければならない部分も多く、
観たあとで、他に観ている人と語りたくなる映画かもしれないと思いました。
何を語り合うのか、はさておき。

上のあらすじでは、“ある方法”、とボカされてますが、予告編の映像にはバッチリ映ってるので書いちゃうと、
チ○コが無くなったあとは、男ども、石ころで己の体をこすって大傷をつけることで絶頂感を味わいます。
その傷の付き方とか、痛さ→快感→すっげー痛さ、という役者の表情など、
笑っちゃうくらいリアルです。思わず体に力が入ってしまってかなり嫌な汗をかきます。
観てるだけでほんとに痛いので、そういう楽しみ方もあるかもしれません。

血飛沫が飛んだり、蹴る殴る、チ○コ切る、銃をぶっ放す、ナイフで肉をえぐる、など、
かなりバイオレンスかつスプラッタなシーンが多いです。
けど、なぜだか、笑える。場内かなり笑い声が起こってました。怖いよあんたたち。
コメディの種類で、スラップスティック、というものがありますね。
主人公家族の息子が途中でチンピラと敵対するのですが、その復讐のシーンとかさ、
本人たちが必死になればなるほど滑稽、という典型。場内爆笑。
ずいぶんエロいシーンも連発されるのですが、
性、というのは滑稽な面もあるよな、ということもひしひしと感じました。
あの、父親が、家に戻ってきた母親を、ベッドに押し倒すシーンとかさ!
あれこそ哀愁!! オスに産まれたという悲哀!
ちなみに僕が一番笑ったのは、アダルトビデオを観るシーンでした。あんなん卑怯やて。

ずいぶん笑ってた場内ですが、さすがに母親によるチ○コ切断シーンでは、悲鳴があがってました。
性器切断ということで、僕が連想したのは、「阿部定事件」と「宦官」でした。
エロ関係を追いかけてる身のくせに「阿部定事件」については全く無知。お恥ずかしい。
『愛のコリーダ』とか『失楽園』とか観たり読んだりします。ごめんなさい。
「宦官」については、昔、吹奏楽部でバルトークの『中国の不思議な役人』を演奏したので、ちょっと調べたことがあり。
けどこれも薄っすらとしかしらないから、とりあえず『蒼穹の昴』読みます。

チ○コそのものだけではなく、男性器の隠喩もたくさん出てきます。
登場する銃はリボルバー。まさに男性器。
女性が男性の体にナイフを差し込む、というシーンも倒錯的な印象を受けました。
逆に、チ○コを切り落とされて、シーツに息子の股間から血が飛び散るシーンなんかは、明らかに経血の表現。
そういった男女逆転メタファーも含め、性的表現の連発。そりゃ本国では公開禁止にもなるわさ。
日本でも18禁での公開ですが、かなり編集してギリギリの公開なんでしょうね。
明らかに不自然なカットがされてる部分もありましたし。
あれ?いま、フェ○したよね?けど、勃たなかったんだよね? っていう編集が一番不自然でした。
ディレクターズカット版に期待。それはもうアダルトビデオかもしれない。

家族構成として設定されたのが、父・母・ひとり息子、というのもナイスでしたね。
どうしても醸し出される、あの独特のキモチワルサ。
そして、父親のやることはいつもどこか的外れという、あるある感!
息子のためを思ってやってるんだけど、母と息子、ほど心がくっ付いているわけではないから相談とかはできずに、
いつの間にか一人で勝手に突っ走ってて、息子がしょうがねえなあって感じで聞いてあげて、
はじめはしぶしぶなんだけど、息子も息子で男だから、やってるうちにハマッてく、っていう、
あのどうしようもない父息子の関係。けどそれは、母と息子の共依存にも言えることで。
お互いに通過儀礼としての父殺し・母殺しがハッキリとしない関係性。
ぬるくて居心地良いんだけど、ハタから見るとキモチワルイあの感じ。
ところで、最近の話ですが僕も、父親にこの正月、とてつもない荷物を背負わされました。
もう一度言う。父親のやることはいつもどこか的外れ!
この件に関しましては、重い=オイシイ、ということで、いつかどこかで書きます。お楽しみに。


私の彼女は観終わったあと、ぐったりしながら、
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を越えるトラウマ映画だった」と言ってました。
誰だよこの映画クリスマスに観ようって言い出したの、と、ひとしきりケンカになったのは言うまでもありません。

間違っても「ベルリンで金熊賞とった監督の作品だよ」と誰かを誘ってはいけません。
開始10分で息子のムスコが切り落とされて血がブッシャーってなって、
 その後もアタマのオカシイ絵の連続☆
」と正直に言って誘いましょう。
まあ無難に一人で観に行く映画だと思いますが、
けどやっぱり感想を言いたくなっちゃう映画なので、そこらへん悩ましいですね。
もし誰かと観に行くときは、相手が気分悪くなって途中退場出来るように、端の席に座ることをオススメ。
めっちゃショッキングなのは間違いないので、ぜひ体力があるときに観に行ってください。
僕には面白かったです。いや、マジで。



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