20150312 Thu
ロベルト・ピウミーニ『逃げてゆく水平線』(東宣出版)を読みました


ロベルト・ピウミーニ  訳 長野徹
『逃げてゆく水平線』 (東宣出版) を読みました。


ある日、バイト先で児童書の棚整理をしていて、見つけた1冊です。
ヤングアダルト(中学生くらい向けの本)の棚にありました。
「はじめて出逢う世界のおはなし」というシリーズ名が付いているのですが、
ぶっちゃけ聞いたことありませんでした。
岩波書店の「STAMP BOOKS」のような位置づけかと思います。
東宣出版のホームページで調べてみると、2012年から始まったシリーズらしいです。
というか、東宣出版という出版社名すら聞いたことありませんでした。(無礼)
とりあえず、この『逃げてゆく水平線』が面白かったので、シリーズもボチボチ読んでいこうと思います。
星を付けるなら★★★★☆、くらい面白いです。初音ミクと一緒やないかい。

他に感想は、
ロベルト・ピウミーニ『逃げてゆく水平線』」 (イタリアに好奇心 より) があります。
なんと、FMヨコハマの『北山浩子 books A to Z』でも取り上げられていました。
北山さんの興味の幅広さはホント凄い。


さて私のターンだ。
まず装丁・装画がすごくポップで、思わず手に取ってしまいますね。
中村幸子さんの装画は、ラクガキぎりぎり手前、という匙加減が可愛いし、
読み終わったあとで改めて見ると、あ、これはあの話の絵やな、みたいな楽しみがあります。
塙浩孝さんの装丁は、明らかにイタリア色。そしてピザ。分かりやすくて良いッス。
翻訳の長野さんの文章も、すごく読みやすかったし、
固有名詞の遊び方とか、多分日本人にも分かりやすく直してあると思うんですけど、
そのセンスが良かったです。

内容は、25編の短篇。ショートショートと言ってもいいかも。
長くても1話が10ページあるかどうか、くらいです。短いものは3ページで終わるものも。
解説によると本書は、ピウミーニの初期の短編集、
『建物に入っていった若者』(1978)と『逃げてゆく水平線』(1982)から選ばれたものらしいです。
っていうかそもそも、ピウミーニって誰やねん問題があると思うのですが、
1947年北イタリア・ブレッシャ県エードロ生まれのイタリア人、
教師、俳優などの職業を経て作家になり、いまやイタリアを代表する児童文学作家、とのことです。
著書は300冊を越えているらしいです。かなりの多作家ですね。
すでに日本語訳も何冊か出ているらしいですが、聞いたことありませんでした(今日は無礼キャラ)。
小説だけでなく、詩なども手がけている方らしくて、
この本のなかでも、めっちゃナイスな形容・描写の連発です。
 “連れ合いをなくしたスポンジみたいにポタポタ涙を流す”
とかさ。面白くて、とっても良いですね。

あとそもそも、そいつおかしいやろ! っていう者どもが次々出てきます。
悪魔とか死神とかバンバン出てきて普通に人と会話してるし、
ボクシングに飽きたゴングが主人公だったりするし (この話、結構好き)、
ある男の右足と左足が別々のメガネをかけて勝手気ままに動き始めるし、

牧場の動物たちをスムーズに移動させるために設置された信号機が、
牧場主の気まぐれで購入されたスペイン産の牡牛との丁々発止のやりとりのなか、
やがて立派な闘牛士になっていく話 (『闘牛士になった信号機』)

っていう話が載ってるよって言っても、お前何言ってるん? って心配されるだけでしょう。


僕は中でも、
『沈黙大会』と『盗まれた車輪』という話が好きでした。
お読み頂ければ分かると思いますが、この2つは通ずるものがあります。
いまの時代、ちょっとうるさいし、早過ぎない? っていう感じの話です。
『盗まれた車輪』は特に素敵です。
あと、『数の勉強』のこどもがすごく好きです。かわいい。

私がずいぶん酔っ払いながらでも読めたので、読みやすさは相当なものだと思います。
どれも奇想的というか、めでたしめでたし、で終わるものはほとんどありません。
けど、何が起こっても話は進んでいって、結局終わっていく。
その途中に漂っている雰囲気が、
ときに不条理だったり、ときにドンチャン騒ぎだったり、ときに哀しみだったり。
ピウミーニ氏の本の感想で使うのが恥ずかしいくらい紋切り型の形容を使ってしまうと、
まるで人生のような、短編だと思いました。

児童文学、とか、ヤングアダルトの棚においてあるかもしれませんが、
こういうのはね、大人が読んでこそ楽しめるのですよ。
だって、子どもだけに、こんな面白いものを読ませておくのは、悔しいじゃないですか!




Juana Molina - Un Dia

これでイタリアの曲をバーンとか貼ったら格好良いんですけど、アルゼンチンでいきましょう。




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