20160222 Mon
お前(の目)はもう死んでいる


ほんの最近、どこかで、司馬遼太郎さんのことが書かれた記事を読んだ。
とある地方の青年団に招かれての公演後、
青年団代表の人が「見たい場所はありますか?」と聞くと、
司馬さんは
「物見遊山はもういい。面白い人に会いたい」
と答えたという。
で、たしか地域の陶芸家だかの人に会いに行って、すごく話が盛り上がって、
司馬さんのその後の作品にも活かされた、みたいな話だった。

本を読むことと、人に会うことは、似ているところもあるけど、
やっぱり本物の人に会ったときの方が、毒気にあてられると思う。
本は自分の読める物を選んでしまいがちだけど、
人に会うときはそうも言ってられない。
もちろん、これは良くも悪くも。
そして僕は、昔よりは、人に会って、その人と話すことが、
そこまで苦痛ではなくなってきた。
どっちに転んでも、あとでこのブログに書ける、
と思えるようになったことが大きいとは思う。


数日前に四日市で立ち寄ったレコード屋で、
店長のおじさんと、話の切れ目が見えぬまま、小一時間話し込んだ。
段ボールにギュギュウ詰めになったレコードが、
所狭しと並べられた、そもそもが狭い店内。
姿は見えない。おじさんの声だけが、
段ボールの山の向こう、薄暗い店の奥から聞こえる、
まるで教会の懺悔室のようだと思った。
主にバードとマイルズとコルトレーンとジャコパスについて、
おじさんが数多く聞いてきた印象を伺った。
最終的に僕が買ったのはミンガスのレコードだったんだけど、
「ミンガスはどうなんですか?」
「ミンガスはやっぱブルースやろな、ジャズ以前に。
 まあこの話はホントに長くなるから、またおいで」
という、次回はそもそも論を交わすという約束で店を出た。
そもそもの目的だった舞台の開演には、走ってなんとか間に合った。

昨日は松阪のエスカルゴ牧場へ行った。
事前にネットやら書籍やらを見て、
社長がとてつもないキャラらしいぞ、というのは知っていたのだけれど、
もう本物の毒気にあてられた。
文字通りの、口角泡飛ばす、というのを久々に見た。
肝心のエスカルゴよりも、おじさんの印象しか残っていない。
なんというか、人生のスケール感が違いすぎて笑うしかなかった。
僕らのあとに来るはずの、英国からの取材陣が遅れているらしく、
その時間まで話し込むことになるかもしれない、と、
覚悟を決めかけていたところ、同行メンバー一人の体調が悪くなってきたため、
なんとか牧場をあとにすることができた。

エスカルゴ牧場については、やや消化不足なところがあるので、
また伺おうとは思っています。
昨日のぶんだけでも、また気が向きたら書きます。
(↑これで、OFZKの常連さんには、
 もう書かれることがないとお察し頂ける便利な言葉)
あれは社長に気に入られたら、もっと面白い話が聞ける予感がします。
社長には、隠し球が絶対にまだまだまだまだある。
かつての彦龍(日本一不味いラーメン屋)と同じかそれ以上の、
魅力=毒気がありました。
エスカルゴ牧場、行きたい人は言ってください。
ウチは数泊なら大丈夫です、たぶん。

そしてその体調を崩したメンバーに従って、
近くの建物のエレベーターに乗りまくるという、
なかなかちょっと、言葉じゃ説明しづらい体験をしてきた。
彼は彼で、言葉少なではあるけれど、もう筋が通りまくっているので、
本当に面白い奴だと思う。小さい身体で毒気を熟成中である。



茨木のり子さんの詩を思い出す。

 一人でいるのは賑やかだ
 誓って負けおしみなんかじゃない
 (略)
 恋人よ
 まだどこにいるのかもわからない 君
 一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
 あってくれ

(茨木のりこ「一人は賑やか」より)



ちょっと前まで、ずいぶんと小さいところへ自分を押し込んで、
気づかないうちに、目が死んでいたような気がして。
エスカルゴ牧場の社長に、闘魂注入してもらったおかげで、
ちょっとだけ、生き返った気がしました。
俺の目は、まだ死んでいない。

あ、エスカルゴは本当に美味しかったです。
サイゼリアのは偽物らしいので、本物を味わいに、ぜひ松阪へ。






コメント


コメントフォーム

 管理者にだけ公開する

 
OFZK


zack villere「cool」

booklog (→all)


 日記 (631)
 つくり話 (25)
 音楽ログ (1)

 2017/08 (13)
 2016/12 (9)
 2016/11 (18)
 2016/10 (1)
 2016/09 (7)
 2016/08 (4)
 2016/07 (9)
 2016/05 (3)
 2016/03 (12)
 2016/02 (19)
 2016/01 (16)
 2015/09 (1)
 2015/08 (9)
 2015/07 (1)
 2015/06 (14)
 2015/05 (11)
 2015/04 (9)
 2015/03 (14)
 2015/02 (14)
 2015/01 (12)
 2014/12 (10)
 2014/11 (8)
 2014/10 (10)
 2014/09 (30)
 2014/08 (15)
 2014/07 (13)
 2014/06 (22)
 2014/05 (23)
 2014/04 (25)
 2014/03 (23)
 2014/02 (17)
 2014/01 (17)
 2013/12 (18)
 2013/11 (15)
 2013/10 (21)
 2013/09 (8)
 2013/08 (19)
 2013/07 (18)
 2013/06 (19)
 2013/05 (25)
 2013/04 (28)
 2013/03 (24)
 2013/02 (6)
 2013/01 (4)
 2012/12 (6)
 2012/11 (5)
 2012/10 (7)
 2012/09 (2)
 2012/08 (11)
 2012/07 (12)

OFZKed by sonton



adimin