20160715Fri
MUDA


温暖化が進行し、地表の気温は70度を越えた。
太陽光発電パネルは突然変異をおこし、自我と意識と運動能力と生殖能力を持った。
基本的に、発電することのみを存在理由としているパネルたちは、
環境を破壊することもなく、ましてやソーラーパネル同士で諍いを起こすこともなく、
他の生物たちと上手く適合し、増殖を重ねていく。

そんな高い気温と、増えるソーラーパネルに追いやられ、
地上に住むことが出来なくなった人類は地下へと移住した。
地下に関して歴史の浅い人類は、まだ開拓技術が未熟だった。
ものすごく暑かったり、地盤がゆるゆるだったり、
ちょっと掘ったらATARIの『E.T.』が大量に出てきたりするなど、
場所によって、生活レベルがダイレクトに左右されることとなった。

民間では、歯科医・美容師・ドラッグストア店員・コンビニ店員という順で身分階級が出来、
歯科医とコンビニ店員では、生活の善し悪しにずいぶん差がついた。
鬱憤のたまったコンビニ店員たちは、
白衣ではなく、死ぬほどダサい私服を着た休日の歯科医を撮影してインスタで拡散したり、
あの歯科医に親知らずを抜かれた叔父はそれが原因で死んでしまった、などの噂をTwitterで拡散したり、
歯科医のニコニコ生放送に電凸しておいしいところをかっさらったりした。

国会はコンパクトに二党制となり、
ユーチューバー党とプロブロガー党が動画や記事をアップしてはしのぎを削っている。
ほとんどの国民にとってはどうでもいいネタなので、だいたい机上の空論である。
しかし、SNSやGoogleから巧妙にリンクが貼られているので、
人々はそれと気付かずに見てしまい、ため息をつきながらホームボタンを押して、
ネズミみたいなのを積んだり、宝石みたいのでコンボ作ったりすることを再開した。


僕と君が出会ったのはもちろん、増えすぎたコンビニのうちのひとつだった。
僕が君に出会ったとき、君はアルバイトをしながら、アイドルを目指すドラッグストア店員だった。
君が僕に出会ったとき、僕は大学を中退したばかりの、プロブロガーを目指すコンビニ店員だった。

プロブロガーは世襲制だったり、家柄がものをいうので、僕がプロブロガーになれる確率は天文学的な低さだった。
今度30回目のリメイク劇場版が上映されるエヴァンゲリオンがきちんと完結するほうがまだ確率が高い。
しかも僕は、面白いネタとか、興味を引くまとめとか、この店が美味しかったとか、
アクセスを稼ぐ記事を書くことがどうも苦手で、
その日に思ったこととか、感じたこととか、言いたかった嘘とか、
クソの役にも立たない無駄なことばかりを書いては、
自分だけが楽しければ良いと思うようにもなっていた。
そもそもカウンターもアクセス解析ももう見ることがなくなっていたので、
実際誰がどれくらい見てくれているのかもよく知らなかった。

けど君はそんなことを気にすることなく、僕の書くブログを面白いと言ってくれた。
どうしようもないような無駄が好きだと、言ってくれた。
どうもありがとう。本当にありがとう。

君は、僕がプロブロガーにはなれないだろうと、なんとなく思ってる。
プロブロガーになろうだなんてもう僕自身も思ってないのかもしれない。
そして君自身も、アイドルになろうだなんてもう思ってないだろう、と思う。
僕は君がどうあれ、君が思うままにいてほしい、と願う。



あの頃の未来に僕らは立っちゃいない。
けど、だいたいのことはそんなに悪くはならない。

雨を楽しみ、風を楽しみ、夏の暑さも冬の寒さも楽しみ、
よく寝て、よく歌い、たまにすこしだけ泣いて、そして忘れる。
あとは、機嫌良く、笑っている。目尻の皺を勲章のように誇って。





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Gaby Comte「Ven vení」

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