20171202 Sat
本の仕事を目指す君に伝えたいことがあるんだ


先週の河崎一箱古本市で、皇學館大學の岡野先生とトークイベントをさせて頂きました
先々週の、津の大門ブックテラスでの伊丹市図書館長・綾野さんとのトークのときに、
緊張のせいで自分が喋ったことを何も覚えていない、という事件が発生したので、
人前で何か喋らせてもらう時は、必ず録音しておこうと思っていたのだけれど、
自分の一箱ブースでボケーッとしてたら、突然お呼びがかかり、
ひょこひょこ前に出ていったらそのままゲリラトークイベントが始まったので、
録音とかそんなもん何もする余裕はなく、つまり今回もまた、何を喋ったのか全く覚えていません。
岡野先生が今度から何かの代表になったとかどうとかみたいな話を伺ったのに、
よりによってその部分を完全に覚えておりません。大変不届者。

全体で15分くらいのトークで、前半は僕から岡野先生に、
「大門ブックテラスで「書店と図書館とのステキな関係」というテーマで喋ったのだけれど、
己の一箱の準備もあって、話すネタをまったく考えていなかったため、あろうことか綾野さんに、
図書館から書店へ上手くお客様を誘導してもらえるとありがたいんスけどねー、
みたいな大変失礼な口をきいてしまい後悔しているので、
逆に、書店から図書館へ、の方向で何かできることはないでしょうか?」
と話を振って、色々とお話を頂きました。
現在貸出中の本や、貸出予約があまりに多かったりする本は、
図書館から書店へ発注をかけるシステムがあったりする、
という話をして頂いた気がします(うろ覚え)。

それから、大門のときと同じトークテーマカードを引いて、
(大門ブックテラスの主催者さんも出店されていて、カードを持ってきてくれていたのです)
「本の仕事を目指す君に伝えたいことがあるんだ」というテーマで話しました。
3年前にkalas booksさんが主催された一箱古本市をキッカケに、
伊賀の三歩書店さん、名張の古書からすうりさんが出来たのだし、
(そもそもkalas booksさんも、古書店を開業するキッカケになったのではなかろうかと今思った)
この河崎古本市から、まかり間違って古本屋になろうという人が出るかもしれない、と、
ちょうどブースを出されてた、伊勢に開店されたばかりの書店・散策舎さんにお話を頂きました。
普段は東京でお仕事をされていて、伊勢のお店は御母堂様に任せられているとのこと。
まだ店舗へ伺ったことはないのですが、ブースを拝見しすると、
本と雑貨を上手く並べられており、かなり面白い品揃えでした。

で、僕もすこし(と言いつつ、いつものごとく、調子に乗ってめちゃ喋ったのですが)、
書店員という仕事について思っていることを話させて頂きました。
まずは、「体には気をつけろ!特に、腰と、腱鞘炎な!!」という一番大事な話。
腰痛は職業病ですが、筋トレや柔軟、荷物を持つ際の姿勢などで、ずいぶんと防ぐことが出来ます。
僕も新学期や学校への巡回図書など、段ボールを何十箱・何百箱と毎日続けて運ぶときは、
必ずコルセットをしていくようにしています。
(いままで、飲み屋のバイトで1回、出版社のアルバイトで1回、ギックリをやっているのです)
腱鞘炎は未経験なので何とも言えませんが、痛みがあるのと無いのでは、
作業効率も段違いになってくると思うので、出来れば防ぎたいものですね…。
多い店舗では毎朝百梱包くらいは雑誌の入荷があると思いますし、
基本的には立ち仕事、作業はほとんど中腰。そして雑誌のページで指を切る。
書店員は結構体にくる仕事であります。気を付けて頑張りましょう。

これは本番では話しませんでしたが、書店員は給与が大変少ない職業なので、
(僕(32歳男性)の手取を知ったら、かなりの人が引くと思います)
(もし知りたい方は、山崎ナオコーラ『昼田とハッコウ』をお読みください)
(そして『昼田とハッコウ』をお読みの際は、吉祥寺のブックスルーエを知ってるかどうかで、
 随分と臨場感が違ってきますので、できましたら一度行ってみてください)
結婚を期に、割の良い仕事へ転職してしまう方もいらっしゃるようです。
扱っている商材が薄利多売のものなので、現状では仕方がないかなと思っています。
書店員の仕事だけで食って食わせていけるならそれに越したことはないと思うのですが、
たとえば実家暮らしで生活費を浮かすとか(今の僕がこれです)、
空いた時間で出来る副業をやってみるとか(株やFXはやってる人を知ってます)、
配偶者に稼ぎの良い人を見つけるとか(そんな運の良い話はそうありませんが)、
色々対策を考えながら、ぜひとも書店員を長く続けて頂きたいと思います。

あと皆様ご存知のように、本っていうのは、だんだん売れなくなってきています。
日本では、いわゆるリアル書店は1日に1軒のスピードで廃業していっています。
僕は月に1~2万円分の本を買いますが、そんなのはもう変わり者しかやってないと思います。
一般的に、年に10冊も読めば、読書量としては多い方だろうし、
それも、ブックオフか、良くてAmazonで買われてるのではないでしょうか。
これからもその傾向が続くと思うのですが、これも僕は、
時代の趨勢で、なかなか抗えるものではないのではなかろうか、と思っています。
図書館が文庫の購入を控えたくらいでは、状況は改善しないでしょう。
韓国の書店流通が一度破綻して、それから復興を果たしたように、
日本の書籍も、一番悪いところまでいって滅亡か復興の選択を迫られるか、
どこかで抜本的な対策が為されないと、ほかは焼け石に水、のような気がします。 やらないよりはマシ、程度というか。

業界の他の方々からは絶対に怒られるでしょうし、
特に独立・個人・フリーで必死に仕事をされている方からは吊し上げを食らうこと必至ですが、
しかし僕は、書籍のそういう<徐々に衰退していっている>という面も好きで、この仕事をやっています。
沈みゆく泥船には、おそらくよっぽどの物好きか変わり者か偏屈者しか乗っていません。
賢いネズミは先に逃げ出すものです。
濃ゆい馬鹿者たちと一緒の業界で仕事が出来る、というのは面白くはないでしょうか。
時代遅れと言われるでしょうが、僕はそういうのが好きなのです。

また本というものは、古くは木簡を綴じたものから、現代の電子書籍まで、
細々と、しかし、人々の「自分の書いたものを、いまを生きる他の人や、もっと後世の人まで伝えたい」
という熱い思いによって、受け継がれてきた文化です。
そして、作者編集者出版社取次書店と経て、読者の手へと渡るものです。
そういう、時代から時代へ、人から人へ、と渡っていく・流れていくべき物の、
一端に介助者として立ち合えているのは、とてもinterestingなことだと思うのです。

要するに、本の仕事を選んでも、何も得することはありません。
損得以外のところに面白みを感じてしまうという奇特なあなた、
おそらくあなたとはいつかどこかで会うことになると思います。
3K上等の因果で楽しい仕事です。一緒に馬鹿踊りを踊りましょう。


>今日の音楽
 
AppleMusicのブルースカテゴリ、ニューリリースで知りました。
ほかにまったく情報はありません。
ジャケットに写っているおじいちゃんが弾いているのでしょうか?
アコースティックギターの独奏で、
1・2弦あたりの開放音を使ったコードを、ジャカジャカ弾いているだけです。ギリで、下手です。
それなのに、めちゃ良いです。たぶん、僕がおじいちゃん好きだからってだけなんでしょうけど。
YouのTubeで全曲聴けます。1曲1分前後で12曲16分。
明るい本屋でこんな音楽が流れていて欲しい。




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