20160215 Mon
一方的にジャズの話です


エリック・ドルフィーが好きである、
と、言ってしまっていいのかどうか迷うのである。

以前、よく通っていた図書館には、
やたらとジョン・コルトレーンのCDが揃ってたので、
一般の人よりはコルトレーンを聴いたことがあると思うのですが、
(けど、日本人ってコルトレーン大好きだから、
 もしかしたら皆の方が(回数とか深さ的な意味でも)、
 よく聴いてるかもしれないッスね)
(ってか、高校生の頃に、おそらく1番有名なアルバムであろう、
 『バラード』を聴いたんだけど、もう全然よく分からなくって、
 そのままコルトレーンは放っぽらかしになってしまってたんだけど、
 もしもあのときに、もう1枚の有名アルバム、
 『至上の愛』を聴いてたら、僕はきっとテナーサックスを買いに走ったと思うんだ)
“宇宙”に行っちゃってからのコルトレーンはあまり聴いたことがなく、
それでも生前最後の録音である『オラトゥンジ・コンサート』のCDが、
かなりフェイバリットだったりするので、
“宇宙”コルトレーンも、聴いてみれば結構ハマる、きっと、
と思ってるところに、ガツンと来たのが、
菊地成孔さんのラジオ「粋な夜電波」シーズン2のオープニングで使われていた、
ジョージ・ラッセル『リディオット』で、
火星に届くアルトサックスソロを吹き鳴らしていた、

孤高で空腹、糖尿病のヤギ髭男、叫びいななく哲学者、
エリック・ドルフィーである。

もうね、パッと聞きで宇宙だった。
宇宙行って帰ってきてまた宇宙行っちゃったくらい宇宙だった。
一発でドッカーンと持っていかれた。
ビャッハー! なんじゃこりゃー!と。
わたしの蝸牛管に宇宙がぶち込まれておりますぞー!と。
(↑ポンキッキのムックの声でお読みください)
ラブコメで、ヒロインに一目惚れする主人公並み。
赤松健のハーレムものじゃなしに、『BOYS BE...』のあの感じ。

それまで、コルトレーンの他にも、
バードや、オーネット・コールマンや、ウェイン・ショーターや、
ほかにも色々聴き散らかしてきた僕だけど、
聴いて一発でここまで痺れたことはなかった。

ドルフィーのサックスは「馬のいななきにしか聞こえない」とか言われて、
当時はあんまり評価されてなかったらしいんだけど、
ガピッ!とかバホヘャーッ!とかいうあの汚ったねえ音に、
ハマってしまったらもう後戻りはできないのである。
あなたが今日もラーメン二郎に足繁く通うのと同じである。
いわゆる沼である。ドルフィー沼である。

あと、ドルフィーが最高なのは、
頭が狂ってるとしか思えない曲を書くところ。
「(たぶん一番有名な)「G.W.」のテーマってどんなんだっけ?」
って言われても、ちょっとすぐに正確には歌えない。
もちろん、僕の聞き込みが甘いってのもあるけど。
他の曲も、聞くたびに音の使い方がめっちゃカッコいいって思うんだけど、
なんつーか、クソ覚えにくい曲ばっかだと思う。
なんで曲を作ろうっつってあんな風になってしまうのか、全くよく分からない。

さらに、頭おかしいエピソードとしては、ジャズで、
ガッツリとバスクラリネット使っちゃったところなんかマジ沙汰of狂気。
あとドルフィーは、フルートもめっちゃ上手い。
「You don't know what love is」という曲では、
歴史に残ると言われるフルートのソロを残している。
マジ、何なんだ、この人。


ほんとミンガスありがとう!みたいな。
(ドルフィーは、ベース奏者のチャールズ・ミンガス親分の世話になってたのです)
録音残してくれてた人たちありがとう!みたいな。
俺は歴史上の人々にこれほど感謝したことは無かったですね。
(なんでスコット・ラファロが死ぬまでに、
 ビル・エヴァンストリオでのアルバムが4枚しかねえんだよ!
 俺を今すぐあの日のヴィレッジヴァンガードにタイムスリップさせろ! と、
 歴史上の人々を呪ったことはあります。すみません。)

ドルフィーのラストアルバム『ラスト・デイト』の、
いちばん最後に肉声で吹き込まれたメッセージ、

「When you hear music, after it`s over, it's gone in the air.
 You can never capture it again.」
(音楽は、聴き終わると、宙に消える。二度と捉えることはできない。)

を、辞世の句(パクリ)として残せるように練習しているほど好きなのである。



で、そんなに思い入れたっぷりなんだけど、いまさら、

「えっ、でも、あいつだって、今、大変な時期なんだし、
 あたしなんかに好きって言われても、迷惑になるだけだと思うし」
「そんなことないよ、ケンジ君もぜったいケーコのこと好きだって」
「いやでも、っつーかそもそも、あたし、
 べつにケンジとそんな感じになりたいわけじゃないっつーか」
「……いまさら何いってんのよケーコ!(パシッ!)」
「痛っ! ちょっと! なにすん……、ミユキ? なんで、泣いてんの?」
「……ケーコはいいよ! カワイイし、
 小さいときからずっとケンジ君と一緒だもん! 私、私だって……!
 けど、私なんかが今さらケンジ君のこと……ごめん、なんでもない!」
「!? ミユキ……。ごめん、あたし……、
 自分のことばっかで、ミユキのこと、全然考えてなかった」
「……ごめんね、叩いたりしちゃって。最低だね、私」
「そんなことないよ。あたしがハッキリしないから、
 ケーコのこと傷つけちゃったんだよ……ごめん」
「ううん。私さ……、ケーコのこと、大好きだから!」
「ミユキ……」
「だからさ、ケーコ、ね?」
「……ありがと、ミユキ。あたし言うね、アイツに。好きだ! って!」
「あっ、でも、私、ケンジ君にケーコをとられるって方がイヤかも……」
「あははっ! なによそれー☆」

なんて青春全開の女子高生のように、
(コントが長くてすみません。楽しくなってしまいました)
ドルフィーを好きって言っていいものかどうか悩んでいるのにはわけがある。

今日も今日とて、寝る前にドルフィーのいななきを聞こうと、
YouTubeを検索していたところ、
Ken McIntyre & Eric Dolphy - Looking Ahead
というアルバムを発見した。



ドルフィーと、ケン・マッキンタイアのフロント2管、
ピアノトリオがバッキングという、5人編成だ。
聴いていただければ分かると思うのだけれど、
ドルフィーとマッキンタイア、
二人ともアルトサックスとフルートの持ち替えで録音している。

要するに僕は、アルトサックスのソロを交互に聴いて、
どっちのサックスがドルフィーなのか、はっきり言って分かんなかったのだ。

もうこんなんだったら、
あたしじゃなくてミユキの方がケンジのこと幸せにできるんだよっ!である。
いや違った、ドルフィーのことを好きと言っていいかどうか、
果たして己にその資格があるのか完全に怪しくなってしまったのである。

そもそも僕は耳の音感がほとんどない。
ベースなんてほとんど聞き分けできていない。
エディ・ゴメスと、スコット・ラファロの違いなんて、絶対に分からない。
ジャコ・パストリアスだって分からないかもしれない。
ノーモアブラインドレビューである。
神よ、光よりもライナーノーツを!である。
このバンド良い!とか思うときは、音感ではなく、
センスとか経験を判断基準に使っている気がする。
ようするに、なんとなく、というやつだ。

なんとなくで俺は、ドルフィーのことを好きだったのか……。
果たしてそれって、好きって言えるんだろうか……。

と、31歳のオッサンは、今日もどうでもいいことで悩んでいる。




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