20150120 Tue
キリンはダンスを踊れない


 仕事のあとでタワーレコードへ行った。ジャズピアニストVijay Iyerの新譜、輸入版が入ってるらしいという情報をキャッチしたからだ。タイトルは『Break Stuff』。ECM移籍後の2枚目のアルバム。

Break StuffBreak Stuff
(2015/02/10)
Vijay Iyer

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 前作の『Mutations』はピアノ+弦楽四重奏という編成もあって、ジャズというよりはクラシック、いや現代音楽といった印象だった。まあそれでも良いアルバムであるのには変わりないのだけど。そこで今作の内容はというと、まず編成はVijay Iyer Trioの名が示すように、名盤の呼び声高い『Accelerando』と同じ、
p. Vijay Iyer
b. Stephen Crump
d. Marcus Gilmore
のトリオ。初めて聴いたときから、全員変態だという印象は変わっていない。

 ここからは完全に菊地成孔さんの受け売りになってしまうんだけど、今のジャズは“リズムの微分・積分が流行っている”ので“ドラマーが重要”らしい。そんな中、Marcus Gilmoreは確実に今ジャズを牽引するドラマーのひとりである。
 リズムの微分・積分というのは、僕の理解になってしまうんだけど、まず微分は、基本の枠をそれぞれに細分化して、大枠を崩さないままにビートの揺れを作る感じ。変な感じはするけど、ズレない=踊れる。

(例 DCPRG『構造1』
4拍子(ベースを聞くと取れる)と5拍子(主にドラムのシンバルとパーカッション)が1つの枠の中で鳴ってる)

 対して積分は、基本の枠にさらに足して、それを重ねていく感じ。数学的で、体で取るとズレる=踊れない。

(例 Vijay Iyer Trio『Human Nature』
拍は、5/8+8/8、もしくは3/8+3/8+4/8+3/8。どちらにせよ8分音符が1個足されてるので、そこでズッコケル)
 微分は戻ってくる感じ(リズムのループ感)があるけど、積分は進み続けていってしまう印象。それが踊れる・踊れないの違いになってるんだろうな。

 今ジャズで特に有名なドラマーはMarcus Gilmoreの他にも、Robert Glasperのバンドなどで叩いているChris Daveや、昨年末に来日した際はTwitterのタイムラインが“バスドラのペダルになりたい”で埋め尽くされるほど人気だったMark Gulianaなどがいる。特にChris Daveのドラムを聴くと今のドラムは、マシンによる打ち込みを経て再び人力に戻ってきたものだということがはっきり分かる。
 打ち込みで音楽を作るときに“クオンタイズ”といってリズムの調整をする機能があるのだけど、かつてはリズムをジャストにそろえることしか出来なかったのに、機能の進歩で“ヒューマナイズ”といって、人間っぽいズレも機械で再現できるようになった。それを今のドラマーたちはさらに人力に戻して叩いているというわけ。これも菊地さんが言ってたけど、人力と機械のやり合いでリズムっていうのは進歩していくのかも。

 なんてことをVijay Iyerの新譜を視聴しながら考えていた。ニューアルバムはいよいよわけわからん感じになっていた。出来れば自分で解き明かせたら楽しいのだろうけど、現状そこまでの知識もなく、誰かの解説を要する。
 結局CDは案外高かったというのもあって、一旦保留。スリーター・キニーの新譜(超カッコ良かった!)や、ロリ・スカッコ(去年からずっと欲しい)を聴いて、結局全然違うCDを買って帰った。

 やっぱり、音楽は良い物だと思う。



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