20161113 Sun
映画『溺れるナイフ』を観た感想、または、重岡大毅最高かよ話


『溺れるナイフ』を観てきました @四日市109シネマズ。
三重に越してきて、全体的な公開数が少なくなった中でですが、
今年一番ヤバイ映画だった気がします。
ヤバイっていうか、すっげえ変。
全体としてはガッタガタなんだけど、たいへん魅力的な映画でした。
監督の毒にあてられました。

今年の話題作でおわせられるところの、
庵野の『シン・ゴジラ』も新海の『君の名は。』も観ましたけど、
あれらはもう出来上がってるじゃないですか。
安心してブヒブヒ観に行ける映画じゃないですか。
『溺れるナイフ』は違いましたね。
庵野の『エヴァ』、新海の『ほしのこえ』、感がありましたよ。
完成型には遠いんだけど、観た者に、何がしかとてつもない印象を残していく作品でした。
大林さんの『この空の花』を見終わったあとみたいな巨大な虚脱感、
=なんかわかんねーけどとんでもないものを観たのは確かだ、感がありました。

実際僕は、観てる途中で、退屈するシーンも多々ありました。
あくびもしました、背伸びもしました、早く終わらねえかなと思いました。
しかし、見終わった今となっては、
誰かとこの映画の話をしたくてたまらない気持ちでいっぱいです。
けど、良い・悪いのどちらかでは片づけることが出来ないです。無理です。
俺はとにかくお前にこの映画の話をしたいだけなんだ、
というただただ迷惑な奴になっています。
僕の力量で、賛否どちらかの結論をつけると、
この映画の異常な感じを無理に型にハメてしまうことになって、
魅力を損ねてしまうと思うので、以下はただただダラダラと感想を書きます。
役名を思い出せないので、役者さん本人の名前で書いてしまいます。
いつものごとくネタバレしつつなので、ご了承ください。
ちなみに僕は原作未読。菊地成孔宇多丸のお二人の評を読み聞きしたところです。




【メイン4人の魅力ハンパねえ】
 まず、今の、菅田・小松の、そのまんまマンガから出てきたんじゃねーかっていう美しさは言うまでもないです。ぱないの!です。あの2人が水の中でブクブクしてる画だったら一生観てられると思う。あの2人が初めてブクブクしてからのタイトルが出て小松のモノローグっていうシーン、映画観てて久々に、ちょっともうこれ以上ないだろってくらいのワクワク感がありました。100万点です。
 余談ですけど、日本映画界は、菅田を休ませろ! いまがとにかく魅力的だっていうのは分かるけど、公開数が多くない僕の地域のシネコンでさえ、『デスノート』と『何者』と『溺れるナイフ』が一緒にかかってるっていう状態。観ている途中でちょっとどの菅田か分からなくなるから。下手したらauの鬼ちゃんもダブってくるから。グラブルから。しかしとんでもなく良い役者さんですね。
 あまり登場回数は多くないんだけど、上白石もすごく印象に残りますね。っていうかさ、上白石の、目・が・!こえーんだよ!マジで!! まずは中学の教室で登場するんだけど、田舎の芋っ子感もさることながら、あのキョロキョロした目。オドオドした子なのかなー、と思わせておいてから、「なんかひさしぶりだねー」で完璧な高校デビュー(なに痩せてんの、なにボブヘアってんの)を飾ってからの、がっつりマウンティングしてくる、あの目。うわ!こわっ!!女子こわっ!!あの中学の教室での目はオドオドしてたんじゃなくて、自分の一番良いポジションを常に探してて、隙あらばスクールカーストで上へ行ってやろうっていうチャンスを探してる目だったのねー!こわっ!女子こわっ!したたかっ!!

 そしてですね、僕はこのことを言いたいがために、今日ブログを書いたようなものなんですけど。重岡大毅(ジャニーズWEST)、最高かよ、と。……え? あ、すみません、声が小さくてよく聞こえなかったですかね。じゃあもう1回言っておきますね。

重岡大毅(ジャニーズWEST)、最高かよ。

……重岡大毅(ジャニーズWEST)、最高かよ。

はい、もうこれね、今日はこれだけ覚えて帰ってください。ここテストに出るぞー、です。重岡大毅、その名前だけ覚えてもらえば大丈夫です。
 えっ、ジャニーズぅ? って思う人。僕もそうです。そう思ってました。では以下、僕と、一緒に観に行った人との、開演前の会話をお聞きください。

「あ、今から観るやつの看板あるよ」
「菅田くんは知ってるでしょ? 小松さんは?」
「小松さんは「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」の人でしょ(『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の予告編はもう100回くらい見させられました)。この右下の女の子は?」
「上白石さんは『君の名は。』で三葉の声をやってた子だよ」
「へー、いま売れてる人を集めてきたんだねー。この左下の男の子は?」
「この人は、ジャニーズWESTっていうグループの、」
「ぶほっwwwジャニーズwwwマジッスかwwwちょwww邦画はジャニーズ帝国の権力に負けっぱなしでござるなwwwあれでしょ、どうせ誰がやってもまったく変わりがないようなどうでもいい薄っぺらいチャラチャラした役で、本人目当てに来るファンを釣るためだけのキャスティングなんでしょwww大漁大漁wwwチョローwwwぷげらwww」

……はい、サーセン!! マジで!すみませんでした!!!
観る前の俺、死ねと。お前は豆腐の角にイヤというほど頭をぶつけて死ね。二回死ね。いや、足りぬ。五回死んでから出直せ。そして性懲りもなく蘇った僕は慚愧の念に歯を食いしばり血の涙を流しながらこう言おうではないか。

重岡大毅(ジャニーズWEST)、最高かよ。

もうね、重岡については、ジャニーズってだけで偏見を持ってた僕があれこれいうところではないし、言ったところでファンの皆様にしてみればお前は今さら重岡の魅力に気づいたのかとご立腹だろうし。なので、ぜひとも実際観に行って重岡にハマってください。ハマらないわけないから。ほんとにすみませんでした。いまは、重岡、尊い、という気持ちで一杯です。反省してます。重岡大毅に2億点です。


【お祭りデートにウキウキ女子はついつい帯がゆるくなる件について】
 オイ菅田よぉ……。菅田よぉ……!お前は……カッコ良すぎかよぉ!!
あとなんでそんなとこにちょうどよく回送のバスがドア開けて運転手下ろして止まってるんだと。マンガかと。あ、マンガだったわと。小松は、ゆるくなるのは帯だけにしとけと。女子かと。あ、女子だったわと。


【本年度の邦画新人助演男優賞は……重岡大毅さんの『おら東京さ行くだ』です!!または、結局俺は重岡について話したいんだ、のコーナー】
 重岡、残念だったなぁ。まぁお前だったら次の良い恋見つけられるって。……ん?どうした重岡?え、いやいや、もうさ、カラオケとか良いんだよ重岡。え、歌うの重岡!?もうやめとけって!お前はよくやったよ重岡!無茶すんなって!あーぁ曲入れちゃったよ重岡……。……重岡?まさかお前、この曲……!重岡!!いやいや重岡、お前、空気!読めって空気を!あああああ……。重岡ああああ……。……。……いやいや、まさか……。……まさか、だよな?……え、重岡、これフルコーラスやるの!?死ぬって重岡!死んじゃうよ!やめとけよ重岡!!お前はそれ以上傷を負うことはないんだよ!!衛生兵ー!衛生兵ー!!あああああ(泣)!うわあああああん(号泣)!……歌っちゃったよぅ、結局ぜんぶ歌っちゃったよぅ、えっぐえっぐ。……なに重岡、どうしてまだマイク持ってるの?……え、MC!っていうかマイクパフォーマンス!!うわ、どこぞのバンドのボーカルがライブの曲間でやる下手なMCより全然心にくるんですけど!きゅん!えっ、なにこの気持ち……。私、重岡に……恋、しちゃったみたいだよぅ……。

はい、バンッ!本年度の新人助演男優賞は、重岡大毅さんの『おら東京さ行くだ』です!!
ベストショットは、ペディキュアを塗っているときに小松が回想した、椿の花をくわえた重岡大毅さんです!!
なおベストアクトは、整えた眉毛のことを言われて照れる重岡大毅さんです!!
そして邦画史上に残る青春シーンは、女子の部屋にずかずか上がり込んで友達とか言いながら結局キスまでしちゃった重岡大毅さんです!!
(あのシーンは重岡がCDを「元気もりもりセレクション」とかトチ狂ったことを言いながら取り出したところから悶絶して過呼吸になり死にかけました。映画を見ながら、乙女のように顔に手を当てて「きゃー!」って言ってしまったのは初めてです)
(今さらですけど、重岡はもちろん本人の名前で、役名は大友なのですが、そんなの些末なことです)


【伊賀大介の(主に悪意が)光る職人技】
 もう衣装のクレジットでこの人の名前を見ないことはないってくらい引っ張りだこの伊賀さん。『何者』では佐藤健に、「彼は、これを着とけば馬鹿にされることはないだろう、って考えてると思う」っていう理由(別名・悪意)でフレッドペリーを着せた伊賀さん。
 今作でも伊賀さんの手腕は炸裂しまくりです。菅田の中学のときの制服はマジ神がかってる。ズボンの、あの、丈、あの、太さ。うわ、センス良さー。菅田のあの走り方にも本当によく合ってるし。
 対して、田舎っ子たちに着せた服、ですよ。上白石がお祭りのときに着てる、あの、田舎の高校生が精一杯やってる感。リアルすぎ。こっちは見覚えありすぎて死ぬわ!
 中学ではイケイケだった小松が、高校ではダッサくなるのも、制服のサイズ感一発で見事に表してて良かった(別のスタッフさんだけど、ヘアメイクももさくて良かった)。
 そしてここでも重岡ですよ。お前どんだけ重岡好きなんだよ。はい大好きですよ。で、なにその、お前の私服。なんでデートの日にショッキングピンクの変なクママークのTシャツなの? なんでもうひとつのTシャツもクマ(graniph)なの? もうクエスチョンマークしか出ないわ。大好きだわ。

 
【大地がもたらす奇跡の画】
 菅田クンと小松サンは、一生うまいこと隠れてる岩陰から飛び出て来てドキッてしてて欲しいし、一生水の中でブクブクしてて欲しいし、一生奥深い山の中でカバディしてて欲しいし、一生水路(あの配管と石畳最高すぎ)でキャッキャウフフしてて欲しいし、一生みずたまりで石を投げっこしてて欲しいし、一生漁師町の裏道みたいなとこで追いかけっこしてて欲しい。どうでもいいんですけど、菅田クンを追いかけ始めた小松サンが、何かにぶつかるゴンッて音が、観ている途中は「ちゃんと録り直せよ!」って思ってたんだけど、なんか今になると「いつくしみー!」の心しかない。


【音楽がうるさい問題】
 音楽、流れまくります。正直、うるさいです。まずインストがバラバラな印象のものが次々と流れっぱなしなのに、さらに、ジャパニーズロリータウィスパーボーカルが、しかも2~3回、そこ!?ってところで中途半端な長さで流れるのはキツい。たぶん、監督の頭の中で流れてる感じの音楽ぜんぶぶっ込んだんだと思います。あれが、全体がガッタガタに感じる原因の一つかなーと感じます。画だけで十分綺麗な場面が多い分、音楽が余計だと感じる人は多いと思う。そこを監督の作品の特徴として是とするか否とするか。たぶんあのやり方はこれからも変わらないんじゃないかと思う。


【時間感覚がよく分からない】
 オープニングで家族が乗ってる車が一昔前の感じ(カーナビも付いてなかったと思う)で、時代もそこらへんなのかなと思いきや普通にスマホやLINEが出てきます。(もしかするとお父さんが旧車趣味なのかもしれないけど)。写真家が使うのも、デジカメじゃなくてフィルムカメラ。こだわりと言えばそうなんだろうけど、先に言った車の件もあるので混乱しました。
 あと、写真集は編集や印刷のタイムラグなくすぐに出来上がったようにみえるのに、裁判は示談までめっちゃ時間かかるのな、っていう。そういうもんなのかな?


【とにかく全体的にガタガタしてる】
 観ているときはなんだか、ぶつ切りのものを繋げたっていう印象を受けました。
 特に菅田と小松が最後に抱き合って、菅田がふて寝するシーンですが、明らかな編集ミスのシーンがあって(菅田が横向きに寝てたのに、カットが変わるといきなり仰向けになってる)、観てるときはだいぶ冷めました。これだけの商業ベースに乗る映画なので、おそらく編集は丁寧にされたと思わます。なので、画のつながりが変だとしても空気のつながってる感じが良くてこのテイクを使ったのだろうとは思うんですが……。
 ほかにも観ている間は、全体が上手く繋がっていかない、断片的な印象を受けます。カメラの回す時間も、菅田側はカット多めだったり遠くからのショットで神性を帯びさせて、重岡側はそれに比べて長回しで日常色を強めてと、意図的に変えてるのもあって、観ているあいだは何か全体が噛み合ってない印象を受けます。でも見終わるとまあ強烈なシーンだけを思い出すので、そんなに変だったか? と改めて思ってしまったり。
 たぶん、監督の技量がもっとあれば、テクニックで上手く繋げてしまえたり、敢えてカットするところも出てくるんだと思います。理詰めというよりは、感性多めで撮った映画という印象です。台本もちゃんと頭から順撮りでやってそうっていう(撮影期間の短さ(たった17日間!)を考えるとそんなことはないんだろうけど)。これから監督が経験を重ねていくにつれてもちろんもっと上手くなってはいくんだろうけど、このガッタガタな今の状態も魅力ととらえる人にとってはたまらないわけで。


【ラストの賛否】
 ラスト手前でチラッと流れる激ショボクソ映画が賞を取ったっていうのは、現実の邦画映画賞に対する何らかの批判の意図が込められているのか? という深読みをしてしまいます……。予告で邦画メジャー恋愛ものがたくさん流れたあとだけに……。 まあ、少女マンガでは見られそうな手法だとは思いますけど。
 しかし、わりと人気も実力もあるはずの写真家の監督作品ということを考えると、あんなクソチープな映画を見せるよりは、もっとちゃんとした映画内映画を見せた方が良かったんじゃないでしょうか。小松がちゃんと仕事の方では身を立てたという感じを受けないし、なにより菅田が救われなさすぎる……。あれはそういう暗鬱な終わりなの? そうじゃなくて、小松が青春と向き合ってなお大人になっていくっていうラストだと思うので、ほんと、……あんなショボ映画じゃなくてさあ!
 あと、原作とはラストが違っててそれってどうなの、という意見も見ました。僕は原作を知らないのですが、かなり気恥ずかしいラストだったと感じました。あれは目を背けたくなる人もいるような気がします。けど、重岡(また出た)が「高校生の間はバカなことやってもええんちゃうのけ」みたいに言ってたとおり、あれは小松が最後にバカをやって、青春にケリをつけ大人になる、っていう意味でちゃんとした終わり方だったのではないかと思います。トンネルを抜けて菅田の顔だけはチラッと見えるんだけど、その後ろの小松の顔はもう大人のものになっているはずだ、と。



はい、以上です。思いの丈をそのまま書いたらずいぶん長くなってしまいました。
とにかく、変な映画です。観終わったあとは確実にものすごくモヤモヤします。
なんでただただ火遊びする菅田将暉をこんな長尺で見せられなあかんねん!とか、
重岡が「メシ食う気なくしたわ」って言って手ぶらで出てった直後に弁当箱持って現れるのはシーン変わって後日ってことで良いの!?とか、
後半全然ミッキーカーチス出てないやん!とか、
とりあえずカメラ手ブレさせときゃ良いって思うなよ!とか、
お面作るとか言って粘土遊びしてるだけやん!とか、
菅田将暉の家は具体的にどうやって収入を得ているの!?地主的なあれなの!?とか、
小松菜奈は気持ちが入ると台詞が聞こえにくいよ!とか、
なんであんな小さい町で真っ昼間からチンピラっぽい奴らが大立ち回りしてて騒がれへんねん!とか、
古典の授業でイザナギとイザナミって、もっとひねれや!とか、
小松菜奈は何回水に落ちんねん!とか、
台本にぜんぜんセリフなくてなんとなくでここやってるやろ!とか、
重岡が2回大事なところで噛むのは演技だったら凄すぎるし、そもそもOK出した監督英断すぎるやろ!とか、
全員セリフが思わせぶりすぎるんだよ!とか、
ツッコミどころは山ほどあります。皆そうだと思う。間違いない。

見終わった直後は、なんか失敗?したかも、って思ったんだけど、
なんかずっと引っかかってる部分があって、
見終わってから考えれば考えるほど、あれ、もしかしてあれ、良かったんじゃね? って思い始めてる自分がいます。
ほかの話題の映画と比べてずいぶん異色な出来になってます。
もう詳細な映像は忘れていってるんですけど(小松菜奈の顔さえ思い出せない)、
なんかとんでもないもの観たっていう印象は全然消えていません。
あなたもぜひ劇場で観て、そんで感想を教えて頂けると嬉しいです。






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