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20150501Fri
 >Nichecraft 『架空の箱庭療法#3』

 僕のブログでたびたび名前が登場する、小道具師・辻本直樹さんが率いる異能の小道具集団“Nichecraft”による、ギャラリー展示『架空の箱庭療法#3』を観に行ってきた。
 辻本さんは主に小劇場での舞台で、小道具を担当されている方だ。そのため当然ながら、関わられている舞台のほとんどに<小道具>として名前がクレジットされているのだけれど、近年とみに、その活動はもはや小道具という境界線を片足で踏んだまま、もう片足でどれだけ斜め上のミョウチキリンなところへ着地しようとみせかけつつも、その結果アクロバティックにダーツでいうところのブルズアイを突くかと思いきや、ダブルブルとシングルブルの間にジャストミートさせているために矢が妙な格好で止まるような、そういった小道具という概念をアップデートさせる活動に勤しんでおられる。あと、小劇場・小道具と、“小”という字が重なる現場にいらっしゃるのに、ご本人はガタイが大きい。そういったところも良いと思う。
 以前僕が全身花柄のコーディネートでキメていたころ、辻本さんが僕の右腕に象を移植してくれたのが、知り合ったキッカケだった。
yw1107.jpg
(画像はNichecraftのホームページから無断で拝借しましたすみません)
 以来、会う頻度は少ないものの(客席などで偶然会ったのをあわせても、たぶん10回も会ってない)、僕の目指すOFZK=オフザケ(良い意味で使ってます、念のため)なあれこれを邁進して、もう目を離しちゃいられないその活動内容に魅かれ、オモシロな(実際のご本人は決してそういう風には見えない真面目そうな方です)兄貴分として、一方的に慕っているストーキング。


 今回、いくつか上演があったなかで、僕は『夜を通る』という作品を拝見してきた。
 まず感想を書いてしまうと、あのひねくれ者で知られる辻本さんが手がけたにしては、全体通してみるとストレートな家族物だなあ、と思った。辻本さんのプライベートも個人的なストーキング活動を通じて少し存じているので、もしかするとその影響もあるのかもしれん、と穿った見方。
 会場に入ったお客さんは、おそらく全員すぐに気付いたであろう、もしくは気付かなくても本能はキャッチしていたと思う、香りが漂っていた。線香と花の香りである。
 事前にもらっていたフライヤーに書いてあったキャッチコピーは、「走馬灯、みんなで見れば寂しくない」。そのままズバリ、葬儀場が舞台だった。舞台美術は白が基調の布地で作られ、柔らかな印象。祭壇の花も手作りの造花で、サイズが大きめに作ってあるのが可愛かった。
 出演者は4人と少なく、舞台上にいる人数が7人を超えるとストーリーが追えなくなる病気を持っている僕としてはありがたかった。
 暗転を使わない転換が好きなので、その点すごく良かった。普通は照明を切り替えるとかで転換をすることが多いのだけど、今作は本当に突如転換がなされるので、(たとえば、父と母、2人の会話が途中でいきなり20年前のものになっていたりする。語り口が若くなったりするわけではないのでなおさら)混乱をきたす瞬間もあるけれど、それも明らかに辻本さんの術中。末期の父にはモルヒネが投与されていた、らしい、という情報も薄ボンヤリと語られるし、そこから来る虚実や時間軸が曖昧になった空間という意味もあったのだろうし、そもそも死んだはずの父が会話に参加しているという時点で超現実だし。出会っていないはずの、若い頃の母と、息子の彼女が会話するシーンなんて特にそうだったと思う。死別なので当然なのだけれど、父と息子、互いに言いそびれたことやら後悔していることやらがたくさんあって、それを伝えあうためのロスタイム、みたいのがこの舞台の主な部分。けど、男同士の話だけじゃなく、女同士での話があることによって、家族とは、っていうのがちゃんと描かれているように感じた。子どもは生まれてくるから、家族になるってのが分かりやすいけど、男と女が結婚して家族になる、っていうか、なっていく、っていうか、死に別れるときになってようやくああこの人は特別な人だったのだな、と思えるものだ、ということがきちんと描かれていたように感じた。
 唯一の暗転後、お葬式の当日。あの演出は、やっぱりグッとくるものがあって、良かった。客席からもさすがに鼻をすする音が聞こえたり。俺はあとで辻本さんに挨拶をしなければならないので、必死で泣くのを我慢したけど、相当目が赤くなってたと思う。やられた。父のロスタイムはたった一晩だったけど、(最後の最後、しんみりとはさせず、慌てて棺桶に戻っていく父の姿、良かった)、ほかの家族にとっては、これからがロスタイムだし、いや本番だし、っていう終わり方。あのスッて続いていく感じの終わり方が、上手いなあと思った。
 そして、カーテンコールのためだけに、父がポップな衣装から礼服に着替えている、というコネタに場内失笑。衣装が揃ったこともあって、4人の並びは本当の家族みたいに見えた。素敵だった。


 『架空の箱庭療法#3』は、5/3まで、吉祥寺にて開催中。
10分間の部分上演のみありますので、全編は見られません。ご想像ください。
とくに僕は遅刻をかまして、予約していた部分上演さえ観られなかったので、上で書いたのは全て架空の感想です。





  

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