20130402 Tue
村上信夫「帝国ホテル厨房物語」


読んだ本
村上信夫「帝国ホテル厨房物語」
帝国ホテル厨房物語―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

J-WAVEで「TOKYO REMIX ZOKU」というラジオ番組をやってるのですが、
その番組ブログで中川翔子さんが紹介してて、読んでみた本です。
我ながら、よくもそんなニッチな情報を受け取ったもんだ。

帝国ホテルの料理長として知られる村上信夫さんの自伝です。
料理に興味がある人はもちろん、一般の人にもすごく楽しめる内容。
自己啓発書のような側面もあると思います。

12歳で両親と死に別れ働き始めた著者。
働き始めから、料理人として。といっても小僧なので、アシスタントのような仕事なんですが。
朝の4時に起きて、仕事が終わるのは夜の9~10時。今とは環境が違うとはいえ凄すぎます。
いくつかの調理場を経て、念願の帝国ホテルに職を得ます。
働き始めて間もなく太平洋戦争のために兵役志願。朝鮮半島へ。

“帝国ホテルの調理場から出征したのは私を含めて十三人。生きて帰ったのは三人だった。”

なんていう一文が何気なく出てきます。死地を潜ってきた人にこそ書ける文でしょう。
大砲の打ち手として前線で活躍した後に終戦。
38度線以北にいたため、シベリア抑留となります。
過酷さを示すこんな一文が。

“冬は最低気温が零下四〇度以下になり、過酷な作業だ。
 零下三五度以下なら中止だが、日が昇ると寒さが緩み、残念ながら休みはほとんどなかった”

戦中から合わせて5年ぶりに日本へ帰国。帝国ホテルは無事に残っていました。
戦争で人相が変わってしまったため、戦前世話になっていた人でさえ、
村上さんだとは気付いてもらえませんでしたが、なんとか再び帝国ホテルに職を得ます。
ホテルはGHQの接収にあっており、店としての機能は果たしていない上、アメリカの料理ばかり作らされます。
それでもフランス料理への夢を諦めずに働き続けていると、GHQの接収も終わり、
なんと、本場欧州への料理留学も叶ってしまいます。

帰ってくると、またさらに怒涛の日々。
帝国ホテル新館の料理長への抜擢。(ここで“バイキング”というネーミングが付けられたらしいです)
NHK「きょうの料理」への出演開始。
そして一大イベント、東京オリンピック選手村食堂の料理長に抜擢されます。

やがて帝国ホテルの役員就任や、天皇の料理も作ったりするのですが、
ここらへんはもはや凄すぎて、こうやって書いてもしょうがない部分ですので、
ご一読あれ。


読み終わってまず思ったのは、
これだけ劇的な人生を歩んできた人でさえ、文庫本250ページで自伝は書き終わるんだから、
血迷って自分の自伝とか出そうと思ったりしないようにしよう、
ということでした。なんという自己流解釈。

この本の中で、僕が一番好きだった部分はこんなところ。
ろくに学校へ行かないまま働き始めた著者は、漢字が弱点でした。
従軍中にそこを突かれて、必死に勉強します。

“北京にあった帝国書院で買った辞書は本当に引き込んだ。前線にも持って行ったが、表紙がぼろぼろになってしまったので、配給の包帯で辞書を包んで、寸暇を惜しんで勉強した。負傷して、繃帯包で作った表紙は血に染まった。懐かしい、恩人のようなこの辞書は、今でも私の手元にある。”


ってなところで今日はおしまい。最後に1曲お聴きください。

Alabama Shakes - Hold On




コメント

by えこたん (URL)
ちょっと読んでみたいかも。

料理はわりと好きです。
現在、全く別の仕事をしていますが管理栄養士免許もってます(笑)
ゆったりあれこれ考えながら作ってる時は楽しい!
何よりキレイに食べてくれる家族がいることがありがたいかも?
2013.04.03 11:25 (編集)

by ソントン (URL)
さくっと読める本ですので、お時間ありましたら。

栄養士免許ってスゴイですねー!
僕は料理が全く出来ないので、
「冷蔵庫の物でちゃちゃっと作っちゃうね」
ってどんな魔法やねん! と思うくらい、
料理作れる人を尊敬してます。
2013.04.04 00:57 (編集)


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