20150226 Thu
吉村萬壱『クチュクチュバーン』を読んで思い出すことなど


スマートフォンの機能がいくら良くなったところで雨の日に傘を忘れる人は滅亡しない。
朝、雨が降っていない時間に会社へ行って、夜帰るときに雨が降っているとき、
まあ家までだし走っていけば良いか、いやあこうやって走るのって何だか久しぶりだな、楽しくなって来たぞい、うふふふふ、
みたいな感じでちょっと自分のことを笑っちゃってる大きな子供たちのこと、僕は大好きです。
あ、今日は珍しく傘忘れませんでした。


吉村萬壱『クチュクチュバーン』(文芸春秋)を読んだ。
クチュクチュバーンクチュクチュバーン
(2002/02)
吉村 萬壱

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装画がしりあがり寿さんだと、むむっ!さては祖父江慎がデザイン? 
と思ってしまうのは何の病気か。文字色も変な黄色だし。
大久保明子、という方が手がけたものだった。
いや、しかし、きれいな祖父江慎テイスト、とでも言おうか、
カバーを撮った表紙の、紫地に銀で気持ち悪い紋様があったりとか、
遊び紙が気持ち悪い○模様の入ったものだったりとか、とても良い感じです。

僕は文庫ではなく単行本で読みましたので、収録作は2編。
『クチュクチュバーン』(2001年文学界新人賞受賞作)と『人間離れ』。
両作ともテイストは同じ感じです。
とにかく原因のない、血と暴力と、絶望と滅亡が、溢れる世界のことが書かれています。
表題作『クチュクチュバーン』は、化物となった元人間によって殺し・破壊が行なわれます。
なぜ人間が突然変異していくのか、原因はまったく不明。徹頭徹尾理不尽。
やがて物語の主観は、観察者であるとある人物の視点と同化していくのですが、
オチでは遂に、物語を読む我々という視点、ということを考えさせらるまでに至ります。破壊的パワー。

僕は『人間離れ』の方が好きでした。
こちらで描かれているのは、
人間 vs. 緑と藍色という謎の地球外生命
であります。
地球外生命が人間をフルボッコにしていて人類滅亡寸前、という図式は分からないでもないのですが、
地球外生命が襲ってきた理由なんてひとつ分からないまま、なすすべなく人類は惨殺されていきますし、
なんなら、狂った人間同士の殺人シーンの方がまだ理解できる分後味が悪い、っていう。
タイトルの“人間離れ”っていうのは、緑・藍色が襲うのは人間であって、
人間でなくなれば被害にあわない、という出所不明の噂によって、
人々は、ときには我が子を殺し、巨大化したゴキブリの内臓をすすり、
そして極め付け、攻撃体制に入った緑の前では自ら直腸を引きずり出して、なんとか生き延びようとします。
けど結局そんなことには何の意味もなく、バッサバッサと殺されていく人類。
こっちは、オチが好きでした。

本を手に持っている間、イナゴの大群が頭の中を轟音で通過していってる感じ。
わけわからんキッツイのを読みたい方には全幅の自信を持ってオススメ致します。
いや、まあ、かなり今さらな本ですけど……。良いものは、いつだって良いんですよ!


僕は学生の頃、人から薦められた本を読むってことが多くって、
中学の頃は清水義範ばっか読んでたし、
高校になると、Y君という悪友によって
「おっ、ソントン、京極夏彦とか読むんやね、じゃあメフィスト賞は知っとるやろ?」
「知らんわ、何それ」
「まあええから、これ読んでみ」
と手渡されたのは、森博嗣『すべてがFになる』
もちろん読んでいたく感動し、

「Y君ありがとう! 森博嗣めっちゃ面白かったよ!」
「ギャーギャーうるせんだよマザーファッカー
「へ?」
「ま、ええから、これ読んでみろよ」

と手渡されたのはもちろん、舞城王太郎『煙か土か食い物』

「Y君ありがとう、舞城めっちゃ面白かったよ!」
僕の前にはバァン!と本を床に叩きつけるY君がいました。

床に叩きつけられた本はもちろん、蘇部健一『六枚のとんかつ』
そんなメフィスト賞あるある。

絶対、吉村萬壱好きやと思うで、Y君。結局、警察官にはなれたのかい。



→再生中
アーロン・サクス・クインテットアーロン・サクス・クインテット
(2013/12/11)
アーロン・サクス

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良いなー、と思ったCDがAmazonレビューで貶されてると、けっこうヘコむよね。
“ベツレヘムを推奨する某おっさん”とはもちろん、T島Y国御大のことです。
僕も御大のことはあまり好きではげふんげふん。
録音もキレイで、曲も良い意味で皆が思い浮かべるジャズって感じ。僕は好きです。



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